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【詩的散文】16・塔、あるいは神の家

16番・塔のカードは
古いタロットでは「神の家」と呼ばれ
バベルの塔とは違うニュアンスで
語られることがある

高くそびえた塔に
天の雷が落ちて破壊され
地に投げ出された人々が描かれている
破壊された塔の先端と三つの窓からは
炎が上がっており
王冠は衝撃によって吹き飛ばされている

驕り高ぶった人間に
天罰が下っているような図像で
誰もがバベルの塔をイメージするのではないか
大いなるカタストロフであり
破壊や衝撃を表すと

神の家という解釈では
雷は神の天啓であり
破滅という側面よりも
覚醒や物事の新陳代謝としての一撃に
注目しているようである

炎には浄化や創造的意志という
象徴的意味合いがある
であるならばこれは
スクラップ&ビルド
創造的破壊と見做されるのか

さりとて
ウェイト版の塔はあくまで暗く
大いなる苦痛を伴うであろうことが
見て取れる
たとえ変革のための破壊であるにせよ
破局と混沌の中で
人々は狼狽えることになるだろう

秘密儀礼では
「ペーの小径」と呼ばれた
これは戰の小径とも言われる
困難な過程だという
次のステージへ進むためには
古いものは火で焼かれなければならない
邪なものや利己的なものを
浄化の火で焼き尽くすのだ

古い塔は解体される
偽りの自我像は崩され
私たちはもう一度
混沌の中から再建しなければならない
廃墟となった場所に立ち
新しい光の神殿を



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