見出し画像

敵すら味方にしてしまう「人たらし」のテクニックを晒します。

こんにちは、よすです。
生活感満載のアイキャッチ画像でごめんなさい。

見ての通りぼくは本をよく読みます。
ですが、インプットばかりでは知識が右耳から入って左耳から抜けていくだけなので、本を読む暇がない読者のかたにもおすそ分けをしようと思います。

「might club」というマガジンにまとめてありますので、ぜひ今すぐフォローをよろしくお願いします。

さて、今回はあなたの周りにもひとりはいるであろう、「人たらし」のテクニックについて、心理学知見で解剖して晒してやろうと思っております。

ぼくと「あいつ」はなにが違うのでしょうか?

信じがたく為しづらい極意

敵すら味方にしてしまう人たらしがやっていること、それは

敵に助けを求めることで敵を味方につける

というテクニックです。
そのテクニックは「ベンジャミン・フランクリン効果」と呼ばれています。

ベンジャミン・フランクリンという人物をご存知でしょうか?
ベンジャミン・フランクリンは、アメリカ合衆国建国の父の一人であり、政治家、科学者、発明家、外交官、そして作家としても知られています。他に以下のような業績で知られています。

  • 独立宣言に署名し、アメリカ独立戦争中はフランスとの同盟交渉に貢献

  • ペンシルベニア大学の創設に関わり、公共図書館の設立を推進

  • bifocalsや避雷針、フランクリンストーブなどを発明

  • 電気に関する実験と研究を行い、正と負の電荷の概念を確立

  • 奴隷制度の廃止を支持し、黒人の教育のために学校を設立

幅広い業績が目立ちますが、この人物が今でも評価されている大きな理由の1つに、人心掌握の達人であったことが知られています。

彼は17人家族(!)の子どもだったため、早くから働く必要がありました。その過程で彼は印刷業の仕事に就くことでたくさんの本を読む機会に恵まれます。彼が幅広い知識を身につけることができた理由がそこにあります。それから彼は自分で印刷業を営むなどをして実業家として成り上がりながらアメリカ初の会員制図書館を設立します。

なぜ図書館を設立したのか。それは世の中に出版されている本を集め、あらゆる知識に触れられる環境を作るためです。いわば今のGoogleのような知識の宝庫を作ったのです。今よりも情報の流通がとても遅かった当時、彼が作った図書館の価値はとても高かったでしょう。

さて、フランクリンは政治家としても活躍していましたが、書記として出馬したあるとき、ある同僚議員に痛烈にこき下ろされるという事件がありました。選挙では勝てたものの、彼はその財産と教養を持つ同僚議員の批判をとても気にしていました。将来的に手強い敵になるかもしれないーー。

そこでフランクリンがとった行動が、今でもベンジャミン・フランクリン効果と呼ばれる強力な効果を生み出します。何をしたのか。

蔵書家であり、また図書館の設立者として知られていた彼は、その同僚議員にこんな手紙を送ったのです。

「あなたが持っている本は、非常に珍しく、また興味深い本である。ぜひお貸しいただきたい。」

この手紙を受け取った同僚議員は気をよくして本を送ってくれ、フランクリンは1週間後に丁寧な手紙とともに本を返したたようです。驚くべきことに、それ以降、その同僚議員はフランクリンの生涯の友人となり支援してくれるようになったというのです。

いったいなぜ?

フランクリンが同僚議員に親切をしたから好かれたという話ならわかりますが、話はまったく逆です。フランクリンは同僚議員に助けてもらった側なのです。

まったくの偶然なのでしょうか?いえ、このベンジャミン・フランクリン効果は1969年にジム・ジェッカーとデイヴィット・ランディによって行われた実験によって証明されています。

この直感と反する事実を説明するのが「人はなにをするかによって、なにを信じるかを決めている」という心理学的知見です。

どういうことか?

例えば、あなたの周りに学生時代では考えられなかった人が典型的な教師としてふるまい働いているというケースはないでしょうか?学生のころはぜんぜん優等生ともいえず、宿題もやらなかったし授業中もほとんど寝ていただけの同級生が、今では宿題をやらずに授業中寝ている生徒を怒鳴り散らしている、というケースです。

ぼくの友人にもまさにそのケースで不真面目な生徒をバリバリに指導している人がいますが、なぜ彼は先生になった瞬間に真面目な人間として改心したのでしょうか?

それは、彼が「先生」として行動しはじめたからです。大学での勉強、研修、教員試験、採用面接、本採用、・・というプロセスを踏み、教員として働くなかで1つ1つ「わたしは先生である」というアイデンティティにコミットを積んできました。それらのプロセスが彼を先生たらしめ、先生として生徒を叱らせているのです。彼はいいます、「授業中は寝るべきじゃない」と。

また、人は認知的不協和を積極的に避ける傾向があります。
認知的不協和とは、個人の信念、態度、行動の間に矛盾や不一致が生じた際に感じる心理的な不快感や葛藤のことをいいます。

例えば、自分が信じていた人が、ある不正を行ったと知ったときに大きなショックを受けると思います。これは、自分の中のイメージと現実との間に不一致が起きることで生じた不快感です。

この認知的不協和は人にとって非常に不快なので、人は認知的不協和を解消するために、自分の信念や態度を変えてしまったり行動を正当化したりすることがあります。

例えば、ダイエットの決心をしたのに成し遂げられそうになくなったとき、「来月からのつもりだった」とか「今月は〇〇があったから仕方ない」のようにルールを覆したりします。

また、自分が熱狂的に好きだった有名人が反社会的な行動をしたとき、「いや、これはなにかの間違いだ!」と頑なに事実を信じようとしない場合もあてはまります。

ベンジャミン・フランクリンが利用したのがまさにこれらの心理です。彼に本を貸した政敵は、自分の中に生じた認知的不協和に襲われたはずです。あんなに嫌っていたのに頼みごとに応じたという事実が、彼を意識的か無意識的かを問わず不安定な立場に追い込んだはずです。

そして、政敵がたどり着いた結論はこうです。「嫌いなやつの頼みごとに応じるわけがないだろう。俺はフランクリンのことが好きだ。だから頼みごとに応じたんだ。見てみろ、彼は礼儀正しくて良いやつじゃないか」。

おわりに

お読みいただいてありがとうございました。
この記事が役に立ちそうなご友人にもぜひシェアをおねがいします。

おしらせ

ファストな動画よりスローな文章を愛するメンバーシップを始めました。
初月無料でキャンセル可能です。
メンバーシップの掲示板であなたの記事を宣伝してくれたら読みにいきます。あなたの体験やノウハウをぜひ教えてください。
ちなみにぼくが公開している有料記事も読み放題です。

https://note.com/yosufuru/membership から参加いただけます。
今後ともよろしくお願いします。

参考文献

  • 思考のトラップ 認知バイアスを出しぬく17 のやり方

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?