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【読書感想文】暇と退屈と恋とセックスの倫理学

 久々のジャケ買い(←死語?)。「オードリー若林さん絶賛」という絶妙な帯にも魅かれて。久々のヒット★★★


■「暇」と「退屈」の違い

『暇』…I have nothing to do.「なにもすることがない/する必要がない」

『退屈』...I'm bored.「退屈だ/つまんない」

例えば、飛行機の中。仕事も家庭のことも考えなくていい。新聞も雑誌も読み終え、寝ようかと思ったけど眠気もこない。スマホも使えない⇒「なんにもすることがない/する必要性に迫られていない状態」が『暇』

対して『退屈』仕事中など。バイトでも正社員でもいい。やることは沢山ある。今日中に膨大な量の手書きアンケートをエクセルに打ち込まないといけない。ある役員とある役員を引き合わせる時間調整をしなければいけない。それは「やるべきこと」「ミスしてはいけないこと」なのにとってもつまらない。退屈。やりたくない。(※人によってはそういうことが好きな人もいて、その人にとっては同じ事が全く退屈ではない。つまり退屈とはとても”主観的”な状態。


■『暇』と『退屈』の2軸から生まれる4つの状態

①「暇している×退屈している」(することがなく、”気持ち”的にもつまらない)※精神と時の部屋?
②「暇している×退屈していない」(することがないが、”気持ち”的には楽しい)※好きな場所や大自然の中でぼんやりしている
③「暇していない×退屈している」(することは沢山あるが、”気持ち”的にはめちゃくちゃつまらない)※単純作業とか? 映画「ファイト・クラブ」のテーマ。
④「暇していない×退屈していない」(することは沢山あるが、”気持ち”的には楽しい)※せっかくやるなら楽しくやる


■4つの状態は自分で変えられる要素もある<特に”退屈”という主観性(気持ち)においては。>

▶Case1:私はたった今、このnoteを書いている状態は②「暇している×退屈していない」に当たる。さっきまで、たまたま早起きをしてしまい何もすることがない①「暇で退屈」な状態だったが、noteを書く必要に迫られているわけでない(=仕事ではない)中で、それを見つけ、楽しんでいる。暇だが、退屈していない状態に自らを変えた。
▶Case2:③「暇していない×退屈している」(2時間ずっとジャガイモの皮をむかなければならない。窓のない無音の部屋で。)の状態をどう変化させるか。それは人とのおしゃべりであったり、好きな音楽をかけステップを踏む(←作者はそこに『文化芸術』が生まれるとも言っている)。するとどうだろう。状態は④「暇していない×退屈していない」(2時間ずっと手を動かしてジャガイモの皮をむかなければならないが、同僚とのおしゃべりや歌を口ずさむことで楽しい気持ちになっている)へと変化する。


■急速に「暇人」になっている現代人

「暇=何もすることがない・する必要がない状態」こそ、現代人の抱える大問題だと思う。だって現代人にはどんどん『暇』な時間が増えているから。

「アレクサ、トイレットペーパー買っといて」と言えば、近くのドラッグストアまで散歩がてら歩いて行って、目的のもとを買うついでにおいしそうなお菓子まで見つけてしまいちょっと迷い、帰り道に新しくオープンした店を見つけ少し覗いてみるという機会、そのすべてを失った。30~40分程度かかっていたことが、5秒で終わってしまう。⇒暇。
洗濯をして、天気を気にしながら干して、乾かして、畳んで…としていた行為が、全自動乾燥機付き洗濯機と、シワにならない素材の服の登場によって、大幅に時間短縮された。⇒暇。
今日はリモートワーク。これまでドアtoドアで1時間ほどかかっていた通勤(=往復2時間)が、18時に就業のログアウトをすれば、あっという間に自分の家、自分の時間。⇒暇。

そしてすぐそこにある最高の『暇つぶし』機械=スマホ。その危険性については「スマホ脳」も読んでほしい。かなり人間を骨抜きにしている。何も考えないヒトの量産。依存。目が悪くなる。身体的にも精神的にもヤバみ。

ちなみにスマホを使って『暇』を潰せても、『退屈』を潰せるかは、前述の通り別。ずっと面白くもないSNSやYouTubeをダラダラ見続けているのは①(暇×退屈)の状態でしかない。


■私なら、、、

スマホを手放せる『暇つぶし』、かつ『充実/楽しい』機会がもっとほしい。

サウナが流行っているなんてとてもいいと思う。何もすることがなく、充実した時間。スマホをもってサウナには行けないしね。(もしサウナ内の高温高湿に対応したスマホが発売されたら、サウナ―にとって貴重な『暇つぶし』の時間を、攻撃的に奪おうとするそのメーカーを、私は心底恨む。)

Wi-Fiももう飛ばさないでほしい。僕はカバンにいつも本を一冊入れている。それでいい。地下鉄や機内で電波が飛び始めた頃のビジネスマンの落胆よ。電話とかメールから”強制的に”離れられる時間ってめちゃくちゃ貴重。なのにそれが奪われ続けている。


■恋愛とセックスで暇と退屈を打破

私は常々、『恋愛は最高の暇つぶし』と言っている。

好きな相手のことを一方的に考えていたって何も生まれないし、正解は無い。つまりは”ムダの極み”、する必要のないことなのに、楽しい。特に「付き合う前」が良い。

なぜか?

♡付き合う前=②「暇している×退屈していない」

…朝起きて。夜寝る前。好きな人のことを妄想し、メールしようかしまいか、どんな文章が響くか、数分悩むのが楽しい。

♡付き合った後=③「暇していない×退屈している」の状態への変化(※のリスクがある)

…メールをしないといけない。いつ帰るか連絡しないといけない。結婚するかどうか迫られている。自分はしたくなくても相手や自分の親にそのことを説明しないといけない。。それは「する必要がある」のに、全然楽しくない=退屈している。

と、ならない努力や、気の持ちようは、勿論必要かと。


セックスなんかも考えてみると「暇」と「退屈」に絡んで様々あると考察する。スマホをいじりながらセックスはできない、という点においてもこの行為もお勧め。※たまにスマホと人を同時にいじる奴もいるが。。

①「暇している×退屈している」→そんなセックスあるのか!?する必要がなくて、かつ、つまらないセックスをしている状態ってどんな?もはやペット?
②「暇している×退屈していない」→理想の暇つぶし♡「あー、今日は雨だしすることないね。セックスでもする?その後、朝メシ食って…」
③「暇していない×退屈している」→作業的子作り?(義務×さっさと終わってほしい)
④「暇していない×退屈していない」→アツめの子作り?(結果として子供もほしいし、あなたとしているときはめちゃくちゃ楽しい!)

娼婦(娼夫)のレベルも③と④で変わってくる気がする。セックスを毎日の仕事としながら、それを退屈と思うか楽しいと思うか。てか仕事ってどれもそんなもんか。



嗚呼、今日もムダなことを体系的に整理できてたのしかった。

いい暇つぶしな朝でした。

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