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今の私にほんとうに必要だったもの

お暇いただきまして


大きな不安を抱えていて、それがひとまず大丈夫だったと不安要素として自分の中から消え去ったとき、「よかった」と安堵したと同時にもぬけの殻になっていた。

自分では平気なつもりだったけれど、体は想像以上に正直で、どれほど自分が不安だったか、怖いと感じていたかを思い知らされた。

不安要素が安堵へ変わった翌日に高熱を出し、ぼうっとした頭で窓の外の青空を見ながら「ああなんかもう、一旦逃げちゃおうか、このままじゃだめだ」とふと思った。ゆっくりと流れる雲はそれを大きく受け止めて肯定してくれているような気がした。

そうやって一度固く心に決めてしまえば、案外徹底して休むこともすべて一旦放置して逃げ出すことも簡単だった。

何事も、はじまる前や完全に終わってしまうまでが怖くて不安で、いざはじまってしまえば、終わってしまえば、そのあとはなるようになるものなのだろう。その時の自分がなんとかしていくのだろう。

多分思っているよりも自分という人間は弱くない。私だけじゃなくてみんなもそう。卑下する必要なんて絶対にない。

直近に納期がせまっていた仕事は幸いなかったので、2週間くらいは休めるだろうと計算して、数ヶ月前に体調を崩しても尚開くことをやめなかったパソコンも閉じたまま書斎に置きっぱなしにした。

「連絡はある程度取れますが、返信が遅くなる可能性があります。今いただいている仕事以外に急な依頼には対応できません。諸事情により2週間ほど休ませていただきます。ご迷惑をおかけしてしまい申し訳ございませんがご理解のほどよろしくお願い致します。」というような連絡を各所へ送ったときは「ああやっちゃったよ、仕事切られたどうしよっかなあ」と思ったりもしたけど、その時の自分は嫌いじゃなかったし、多分ちょっと笑っていた。

「休暇いいですね〜!休むに徹してくださいね」「連絡事項送ってしまうかもしれませんが確認も返信も休み明けで大丈夫です、良い休暇をお過ごしください」「トラブルがあったときだけ電話入れますので、ゆっくりしてきてくださいね」

返ってきた返事はこんなような、想像していた返信とはまったく違う温度感で返ってきてちょっぴり涙腺が緩んだ。なかでも「2週間で足りるの?笑」という仲の良い先輩の、端的でやさしさに溢れた返信には心底救われた。

たぶんきっと、押し潰れさそうになるほど考えてしまう不安の大体は現実にならないし、思っているよりも人は人に優しい。知ろうとしていないくせに決めつけてしまうことも、見ようとしていないくせに諦めてしまうことも、もうここからやめよう。失望するには私はまだ若すぎる。

**

そんなこんなで、ここ最近お暇をいただいていたので、2週間の休暇中のことをちょろっと記録しておこう。

退院後初の遠方へのおでかけ


退院後初の遠方へのお出かけは、栃木県の那須塩原市を選択。

那須は何回か行っていて解放感もあって大好きな場所。だいぶ久しぶりだったので、新しい施設ができていたり、カフェが増えていたり、好きなお店に新メニューや新商品が出ていたりと、とにかく新しいことが多くて楽しかった。

道中は紅葉がはじまっていたのもあって、長い道のりもあっという間だった。


おいしすぎたお土産(自分用)


GOOD NEWSという

GOOD NEWSという新しい施設ができていたので、寄ってみたのだけど、自然と共存しているような解放感のある空間も近代的な建物やお店も全部がよかった。

おいしいお店がたくさんあって、あれやこれや食べたくなるので危険。



屋台でスパイスカレーの販売をしていて、外のベンチに座って食べている人たちの横を通りカレーの香りを嗅いでしまったら、もう完敗。無事カレーの香りに屈した彼と私。

カレーパンを売っているお店もあったので、カレー尽くしのお昼ごはんで結構。カレー好きの私たちにとってはたまらなく幸福度の高いお昼だった。外で食べるから余計においしく感じたし、日差しがぽかぽか心地よかった。

スパイスカレーはココナッツもきいていて当然おいしかったのだけど、それよりもカレーパンが忘れられない。

サクサクふわふわ、もっちり食感のパン生地が絶品で、結構辛めのカレーが詰まっていた。カレーパンの中身のカレーといえばわりと味が想像できるようなものだけど、はじめて食べる味に「ええ、はじめて食べる味!おいしい」と私も彼も驚きだった。

外食したときにおいしいものに出会い、それが珍しい味だと「何を入れたらこの味になるのかな、家で作れるかなあ」と考えるのが癖。なので、私がちょっと静かになると彼にも「答え出た?」と楽しそうに聞かれる。

