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彼女はどうしているのかな

何かの拍子に思い出す昔の親友、名前はNちゃん。
大阪に住んでいたNちゃんとは、19歳の頃に出会ってから数年間電話や手紙をメインとして、何でも話し合える親友でした。
そして、世の中には色んな生き方をしている人がいること、どんなに恵まれていても本人がそう思わないこともあるということを教えてくれたり、私を何度も何度も様々な角度からほめてくれて、人の言葉を信じてもいいのだと教えてくれた恩人です。


12月のライブハウスですごい美人さんと出会った

Nちゃんと初めて会ったのは1986年にさかのぼります。(昭和61年!)
大阪梅田にあったキャンディホールというライブハウスで、複数のバンドが出るイベントが終わって、メンバーの車が停まっていた所だったと思います。
私は当時つきあっていた彼に会いに仙台から遠征。彼は出演者の打ち上げがあるので、そのまま宿泊先のホテルに戻るつもりでしたが、せっかくなので声をかけてから帰ろうと裏口にいたのでした。

「こんばんは。どこから来たん?」

急に話しかけられその人を見ると、浜田麻里スタイルのロングヘア(読者さんでわかる人いるんだろうか。'86年頃の髪型)、背がスラっとしてスタイル抜群&ミニスカートから伸びた足も美しい美人さんがいました。
仙台のバンド界隈ではこんな美人さんはいなかったので、さすが都会は違うなと思いながら「仙台から来ました」と答えたら、Nちゃんはびっくりしてなんやかんやと質問の嵐。

Nちゃんは彼が所属しているバンドの大ファンで、色んな情報を教えてくれて、彼の地元関西には『遠距離』の私には知りえない世界が広がっていると知りました。(ちょっと寂しかった)
気取らず気さくな彼女とはすぐに打ち解けて、友達になりました。

異次元へまさかのタイムスリップ

話しているうちに深夜になり、Nちゃんの友達と私の3人でNちゃんの部屋へおじゃましたんですが、「ボロくて狭いからね」と言われ予想してた以上の狭さにビックリ。
昔々の木造建築?で下宿というスタイルなんでしょうか。
引き戸の広い玄関から入ると茶色の木製廊下がピカピカに輝いて、何ヶ所か
木製のドアが見えました。
靴を脱いだか忘れましたが、ドアを開けたら予想をはるかに超えた狭い空間が。。そこがNちゃんの部屋で3畳とかその位だったような。。確実に4畳半ではありません。

カルチャーショックです。異次元です。
これくらい狭い部屋を見るのも入るのも初めてのヨッシー。なんだか恐怖を感じます。
お風呂はないから銭湯でトイレは男女共用、これまた狭い和式だもんで、昭和初期?大正時代?にタイムスリップだ!と思いました。(落ち着かなくて残尿感だった)

気を取り直して部屋に戻ると、狭い空間でも整理整頓されているし、なんとなく育ちの良さが漂う中、「どうして美人さんがちょっと怖いこういう所に住んでいるのか」と疑問がふくれ上がりましたよ。
そしたら彼女、実は中国地方某市の旧家の娘さんで、親と折り合いが悪く家出同然で大阪へ出て来たとのこと。
家賃を節約するために、タイムスリップしながらストレスフルな環境に住んでいるワケです。
何があったか詳しくは聞かなかったけど、とにかく厳しい家柄とのことで、親と同居しながらバンドを追いかけるなんて無理だったんだろうし、バンドのためにはその環境もガマンできるということだったのかなぁ。

悲しい自己否定

その後、普通のアパートに引っ越したNちゃんはバンド界隈で一番好きな人と近しくなったり、別な人とつきあったりしていましたが、私からすると不思議に感じていたことがあります。
Nちゃんは月日を追うごとに、ますます美しくなっていったんですが、好きな人を前にすると遠慮の塊になるし、自分はかわいくないから好きになってもらえないとか、自己否定しまくるんです。
中型バイクを乗り回すカッコよさもあるし、周りにいる人たちが喜ぶことをさりげなくできる人柄だし、友達も多くて、私からするとどこが不足なのかわからなかった。

Nちゃんは私に対しても、本人が喜ぶような言葉を選んで、何かとほめたり承認してくれて、人は簡単に信用しちゃダメだと思ってた私の氷を溶かしてくれた人。

努力家の彼女はデザインの勉強を重ねて、アルバムジャケットの仕事を受注するようになったり、派手に見える外見で誤解されることもあったけど、それをものともしない真面目で向上心の塊でした。
でも、自分に対しては厳しくて、ダメ出しと自己否定の傾向があったのは、育った家が厳しすぎるとか、親(大人)の影響で認知のゆがみを抱えていたのかもしれません。
周りからすると、立派な家柄で豊かな環境に育った心身ともに美しい女性なんですけど。。

なぜその人と?がわからない

数年後、Nちゃんがバンド界隈から足を洗って一緒に住むようになった彼は、かなりレアな経験をした超個性的な人。(か、書けない)
私からすると怖い雰囲気を漂わせていて「そりゃNちゃんの好み通り、背が高くてスラッとしてるけど、なんでこの人なの?」と思ったけど言えませんて。
遊びに行った時には大阪や六甲をあちこち車で案内してくれたり、「自分の彼女の親友やから」ということで本当によくしてもらいましたが、やっぱり「どうしてこの人なの?」が消えませんでした。

その後、私たちの価値観も合わなくなって疎遠になりました。
1995年の『阪神』の時、久々に会話しましたけど、やっぱりこのまま離れていようと相互確認をして以来、どうしているのかわかりません。

親友と呼べる人の中で、リアルな交流は少ないNちゃんですが、あの夜「こんばんは。どこから来たん?」と声をかけてくれたことに、あらためて感謝だなぁと思います。
そして電話や手紙がメインでも、親友の関係が成立することを実証してくれたNちゃん。
彼女がどこで誰といても幸せでいることを願っています。

ヨッシーより

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