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文フリ初陣日記④「本文データを作る」

製本経験ゼロのよさくが、試行錯誤しながら文学フリマ東京38(5/19)に初出店する日記。本作りやブース作りにアワアワしながら、ずんどこ乗り越えていくプロセスと揺れる感情をお届け。


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今回のテーマは「本文のデータを作る」。

・ワクワク度 ★☆☆☆☆
・めんどくさい度 ★★★★★

【必要なもの】
・Word
・根気

今回からやっと本の中身の話へ。印刷会社が決まったので、製本のためのデータを完成させることが次のステップになる。

本の中身で必要なデータはだいたいこんな感じ。

・表紙(裏表紙と背表紙含む)
・目次
・本文
・扉(章の間に挟まるやつ)
・奥付(発行日や著者情報を記載するやつ)

まずは圧倒的ボリュームを占める本文から手をつけていこう。最終的にPDFになればいいので、使用するソフトは縦書きができれば自由。文フリ出場先輩方のnoteを読んでみると、「縦式」というアプリや「Tate Pad」というソフトを使っている方がいた。

全く知らないサービスだったので、ぼくは馴染みのあるWordを選択した。Wordならさまざまな印刷会社がテンプレートを用意してくれているので、これをベースに作業すればOKなのだ。

ぼくはタイトルや目次も盛り込んである「本の印刷工房」さんのテンプレートを使うことにした。


正直、この段階では甘く見ていた。

(エッセイ原稿はnoteにあるわけだから、縦書き仕様にしてコピペしたらすぐ本文できるっしょ〜)

当時のなめ腐った態度に喝を入れたい。そんなに簡単な話ではない。

テンプレートと全く同じ仕様で作るのなら問題ないのだけど、「レイアウトを自分好みにしたい」と思った瞬間に決断すべき事項が山のように降ってくるのだ。

ぼくを悩ませた数々の「自分で決めること」を紹介していこう。知らない印刷用語がたくさん出てきて、「なんでもいいから良きようにやってくれ」と何度も誰かにお願いしたくなった(自分でカスタマイズしようとした癖に)。

①本のサイズ

A6、新書版、B6などから選べる。A4とB5しか知らん。文庫本はA6だと初めて知った。持ち運びやすく作りたいので、A6に決定。ここはそんなに迷わない。

②フォント

文章の印象を決める大事な要素。フォントによっては締まった印象を与えたり、逆にくだけたイメージを持たせたりする。

フォントについて全く知識がなかったので、noteで複数の方がオススメしていた「源暎こぶり明朝」というフリーフォントを使うことにした。

テンプレートにこのフォントを反映させた瞬間、Wordの設定が崩れてダサダサレイアウトになった。うぎゃああああ。(Wordの地獄はここから始まった)

とはいえ既存のフォントでフィットするものがなかったので、渋々このまま突っ走ることを決意する。格闘してやろうじゃないの!

③フォントサイズ

10ptが普通サイズのようだけど、これはかなりフォントとの相性が重要になりそう(同じ10ptでもフォントによって大きくも小さくも見える)。

主観だけど、源暎こぶり明朝は少し小さめのほうがフィットしていそうなので、9ptにした。正直、実際の印刷物見てみないとなんとも言えない部分ではある。

④1ページあたりの行数

こんなの考えたことなかった!本によって違うの?と思い、自宅の本をパラパラとめくり数えてみる。本当だ…!たしかに1ページ16行入っている本もあれば、13行のものもある。

…ぶっちゃけ、どれがいいのか分からない。行数を変えたデータをPDFにして見比べてみる。読みやすさを重視したいので、行間にゆとりのある13行で作ってみることにした。

⑤1行あたりの文字数

行数が違えば、文字数も違うのか…。たしかにこれも本によって違う。こちらもあまり窮屈な印象は与えたくない。とはいえ、ガバガバ感も出したくない。文字数を変えたデータを見比べて、1行37文字にすることに落ち着いた。

ちなみに④と⑤は、当たり前だけどページ数を左右する項目になる。1ぺージあたりの文字数がかなり変わるのだ。
(例)
・43字×18行=774文字
・35字×13行=455文字

1.5倍以上違う!仮に5万字の原稿があったとしたら、前者は66ページ、後者は110ページになる(改行や扉で実際にはもっと増えるけれど)。

作る側としてはページ数が減るとコストダウンになるけれど、せっかく作るならちょっとでも厚みのあるものを…と思ってしまうのが正直なところ。とはいえ、読みやすいレイアウトにするのが1番大事だね。

⑥余白

正直なんでもいい。誰か代わりに決めてほしい。とはいえ、これもケースバイケースなので考える必要がある。

ぼくはテンプレートをベースにして、他の方を参考にしながら下記の通りに。

・上:16ミリ
・下:13ミリ
・左右:各10ミリ
・とじしろ:5ミリ

これを決める前に「とじしろって何だよ!」ってなった。本は内側部分が閉じられているので、読みにくくなってしまう。よって、内側は多めに余白を取る必要があるらしい。ページ数が増えれば増えるほど「とじしろ」を厚く取ろう。

⑦ノンブル(ページ番号)の位置

上から見るか、下から見るか。これも本のどっちにあるかなんて気にしたことなかった。ぼくは上から派。

⑧柱をつけるか

鬼滅の刃の強い人ではない。ノンブルの隣にいる、章のタイトルをちっちゃく書いてあるアレである。「せっかくなら」ということでつけることに。


決めることが多すぎるよ。しかも①〜⑥はそれぞれが噛み合わさって「読みやすさ」が左右されるので、正解がない。己のフィーリングを頼りにする必要がある。

Wordとの格闘を終え、よさくテンプレートを完成させた。その段階で、会社の先輩からレイアウトに関する本を紹介してもらった(仕事がらみで)。

印刷物について予備知識がない方は作る前に読むのがオススメ。タイムマシンを使って過去のよさくに届けてあげたい。本文だけでなく、表紙やポスター作りにも役に立つ。


Wordの具体的な作業は、下記の記事を参考にした。このnoteに出会っていなかったら、Wordと泥沼の殴りあいを続けていたに違いない…(何度かPCをキィィィと睨んではいた)。本当に感謝です…!

原稿という料理を盛るための受け皿ができたので、あとは楽しいクッキング〜!と思いきや、よさくは縦書きの洗礼を受けるのであった…!

次回、「横書きから縦書きへの変換」(真顔)のお届け!

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