AI 泣かせの人になれ ⑤

帰国子女の調査とは、具体的には、彼らが共通して抱えている日常生活における不自由に感じること、ルールとか常識とかメンタルに関することとかをクリアに洗い出す調査だと、ヒロさんから聞いていた。
先ず、どういうタイプの生徒を集めようかなぁ、
“住んでいた地域”
“住み始めた年令”
“住んでいた期間”
“家庭内外で使っている言語”
プロファイル的な項目は問題ないと思うけど、帰国子女の解決したいことって何だろうか?

とそこへ、ヒロさんのけたたましい声。
「Uヘイ、Uヘイ、何、考えてるフリしてるの、アクション・リクアィアド(Action Required)」
「ヒロさん、ボクの頭の中まで見えないでしょ。今、脳の回路、光速で回ってますよ。ヒロさんの声とシンクロして熱を発しそうですけどね。」
「甘い、甘い。頭の中は見えなくても、仕草や表情から何でも分かっちゃうのよ、私みたいな勘100%の人間にはね。」
と機関銃のような反応。
「で、その答えが“考えてるフリ”っていうのは、いかがなものでしょう?」
「いかがもタコも、伊賀も甲賀もないのよ。あるのは私の頭脳だけ。」
と再度マシンガンのような反応。
「アクション・リクアィアドは略すと”AR”、ARといえばポケモンGOということは、UヘイGO!さあ、行って来なさい!」
「そのARはこのARと違うかと?うぅん、なんだっけ?”Action Required(先ず、行動在りき)”と”Augmented Reality(拡張現実)”だ。」
「そんな正解を喋ってる暇あったら、UヘイGO!行動あるのみ、脳みそは出汁を入れた後だからね。解決したいことをUヘイが考えてどうするの、それをヒアリングするのよ。GO!」
その通りっと納得してしまった私。


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