環境が人格形成に与える影響
大学1年次の生物の講義で、「人の性格はずっと変わらないか」というテーマでレポートを書いた記憶があります。
この時私が参考にしたのは、一卵性双生児が赤子の時に違う国と家族で育てられた場合どうなるのか、という研究をした論文で、当時の私にはとても衝撃的でした。
この時は、まだ事例が少なかったのですが、最近また同じようなレポートがあったようです。
※こちらです。
人間は様々な特徴や個性は遺伝子による影響を強く受けています。
例えば、IQは80%が遺伝するといわれ、遺伝子が同じ双子はほぼ同じ結果となるそうです。
一卵性双生児は1つの受精卵が分裂して生まれるため、基本的に同じ遺伝情報を持ち、性別、血液型が一致するだけでなく、身体能力や学力なども類似性が高いと言われています。
しかし、人間は遺伝子のみによってつくられるのではなく、周囲の環境も強く影響していることは、皆さんもよくわかるのではないかと思います。
1974年に韓国で生まれた一卵性双生児の双子のお話です。
2人は2歳になるころまで、実の親によって一緒に育てられていました。しかし、双子のうち1人が市場で行方不明になり、実家から約160km離れた病院に運ばれてしまいました。
実の親はいなくなった子どもを探しましたが出会うことはできないままでした。孤児となった子どもは最終的にアメリカに住むカップルに養子として迎えられました。
2人は「韓国」と「アメリカ」という全く異なる国で、別の家族でそれぞれ育てられることになります。
その後、2人は出会うことなく大人に成長しましたが、韓国で行われていた「行方不明の子どもを追跡するプログラム」にアメリカの双子がDNAを提供しました。
すると、韓国に生き別れの双子がいることが判明しました。2人は生き別れてから40年以上が経過した2020年に再会を果たしたとのことです。
この双子に注目したカルフォルニア州立大学の研究チームはこの双子に接触しました。
研究チームは、双子の家庭環境・一般的な知性・非言語的推論能力・性格特性・価値観・自尊心・メンタルヘルス・仕事の満足度・病歴などを評価したほか、これまでの生活についてのインタビューを行いました。
結果は、双子の価値感や認知能力には違いがあるというものでした。
韓国で育った双子は、協力的でまとまりのある雰囲気の家庭で育ちました。また、知覚的推論と処理速度に関する知能テストでかなり高い結果を獲得しました。価値感は、集団主義的であることがわかりました。
アメリカの双子は厳しくて宗教的な考えが強く、家族間の衝突もある家庭に育ちました。そして、価値感は個人主義的であることがわかりました。
一方で、双子はまったく異なった文化と環境で育ったにもかかわらず、お互いに似た性格だったことがわかっています。2人とも誠実性な傾向が強い一方で神経症的な傾向は弱く、それぞれの仕事は行政官と料理人と違っていたものの仕事の満足度は同様でした。
さらに双子は同様のメンタルヘルスの分析結果を示し、自尊心の尺度も同一の数値だったとのことです。
同じ文化と環境で育ったとしても、生まれたときのまま一生変化しないというわけではなく、周囲の環境からの影響で正確は大きく変化します。
つまり、もともとの性格に生きる環境が掛け合わされば、同じ性格の人がいないということは当然です。
自分と性格が合う人もいれば合わない人もいます。だからといって、「性格が悪い」「好きじゃない」と割り切ってしまうのはどうなのでしょうか。
その違いがあることが自然であるならば、それを受け入れて向き合うことから始めることが自然なのではないでしょうか。
そして、自分自身の関わり方ひとつで、その人へどのくらいの影響があるのかを考えると、また、かける言葉や示す態度が変わってきそうではないでしょうか。
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