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おひとりさま力を鍛える話~カマタミワ『ひとりぐらしもプロの域』

やすこさんへ

前回のお手紙がイタリア人の話だったので、真っ先にヤマザキマリさんの『モーレツ!イタリア家族』が思い浮かんだんだけど、私は当面海外に行く予定もないことだし、逆に遠い異国の文化に触れずとも、自宅でひとりでも楽しいことたくさんあるよ、って本を紹介しようと思います。
この春から新たに一人暮らしを始めたばかりで不安や寂しさを感じている人も、一人暮らしって実はめちゃくちゃ楽しいのでは⁈と思える本です、多分。

カマタミワさんのひとりぐらしシリーズは2024年4月現在までに5冊出ているんだけど、1作目の『ひとりぐらしもプロの域』と5作目の『気づいたら独身のプロでした』が特に面白いと思う。一人暮らしのプロ、カマタミワさんならではの、一人暮らしの知恵と楽しみ方満載の内容です。

暮らしの知恵と楽しみ方と言っても、これはよくある『ていねいでオシャレな暮らし』系じゃなくて、『ザツで面白くて現実的な暮らし』系の本

TSUTAYAでレンタルしたDVDとコンビニで買ったお酒とつまみを前に、『これより、ひとり映画祭を執り行う!』と宣言したり、お風呂上りに部屋干しの下着をハンガーからとってそのまま履くことを『パンツ収穫祭』と呼んだり、生活の小さなことがいちいち祭り化するカマタさんの暮らしぶりがとにかく楽しそう。ちょっと自堕落なのも一人暮らしあるあるで笑える!

他にも、疲れ切った日には自分を労わるためのバスタイム祭り、気心の知れた友達とすっぴんノーブラで楽しむ家飲み祭り、コロナ禍で人と会えない時のおうちキャンプ、またの名を『最後の遊牧民ごっこ』など、日常生活の地味で小さな楽しみを、マインドによって最大限充実させるこの生き方。一人暮らしの民は全員見倣うといいと思う

もちろん一人暮らしは楽しいだけじゃなく大変な事もある。この漫画のすごいところは、長い一人暮らしで失敗も色々してきた作者が、料理の失敗や体調を崩したときの話、怖かった体験、お金管理での失敗など、情けない体験も笑い話として披歴しながら、一人暮らしに役立つ知識もさりげなく書いてあること。メンタル不調の時はまずフィジカルから見直せ!って話とか、ホント目から鱗だったわ。

やすこさんは一人暮らししたことあるんだっけ?
私は大学の時から結婚するまで約10年間一人暮らしだったの。その時はパンツ収穫祭も確かにやってた(特に祭りのつもりはなかったが)。
今は家族と暮らしているけど、この漫画を読むと一人暮らし時代を追体験?疑似体験?した気分になれるのが楽しい。

一人暮らし経験者でも未経験でも、きっと楽しめる本だと思うので、よかったらぜひ読んでみてね。

2024年4月26日
かおりより


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