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私小説『現代史』

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#記憶

僕のお姉ちゃん

僕のお姉ちゃん

何かとても重大で深刻な知らせを聞いた時、即座に強い大きな感情が湧いてこない。映画の中のような劇的なシーンとはかけ離れたほぼ無反応な自分がいる。

約10年前父が亡くなった時も、約1年前母が亡くなった時も、そうだった。認識はしている、でも情緒が反応しない、とでもいうか。身体も心も活動が止まっている。

音が無い空間に一人でいるような感覚。耳が聞こえなくなったわけではない。ありとあらゆる生活音に満ちて

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