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匿名社会の深度

「書く・読む」行為は、いまや「話す・聞く」と同じ速さか、それ以上の速さで実現可能だ。

紙やペン、字を書くスキルといったものから、パソコンもしくは携帯一つで事足りる。その唯一の道具の使用方法も、ますます容易になっている。

通信技術の発展が、書き手と読み手との間のタイムラグを取り去った。
匿名性を盾に、「話す・聞く」が自由になれない現実の力関係から、「書く・読む」を解き放った。

ネットワーク社会が叶えてくれる匿名性の深度は、対人関係における平等への希求にはじまる。

けれど、時に度を超す書き手の権利要求が問題視され、一時的な狂騒でオンライン上の専制主義がまかり通る。「見えない・分からない」が、犯罪の温床ともなる。深度に伴う闇と、どう向き合うべきなのか。

自分が、小さな光る画面を見つめるとき、その画面もまた、自分を見つめ返している。
鏡のように目玉を光らせ、与えられた情報だけをきれいに反射したところで、答えは返ってこないのだ。

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