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仕事を進める力と個人の性格を分けて関わると物事は進む

私は会社で複数のプロジェクトを進めている。
自分の業務は計画策定や進捗管理、リソース配分を考える役割で、様々な部署の人と関わることが多い。

関わる人も実務者から部長、課長などの意思決定者まで様々だ。
ときには役員への報告をすることもある。

こんな立場だと相手の役職やパーソナリティーに応じて自分の関わり方も変えざるをえない。
自分の目的はプロジェクトを進めることで、そのためには相手と協力関係を築き、円滑に仕事を回さないといけないからだ。

ただ、人と関わるのはとても大変だ。
このプロジェクトに限らず、本当に今までいろんなことがあった。
総じて言えるのは「仕事の能力と個人の性格、人格を分けて考えたほうがいい」ということだ。
きょうはそんな話。

役職や経歴を見て仕事の能力を期待していた昔

私はもともと役職や経歴を見がちだった。
例えば「この年齢で課長ならば仕事ができるはず」とか「過去に経理部門にいたからお金のことはわかるはず」とか。

だけど実際、昇進や部署異動の背景には多種多様な事情がある。
そのため本人が役職や経歴に見合う能力を持っているとは限らない。

なのに私は「課長だから決めてくれるはず」とか思い込んでいた。
たとえ客観的な事実を見ると決断力がなかったり、特定のスキルが無かったとしても思い込みは抜けなかった。

振り返ってみると自分がその人に責任を押し付けたかったのだと思う。
「自分はこの人より詳しくないから任せたい」
「自分が決めたくないから〇〇課長、決めてよね」
といった感じ。

でも実際のところ、これまで決断しなかった人に決断を委ねても物事は進まない。
専門的な知識がない人に仕事を任せ続けても進まない。

だから私は「仕事の任せ方を変えないといけない」と思い始めた。

仕事上の指摘と人格攻撃を混同していた昔

だけど当初は仕事の進め方を変えることに抵抗があった。
その理由は「仕事上の欠点と人格批判を混同していた」からだ。

仕事のスキルが足りない人も人格的には「いい人」であることが多い。
例えば決断できない管理職も仕事以外ならふつうに優しい人だったりする。

そのため「この人はいい人なんだけどなぁ」と思って「決断できない」という仕事上の欠点を棚に上げていた。
なんというか、その人を「攻撃している」ように感じたのだ。
そこまでして「自分の判断で仕事の進め方を変える」のにビビっていたともいえる。

だけど冷静に考えたら、仕事の関わり方を変えないと永遠に物事が決まらず、進まず、結果的にプロジェクトは失敗になる。
そうなるとみんな不幸になる。

じゃあやっぱりなんとかしないと。
でもどうしたらいいんだろう。
色々と試行錯誤した結果「その人の性格も加味して仕事の進め方を考える」ことにした。

これから実際に体験したケースを書いてみる。

例:優しいけれど決断しない管理職

「上司が物事を決めてくれない」
周りの一般社員の方々からそんな話をよく聞く。

私も以前にとあるプロジェクトで他部署の人と関わったとき、全然物事を決めない管理職に出くわした。
普段話すと気の良い人だ。
だけど会議では人の意見に対して否定的なことばかり言って、最終的には決断せずに先送りにする。

さて、どうしたものか。
会議の場で「〇〇さん、いい加減決めてくださいよ」と強く言うのは私の性格上難しい。
普段は「いい人」というのがあって、尚更言えない。

そこで「この人は出た意見に対してコメントをしたがる、でも独断で決められない」という前提で会議の進め方を考えた。
そして「事前に〇〇さんの考えをじっくり聞く時間を設ける」「会議の着地点は自分で考えて資料を作る」この2点に注意してやってみた。

この人は「自分の意見を言いたい、でも自分で決めたくない」という感じだった。
だからその人の意見を資料に入れたうえで、結論は自分で作った。

内向的な私は出たとこ勝負の会議でうまくまとめるといった瞬発力は無い。
だけど色んな人の話を聞いて資料に落とすのは得意だ。
だから事前に情報収集して、じっくり考えることにした。

そして資料の説明をするときは「これは〇〇さんのご意見ですが・・・」とちゃんと添える。
そうするとその人はひっくり返しにくくなる。
もちろんその人の意図をちゃんと汲み取る必要はあるけれど。

そのうえで自分が用意した会議の結論に誘導していく。
最後だけ「〇〇さん、この内容で進めてよろしいでしょうか」と言って、形式上その人が判断したように見せる。

そんな感じで個々の仕事の能力やクセを踏まえて関わり方を変えている。
正直しんどいけど、突然ひっくり返されたり予期せぬことを言われるよりはよっぽどマシだ。
あと、そんなことを考えなくてもバシバシ仕事を進めてくれる素晴らしい方も何人かいるのが救い。

個々の仕事のスキルも踏まえて全体の進め方を考える

以前はその人の性格や人格と仕事のスキルを混同していた。
そのため、仕事のスキルが欠けていることを前提として関わるのは失礼だと思っていた。

だけど大事なことは「仕事のスキル」と「個人の性格・人格」を分けて考えることだ。
決断力など、その人のポジションに求められるスキルが無いだけで、その人のことを批判しているわけじゃない。

そして、自分の上司の人たちは私自身に対しても同じことを思いながら仕事を振っているのだろう。
「まだ決断力が足りないな」とか「一人ひとりとの対話力がもうちょっとだな」とか。

結局は自分自身も「個々の仕事のスキルや性格を見ながら仕事を進める」力を身に着けている途中なんだと思う。
いつも自分の決断に自信はないけれど、足を止める訳にはいかないので分からないなりにプロジェクトを進めていくしかないのだ。

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