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【第27話】イノシシよ、今から君を仕留めます②

 二頭目は、箱わなだった。箱わなとは、鉄製の柵で囲われた檻のこと。中に餌を仕込んでおいて、獣が入ったら扉を落とす。

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 え? 餌、入れ過ぎだって?? しかしここは愛媛県、みかんなら文字通り捨てるほど余ってるんですわ。

 止めさし(※とどめを刺すこと、詳しくは前章で)の方法としては、檻の場合、銃は跳弾が怖いので使わない。だいたいは接近戦で威力を発揮する「槍」や電気ショックで心臓を止める「電殺器」の出番だ。今回使うのは、電殺器。これまで聞いた話では、「外傷を伴わないから肉も傷まず、動物も苦しまずに死ねる」……ということだったが、果たしてどんなもんでしょうねぇ。


◇暴れん坊イノシシとバケツの水

 箱わなは、獣道から開ける踊り場のような場所に仕掛けてあった。こんなところ。

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 そして、ほら、かかっている。

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 牙がほぼ見えない。雌だ。さっきよりやや大きめの40kg級。もう本人はパニックで右も左も分からなくなっているのかもしれない。ドシャン!ドシャン! 派手な音を立てながら檻の中をぐるぐるに駆け回って、何とか逃れようと必死だ。柵に身体がぶつかろうと構ってられない。3m近くは離れていた私のズボンにも、彼女が跳ね上げた泥が飛んできた。

 そんなイノシシに、やおらバケツの水をかけ出す農家さん。突然かけられた方は何のことやら分からないかもしれないが、「おい、落ち着け! しっかりしろ!」の意味では当然ない。止めさしの電気が通りやすくするための下準備である。

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 入れ替わりで、電殺執行人ヒデさんの登場だ。

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