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2023年読書評20 つづき

最近、読みたいと思う本がないので、本棚の都筑道夫ばかり読み返していました。

・・・日下圭介の未読を読みたいけれど、彼の作品はムラがあり、歴史ものなどは苦手なのでなんとなく手が出ない。再読となると、読後の印象から、あまり読み返そうと思わせない。
彼は古いフランス映画の「フィルムノワール」に魅かれていた部分もあり、敢えてダークな作品を書いていたからでもあります。

仁木悦子も未読のものを読んでみたい。
文庫ではなくハードカバーを探しても、当時からあまり出ていなかったようで、後に編まれたものは現在ではちょっとお高いし。
ポプラ文庫でいくつか出ているので、他のものもあんな風に綺麗な装丁で、読みやすく再版したらどうだろう。

横溝正史の児童もの、泡坂妻夫、高木彬光、
現代作家から探すか?
宮部みゆきは近年の作品はつまらない、恩田陸は才能なしと判定、
松尾由美だけ追っていますが、彼女は量産しない。
この間も知らない作家の本を出だしを読んだけれど、敬遠。

芥川賞を取った障害のある作家のものは興味が持てました。
特に、賞を取っていないものに。
その人は主にSF的なものを書いていたそうですが、ことごとく落選していたそうで、~つまり、埋もれた娯楽作品がたくさんあるようなので、その辺を読んでみたいなと。
(300枚の作品を数十書いているようだ)

児童書にもハリーポッター以来、新星は現れていないようだし。

こんなにテクノロジーが発展しても、
いい音楽はなかなか出て来ない、小説も、映画も。


「証拠写真が三十四枚」
都筑道夫 再読。

最近、また読みたい本がなくてかつて読んだ本の読みかえしとなりました。
これはショートショート集です。
最近はショートショートは流行らないし、いま1つな感じがします。
ただ、1984年頃のことですが「ショートショートランド」という雑誌が短期間発売されていたことがあり、私は愛読者だったのですが、その中に都筑先生がお題を出して読者が返答するというコーナーがあったのです。
つまり、都筑さんのショートショートのオチの部分を明かさずに掲載し、このオチがどのように展開するかを読者に書かせるというものです。
この作品集にはその作品がいくつか掲載されているのが興味深い。(読者の解答ではなく、著者のオリジナル)「ぐち酒」とかその辺りの作品です。

ものたりないのは、彼の作品がミステリやホラーに限定されているからでしょう。
そうでないものもありますが。
星新一のものはホラー系ではなくSF系といえましょう。しかし私は星新一はかっていませんが。面白いものもありますが、平坦で凡庸なものが多い印象です。
都筑道夫の場合は、良い作品だとじわっとした味わいがあります。
本作では、悪魔と取り引きした男が願うものなど。


「チャンバラもどき」
都筑道夫 再読。

「もどき」シリーズは、主人公がいわば「ごっこ」で探偵などになりきるというものですが、
「名探偵もどき」では主人公がホームズなどのふりをして、日常の謎を解くが裏で奥さんが全て解決していたというもの。
今回読み返したのは「チャンバラ」の方。
どうも読みにくさを感じ再読を敬遠していたのですが、それは構成が複雑だから。

普通の小説だと
探偵が事件を解く、というもの。
しかし主人公が探偵のふりをするということは
主人公がポアロやホームズの真似をする、となります。
しかし時代小説だと、いろいろな制約が出来ます。つまり江戸の人はそもそも架空の時代ヒーローを知らないから真似しようがないということです。そこでヒーローを実在の人として描くことにします。
複雑なのはここからで
「半七」では物語を、明治辺りの人が江戸時代に岡っ引きだった老人から捕物の話を聞いた、というていで小説になっていますが、これをやろうと作者はしたわけです。

つまり、江戸時代にヒーローの真似をした武家のおぼっちゃんの世話をしていた侍が、後に作者の祖父に話したことを小説にしているという態になっているわけです。

要するに、読者は祖父から話を聞いているわけで、その祖父は侍から話を聞いているという態になるので少々複雑にならざるを得ないわけです。

都筑先生は凝りすぎるのが仇となっていると私は感じます。
この先生は「付録がたくさんある方が儲けた感じがしていい」というように、雑学を小説に盛り込んだり、行間が空くと損した気がすると文章を詰めて書きます。
年号の書き方も、いろいろこだわりがあり、自分にずごく制約をかけていた、わざわざ苦労する書き方をしていたようです。でも「そういう性分だから」とのことでした。

・・・
私もある程度、日本語にはこだわりがあり、
昨今
「違って」を「ちがくて」、侮辱するを「ディする」、キエフを「キーウ」、女優を「俳優」
などの表現は不快です。

カタカナ英語ばかりのビジネス用語も。

人間は極端すぎます。一方で、言葉を壊し、一方で、制約だらけにして。
「中庸」=ほどほどがいいのです。

小説の方ですが、以前読んだときより、今回読み返した方が面白く感じました。
語り部などの枠を払って、物語部分は面白く読めます。


「捕物帳もどき」
都筑道夫 再読。

やはり読みたい本が見当たらず、読み換えしを。

本作はちょっと前に読み換えそうと思っていたけれど、読みにくそうなので先回しにしていたもの。
設定が素直ではない。

明治の作家志望の人が、江戸時代に活躍した人から話を聞く形式。
語り部は吉原の遊郭を経営する若旦那のお目付け役で、若旦那が捕物帳ごっこをする助けをする。
若旦那は半七や顎十郎などの模写をして遊ぶが、実際の事件に当たり、解決してしまう。

イラストは和田誠が画いていますが、私は彼は好きなのですが、「緩い仕事だな」と思わざるを得ません。
ゆるいイラストを描いて仕事になるなんてうらやましい、という感じを否めません。
星新一の「きまぐれロボット」で(小1の頃のことだ)いいなと思いましたが、本作では岡っ引きのイラストが描かれていますが、

・半七はもっと面長でなければいけないのに、もっちりしている
・顎十郎はもっと鋭く描くべきだけど、ゆるい
・むっつり右門はハンサムなはずだが、おじさんみたい
・人形佐七は人形のように美しくなければいけないが、おじさんみたい

小説の方は、舞台が吉原というのが気に入らない。
彼の小説ではそのようなものが多いのですが、つまり文化として描いているのですが、私は売春に反対ですのでその設定が気に入らないせいか小説自体があまり気のりしませんでした。
「チャンバラもどき」の方がおもしろかったかな。
チャンバラもどきと違うのは
「捕物帳」の方は若旦那が活躍し、語り部はワトソンに徹している。
「チャンバラ」の方は若旦那はピエロで、語り部が剣の達人で影の主役となっている、という態。

あと、物語の最後で若旦那は後に吉原を離れ、有名な警視になったというがそれが誰を示唆しているのか分かりませんでした。
古い人には当然のことが時代が流れ分からなくなってしまう、という難点があります。


「スリラーハウス」
都筑道夫 再読。

最近は読みたいと思える本がなくて、本棚からまた都筑道夫を引っ張り出す。
これはショートショートとも短編とも言えるような作品集。
バラエティに富んでいるのですが、どちらかというとミステリ、ホラー的なもの。

このような形式は一昔前に流行ったもので、現代人が読んでもあまり面白くないかもしれません。

「音楽コレクター」は「未来警察」シリーズもので、短編集から外れているショートショートで、ファンには拾いものかも知れません。



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