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市内RPG 13カゲとの遭遇?

レベル5になったぼくらは、市役所での情報をもとに、子郡運動公園に向かっている。

レベル5の戦士、勇者、魔法使い、そして僧侶。
もうスライムやジャンボタニシは恐れない。

市役所の尾林さんは、子郡運動公園にいるカゲから情報を聞くようにと教えてくれた。無事にカゲに会えるのだろうか。

カゲ。市役所の探索部。一般市民を装って、勇者を支援する。

子郡運動公園にそのカゲがいて、魔王の情報をつかんでいるらしい。

子郡運動公園。市民の憩いの公園である。
プロ野球チームの福井丘ソフトバンホークスの2軍の試合や甲子園の予選大会がある。陸上競技場も併設されている。テニスコートもある。多目的グラウンドもある。遊具の広場もある。
天気の良い日には家族連れが多い。ぼくも小さい頃には家族でお弁当を食べたり遊んだりしてもらったもんだ。久しく来てなかったけど、
まさか勇者になって来るなんて、思ってもみなかった。

さて、カゲはどこにいるのだろう。

「ぐるっと回ってみようか」戦士ヤス、剣道部が言った。

「そうだね。球場に人はいないみたいだし」麦わら帽子の魔法使いヒラが言った。

「球場の向かいには、多目的広場があるわ。懐かしい。まだ木のジャンボすべり台はあるかしら」少林寺拳法の道着を身に付けた僧侶のカナが言った。

多目的広場に行く途中、何人かのランナーとすれ違った。みんな、暑い中、よく走れるなぁ。

向こうからピンクの帽子を被った小柄で痩せたおじさんランナーが走ってきた。

おじさんは手を振り、一定の速さで近づいてくる。

すれ違うときにおじさんのつぶやきを聞いたのだ。
「魔王は、、、、」

一瞬のことだったので、よくわからなかったが、おじさんははっきり『魔王』と言った。

「魔王って言わなかった?」ヒラが言った。
「確かに聞こえた」ぼくは言った。
「そうなの?」ヤスは気づかなかったようだ。
「聞いてみましょうよ」カナがおじさんを追いかけた。

ぼくらも後を追った。
おじさんはゆっくりだったので、すぐに追いついた。
「おじさん、おじさん、聞きたいことがあって、、、」
カナは走りながら声をかけたが、おじさんは止まってくれない。

しかし、ぶつぶつ独り言をつぶやいている。
「魔王は、、、」

「魔王って確かに言ったよ」今度はカナがぼくらに振り返って言った。

おじさんは止まらない。ぼくらもやっとおじさんに追いついた。

このおじさんがカゲなのか?

(続く)

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