今回はちょっと難問だった。なんだろうあの味、絶妙な甘みがった気がする。また食べに行こう。

ごはんは当然大盛りです。

ちなみにこの数日後、またすぐにカレーが食べたくなり、夕飯はカレーになった。トマト缶、カレールー、バター、なんかを使ってボウルひとつでレンジで作れる即席カレー。具材は玉ねぎと鳥もも肉のみ。

時間をかけて作るカレーも良いけど、トマト缶やカレールーのポテンシャルを最大限利用した即席カレーもいいよね。カレーという名がつけばすべて天才的においしいってことかも。

食後のデザートは焼きドーナツ。生地がとろけるほどやわらかくて驚き。普通のドーナツよりも上品な味がしてうっとりうっとり。

でもでも、こういう上品なドーナツも大好きだけれど、私はやっぱりミスタードーナツのようなジャンキーなドーナツが好みかも。マクドナルドよりもミスタードーナツの方が無性に食べたくなるときがある。どうでもいいけど私はオールドファッション(チョコ)とダブルチョコレートが大好き。

チーズガーデン本店にはもちろん寄ったのだけど(むしろメイン)、想像以上の人混みでびっくり。

レジも大行列だったのだけど、どうしても9月に発売開始されたクリオロとコラボした本店限定「メープルチーズケーキ」が買いたかったので並んだ。おいしいもののためならいくらでも待つ。待てる!待たせてください!

「おいしくないわけがないんだよね」と言い合い、問答無用で買い物かごへ投入。そして大好物のチーズガーデンのミルフィーユ(キャメル)も無事購入。

旅したときは必ず現地の焙煎屋さんを探してコーヒーを買って帰るのだけど、そのコーヒーがあるおかげで旅が終わっても寂しくならないのでいつも嬉しい。旅は家に帰ってからの楽しみも含めて旅だ。


翌日のおやつタイムにチーズガーデンで買ったメープルチーズケーキとミルフィーユ、現地で買ったコーヒーを淹れてまったりゆったりとした時間を過ごした。とても穏やかな日だった。

メープルチーズケーキ、期待通り、いや期待以上に完成度が高かった。チーズケーキとメープルって食べたことあるようで私はなかったのだけど、味が喧嘩していないのにどちらの旨みもしっかり感じられてプロの本気を感じた。

いうまでもなく、コーヒーとの相性も最高。ペアリングは浅煎りでも深煎りでもいける。ミルフィーユは個人的には深煎りと合わせるのが好き。

休暇のはじまりは良いスタートを切った。

恋人と山奥へ。紅葉は賑やか


休暇中は、ひらすらおうちでぼうっと好きなことをしてゆっくりしようというよりも、新しいものや人に出会いたくて、結構行動的だったような気もする。「羽を伸ばそう」と彼に言われて、羽を休めるよりも、羽を伸ばすことが今の私には必要なことかもしれない、と思ったのもあるけれど。

彼と紅葉を見に時間をかけて山奥へ出かけた。

目的の場所ではなかったけれど、道中で見つけた場所が良すぎて結構な時間居座った

秋風に揺られながら「紅葉は枯れ葉だから。寂しくてあまり好きじゃない」と言った人をふと思い出していたら、「紅葉はカラフルでいいよね。桜より好きかもしれない。賑やかで好きだな」と隣で彼が笑った。

紅葉を賑やかだと形容するところに恋人らしさを感じて、紅葉を見つめる彼の横顔を見て愛しく思った。


ここでもはい、カレーです。

さらにずっとずっと山奥へ進むと、ペンションがたくさんあるなかに、一軒小さなカフェ(兼ペンション)があった。

お昼は別の場所で食べる予定だったので、「コーヒーとお菓子だけ軽く食べようか」と、吸い込まれるようにお店の中に入ると、暖炉や手作りの焼き菓子、ケーキが並んでいて、良い香りがした。

娘さんひとり、父、母、の3人家族で営んでいるアットホームな空間で、睡魔に負けてしまいそうになるほど、あたたかく落ち着く場所だった。

お昼ごはんは違う場所で食べるつもりだったけれど、メニュー表を見たら「スパイススープカレー」を見つけて、私も彼もメニュー表から顔を上げて目を合わせると「ここで食べちゃおっか」と彼が先に言って「私もそう言おうとした」と笑って同意した。

こういう予定外のことが、旅の楽しさのひとつでもある。

窓際の席からは日差しが差し込み、外を見ると、紅葉した木々が風に揺らされていてとても綺麗だった。静かで時間はゆっくりと流れていた。スパイススープカレーはお店の雰囲気からすると家庭の味に近いほっこりする系かと思いきや、かなり本格的で思わず「おいしっ……!」と声に出してしまった。彼も「かなり…おいしい」と驚いていた様子だった。

