見出し画像

文フリ初陣日記⑤「既存エッセイを縦書きにする・校正する」

製本経験ゼロのよさくが、試行錯誤しながら文学フリマ東京38(5/19)に初出店する日記。本作りやブース作りにアワアワしながら、ずんどこ乗り越えていくプロセスと揺れる感情をお届け。



***




今回のテーマは「既存エッセイを縦書きにする・校正する」。

・ワクワク度 ★★☆☆
・めんどくさい度 ★★★★☆

【必要なもの】
・Word
・客観性

①縦書きへの変更

本文のひな形データが完成したため、noteに投稿した既存エッセイのデータをコピー&ペーストしていく。

「こんなん作業やんけ〜」と余裕をぶっこいていたが、そんなに単純な世界ではなかった。「横書きの文章を縦書きにする」という至極シンプルな行為に、注意しなければならないポイントがたくさん埋まっているのだ。

縦書きにはお作法がある。基本的なものだけでもこちら。

・文頭は1字下げる。
・…(三点リーダー)、―(ダッシュ)は2つセットで使う。
・!や?の後に全角スペースを入れる。
・数字は基本的に漢数字を使う

…言われてみるとそうだ。あらためて、noteのエッセイを見直してみる。

お直し必要なところ祭りやんけ。既存の文章が家だとしたら、雨漏りしすぎてバケツが足りない。

顔面が蒼白になっているところで、神ツールに出会った。

文章を貼り付けると、自動的に縦書きルールに則って修正をしてくれる。作った人に頭を下げてお礼を言いたい。

とはいえ、細かいところは自分で修正する必要がある。既存エッセイはスマホで読みやすくするためにやたら改行しているけれど、縦書きにしたらスカスカになってしまう。調整が必要だ。

そして、何より変わるのは「文章から受け取る印象の違い」。横書きだと「ブログ」感が強いのに、縦書きにした途端「文学」寄りになる。同じ文章でも、フォントやレイアウトが変わることで、発する感情エネルギーに変化が起きるのだ。

この変化を目にしてしまうと、「表現も合わせたいな〜」となってしまう。

例えば、既存のエッセイで「〜してると思ったんだけど」という表現があるとする。非常に口語的な表現なので、縦書きでは「〜していると思ったのだが」などという書き方に変えたくなる。

ぼくは軽めのエッセイを書いているので、文語体に寄せすぎるのもニュアンスが変わってしまい難しいのだけど…。本当にケースバイケースなのだ。

文章の中身ではなく「表現方法」について今まであまり考えてこなかったので、頭を捻らせる貴重な機会になった。

文字たちも郷に入れば郷に従う必要があるのか…としみじみ。


②校正

ぼく自身に校正の知識が全くないし、頼める友人などもいないのでこちらもツールに頼った(作った人ありがとう)。

誤字脱字や漢字ミスなどの基本的な校正をしてくれる。

めちゃめちゃ指摘された。普段は気にせず適当に書いているけど、「読み進めるのにノイズを与えない」というのは大事な観点だね。

ツールを通した後も、あらためて自分で文章を読み直していく。中には3年前に書いたエッセイもあるので、自身の文章スタイルの変化を感じる。

そして自分が書いたものを「何度も読み直す」という経験がなかったので、いろんな感情が心によぎっていった。

(今の自分では書けない感性で表現してる。いいね!)
(当時はおもしろいと思って書いてたけど、これ本当におもしろいのか…?)
(今の自分よりのびのび書けてて、成長していない気がして落ち込む…)

情緒不安定である。過去の自分と今の自分と客観的に見下ろそうとする自分が交錯するので、何が正解かわからなくなる。

さらには、読み返す日のテンションによっても抱く感情が変わった。「この文章、1人でも多くの人に届けたい!」と思える日もあれば、「こんな駄文にお金払ってもらうとか迷惑極まりない…」とヘナヘナした日もあった。

面倒な人間である。ぼくが同居人だとしたら、なるべく関わりたくない。

というアップダウンを繰り返し、なんとかひとまずの校正を済ませる。最後の入稿までは繰り返しやりたいけど、ひとまず安心。

自分の文章を校正するということは、書いた人間から気持ちを分離させなければならない。時には自分に厳しく、指摘をする必要がある。

文章を書くよりもよっぽどしんどい行為だった。けれども、製本という機会がなければこんな経験はなかったはず。「よりよい文章を届ける」ためのステップを踏めて良かった。

(とはいえスーパー素人校正なので多めにみてください…!)


掲載エッセイの概要紹介

ここからは宣伝です!今回文学フリマで発売する本では、19編のエッセイを収録しています。noteに投稿した既存エッセイ16編(加筆修正)+書き下ろしエッセイ3編です。

書き下ろしエッセイのあらすじをご紹介!

①「はじめての北国暮らしは掘りごたつ付きワンルーム」
新卒入社した会社は全国転勤。最初に配属されたのは福島県だった。はじめてのひとり暮らし、不安な家探しで運命の物件を見つける。そう、そのワンルームには、大きな「穴」が掘られていたのだった…!

②「ピンポン研修とフラミンゴレストラン」
営業に配属されて待ち受けていたのは、「ピンポン研修」。はじめての飛び込み営業に苦戦するよさく。研修最終日に先輩に連れて行かれたのは、営業エリアではなくピンクの鳥がたむろする飲食店だった…!
※こちらのエッセイで大活躍した「海堂さん」が登場します!

③「朝ドラのヒロインが働いているカフェとさよなら福島」
仲良くなった店員さんが働いているカフェは、品のいいマダムがオーナーとして切り盛りしていた。その娘さんも店員として勤務しており…?よさくが福島県を旅立つ直前のお話。


お気づきでしょうか。ぼくがnoteを始める前の出来事や、バタバタして記事にできていなかった体験を書き下ろしています。あの体験を冷凍保存するきっかけができてよかった!


本の中身が出来上がったので、次回は楽しい楽しい表紙作りの予感…?

この記事が参加している募集

やってみた

文学フリマ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?