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市内RPG 11装備と4人目

翌日、1時。また、子郡駅に集合した。
「やっぱり休息は大事だねー」と魔法使いヒラ。
「力がみなぎるねー」と戦士ヤス。
「みんなレベル2だからねー」と勇者のぼくは言った。

「ところで、持って来た?」ヒラが尋ねた。

「一応、持って来たけど」
昨日、家に帰ったところで、ヒラからラインが来た。防具になりそうなものを持ってこいというのだ。

剣道部のヤスは防具一式を担いで来ていた。
「身に付けて」
「ここで?」
「そう。早く」
ヤスは服の上から面と胴、そして小手を身に付けた。
「Tシャツに防具ってダサいでしょ」ヤスは仏頂面だ。
「いいから、」
ヒラはケータイを取り出して写メ。
「はい、登録終了。防御力が上がったはずだよ。叩いてみるよ」

ヒラはヤスをバトルステッキで軽く叩いた。
「あれ?あまり感じない」
「それは防御力が上がったからさ」
ヒラが自慢げに言った。
「あまりかっこよくはないね」Tシャツに短パンに剣道の防具、、、ダサすぎる。
「面は暑いわぁ」
ヤスは面と小手を取った。防御力が少し下がった。

ぼくは、世界的スポーツブランドNEKEのキャップとごみ箱の蓋。ヒラは、麦わら帽子と短い簾。

「簾? 簾なんて、役に立つの?」
「いやー、鍋の蓋は持って来れなくて。無いよりましでしょ」

写メして登録。

「よし、防御力も上がったから。ガンガン、レベルを上げますか?」ヒラが言った。

そうして、ぼくらはケータイでグリーンスライムを見つけては倒した。なんとかレベル3。

「疲れたーーー」「もう動けなーい」ぼくら3人は、中学校の駐車場で寝転がった。しばらく動けそうもない。しかし、ここを魔物に襲われたら、終わりだ。
「あのさー、気づいたんだけどさ」
「何?」
「ぼくらのパーティー、体力の回復が追いつかない」
「だからかー」戦えば疲れる。しばらく休む。効率が悪い。
「もう一人、回復系がいるなー」

「あら、あなたたち、何してるの?」自転車に乗った女子が話しかけてきた。
?、カナだ。習い事のピアノの帰りらしい。
「3人そろって、そんなところに転がって」

ぼくらは顔を見合わせた。
「カナ、カナんちはお寺だよね。いつも人助けしなさいって言われてたよね」
「ぼくら、死にそうに困ってるんだ」
「僧侶になってよ」

ぼくらは魔王のことや市役所でのこと、戦闘やレベルアップのことなどを話した。
「たのむ、カナ。実家はお寺だし、きっと才能あるよ。」
「お経じゃなくて呪文だから、スマートな感じになれるよ」
「みんなのための人助けだから、、、お願い」

しばらく、カナはぼくらの話を聞いていたが、
「わかったわ、人助けね」と、カナは言った。

「じゃー今から市役所に、、、」とヒラが言うのを、カナが遮った。
「今日はムリ。今からピアノだから」
ばっさり切られた。

翌日、カナは少林寺拳法の道着を来て、市役所にやって来た。武闘家で僧侶って上級職、、、。

「やってやるわよ」
想定外のカナのやる気に僕らは少し引いた。

市役所で登録を済ませる。

これで、勇者、戦士、魔法使い、僧侶の4人パーティーがそろった。

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