デザートとコーヒーもついて、1600円って破格すぎませんか。とおもうほどの味で、世の中にはこういう味や場所がまだまだあるんだなと思うと、とてもワクワクした。人をそうさせる食べ物ってすごいな。だから食べることが好き。作ることが好きだ。

食後のデザートは写真を撮ることすら忘れてしまうほどおいしそうですぐに食べてしまったのだけど、彼はタルトタタン、私はガトーショコラを頼んだ。

ケーキを半分ずつにして食べてどちらもおいしかったけれど、ガトーショコラにちょっぴり塩気がきいていて、これがとてもクセになる味だった。コーヒーも自家焙煎で、とてもおいしかった。

コーヒーのマグカップのデザインが彼がスナフキンで、私がミイだったのも、そのお店のご家族らしさを感じてほっこりした。

細やかなところまで手が混んでいて、おもてなしの心が伝わる、素敵なお店だった。

**

「ほんとうに良い一日だったね」と私も彼も繰り返し口に出してしまうくらい、ほんとうにこの日は良い日だった。時間が経ってまた思い出しながら二人でこの日の話をするのだろうなとも思うし、そのとき私も彼もとても幸せそうに話すのだろうと思った。

そんなことも想像できてしまうくらい、忘れたくない、忘れらないきらめきと素敵を詰め込んだような日だった。

心穏やかにお菓子作りとパン作り


休暇中はお出かけもしたけど、おうち時間もしっかり堪能した。


これは休暇に入る前のこしらえたもの


中のバターがじゅわっととろける感じが大好きな塩パン。イラストみたいな形もかわいくて成形している時間も好きだ。

ミニサイズのシンプルなパンは、朝ごはんにも重宝するのでたくさん作って冷凍している。オーバーナイトでも作れるのが嬉しい。スープとも合うし寒い季節は特に良い。

表面をバリっと210°〜220°で硬めに焼くのが好き。


「お店のも合わせて今まで食べてきたシナモンロールのなかでで一番おいしい」と彼に言わせたシナモンロール。心の中でガッツポーズしちゃった。5回くらい作ってようやく「これだ」という味と、生地、焼き方にたどり着いた。

シナモンロールはシナモンシュガーだけでも作れるけど、バターとシナモンシュガーを混ぜたシナモンフィリングが好き。そして上の方はちょっと焼き色を濃くして、カリッとさせる。焦がす直前くらいを見極めるのが結構難しいけれど、今回はかなり良い焼き上がりだった。

シンプルなパンといえば、食パン…そういえば作ったことないかもしれないと思い、ミニ食パンを作ってみた。このちぎったときの断面がたまらない。ミニ食パンなら、一斤用のものを買わなくてもパウンドケーキ型で作れるのでお手軽。

朝起きると彼がクリームチーズとブルーベリーを乗せて食べていて「これも最高だね」と言っていた。クリームチーズとブルーベリー、パンと組み合わせるものとして間違いないお供だ。


夜の23:00。
朝の6:30。

そして、最近はシンプルなマフィンの最高のレシピを模索中。

マフィンやパウンドケーキは、お菓子作りのなかでも特に、焼き上がったときのバターと生地が溶け合った甘い香りがたまらなく幸福な気持ちにさせてくれる。

彼と週末の晩酌


彼が帰ってくる週末の晩酌は、休暇中でも変わらず一番の楽しみ。働こうが休んでいようがお酒もいつだっておいしい。

北海道産の鮭おいしすぎです。
時間なくて適当に作ったわりには見栄えするメニュー作れた日

最近写真撮る前に食べてしまうから残しておくことを忘れてしまうのだけど、友人が新潟から日本酒をくれたり、彼が会社からワインをもらってきたりして、とにかく最高の晩酌が続いた。

彼との毎週末の晩酌は、私の1週間の楽しみだ。


模様替えとちょっぴり冬支度


心機一転といえば模様替え。指揮官恋人とし休暇中にリビングと書斎も模様替えを決行。


石油ストーブはまださすがに出しません

模様替えや大掃除をするたびに思う。本が多いと出すところからが大変。けれど彼は私の本を絶対に雑に扱わないので安心していられる。新しい配置、今までで一番気に入ってるかも。

*****

ということで、
兎にも角にも最高の休暇だった。

今日は久しぶりに(久しぶりでもない)居酒屋で飲み会なので、書き終えた頃には超特急で準備をはじめているだろう。


今年も残り2ヶ月、いろいろあったけど良い一年だったねと笑って新年を迎えたい。終わりよければすべてよし!

人生は続く。


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