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【川崎フロンターレU15の日々(裏側)】

※写真はU18時代のものです。

前回までの記事の様に小学生時代は自分の本能のままにサッカーをやって
きました。練習が面倒だなんて考えた事もなかった。それくらいサッカーに
のめり込んだ生活をしていた。

今回の【U15での日々(裏側)】とは、私生活(学校生活)にフォーカスをしています。
"サッカー選手は、ピッチ外での行いが、ピッチ内に現れる”
この言葉は、僕が大変お世話になった指導者の方の言葉。
サッカーがうまくいかない時に自分を客観的に見て、生活を見直す事を学んだ。サッカー選手である前に、人としてどうなのか。
人間性を鍛えてもらったのは、この時期で、何よりも大切なことだと考えています。

中学生になると、【制限】が増えた。
制限というのは、チームの決まり事。
・学校の成績を学期ごとに提出する義務があった。
・身だしなみ(眉毛NG,整髪料NG)

そして、年に1度、監督が抜き打ちで学校に訪問(授業中)し、担任との面談があった
。つまり、クラブと学校が連携をとり、僕たちは監視されていました。笑

クラブがこの様な取り組みをしている理由は、伝えられていた。
それは、「大きな看板を背負っている自覚を持つ」という事。
当時のトップチームは、J2から昇格し、やっと上位争いに毎年関わる、勢いのあるチームになっていた。
そんなクラブのアカデミー生が学校生活を疎かにしていれば、周りの人々はどう思うか。
”選ばれた選手である以上、見本になる行動をとること”
”一流のサッカー選手を目指す為には、一流の人間性を備えること”
など、意図は理解していた。
実際に電車での態度など、クラブに注意の電話・メールもあった。

練習は週2回、必ずOFFがあった。小学生高学年の頃の方が忙しかった。
新学期当初は、みんな部活がある為、僕が休みの日に遊ぶ人はいない。
徐々に部活を辞める友達もいたが….不良の道へ。笑 小学生から仲の良い友達だったが、一緒に遊べる訳がない。
だから、休みの日はまっすぐ家に帰り、ひたすらゆっくりしていた。というよりかは、何をしたらいいのかわからなかった。
小学生の頃は、決まった日にサッカーがあって、他の日には習い事があって。何もない日は友達と遊ぶのが当たり前だった。何もない日がなかかった。
放課後の遊びの誘いもメンバーを見て選んだ。何かに巻きこまれるのは、許されないので、
”こいつらなら平和だな”
”ちょっとやんちゃなことしそうだから、断ろう”
など。勿論、放課後なんて後者の人たちからの誘いが多く、ほとんど断った。友人にも理由は正直に話した。
幼稚園から一緒にサッカーをしていた友人だから、僕の事情は理解してくれたし、応援してくれた。そして、距離も少し置く様になった。

徐々に学校に慣れてきて、友達との距離感もある程度、分かってきた。
ただ、自分では線引きをしているつもりでも、他人からの見え方は違うことも学んだ。
近くにいる。それだけで僕も同じ扱いをされてしまう。自分は授業もしっかり受けているし、集会だってしっかり話を聞いている。チャイム着席だってしてた。
だけど、【仲がいい】ってだけで、同じグループにされた。

中学校になって、初めての三者面談で担任の先生から母親にこう伝えられた。
「たけし君は、〇〇君たちといつも一緒にいて、仲が良いです。サッカーチーム的にそれはどうなんですかね〜」と。
家に帰ると母親に厳しく注意された。
僕は全然納得できなかった。なぜこれ以上、友達との関わりも制限されるのかと。
でもこれが、"周りからの見られ方”で、【大きな看板を背負っている】責任なんだと。
それからは、周りからの見られ方を意識して、極力一人で行動しました。笑
休み時間も基本的には、席からは離れない。学校からも一人で帰る。
全てはサッカーの為に。

ちょうどその頃、コーチに提出していたサッカーノートがあった。
それは、僕がサッカーのプレーについて書く→コーチがアドバイスを赤文字で返してくれるというものでした。
僕はいつも通り、サッカーについてうまくいったこと、いかなかったこと。課題。を書いて提出した。自分が書いた内容は覚えていないが、コーチから返ってきた言葉は今でも覚えている。
”私生活は大丈夫?サッカーの乱れは、私生活の乱れ。まずはピッチ外の生活から見直してみよう”
こう書かれていた。だから、サッカー以外を見直すことにした。
・起きる時間を統一する。
・学校での授業態度
・掃除もサボらずやる
・人に対する思いやり
などなど、当時の中学生の僕が思いつくものを全て意識してやってみた。
コーチの言う通りだった。サッカーも丁寧にプレーすることができる様になっていった。

正直、中学生の頃は、ストレスが多かった。
しかも、サッカー的なストレスではなく、学校面や私生活面で。
今思うと、この頃は、義務的にサッカーをしてたなと。学校に行って、何事も起こらない様に過ごして。練習に向かう。
休みの日に”サッカーしたい”なんて思った事がなかった。
最高な環境にいたはずなのに、そう思えなかった。当時の自分に会えるなら、本当にサッカー好き?って聞いちゃうし、そんな感じなら絶対プロなんかなれないって教えてあげたい。笑
中学2年生の頃、チームメイトの素行の悪さで、連帯責任として、1ヶ月間活動停止になった。毎日、学校のトイレ掃除、昼休みの教室掃除。それもチェックシートがあり、毎度先生に評価(○、△、×)をもらわないといけない。週一回、監督に提出しにいく。誰かが△・×があれば、1週間やり直し。修正機を使うとか、鉛筆で記入して提出するなど、不正があれば更に延びる。
なんだかんだで、約2ヶ月、練習も試合もなかった。そこで初めて、サッカーしたいと思った。って言うか、サッカーやる為にこのクラブに入ったのに自分たちは何をしているんだろう。と。
いかにサッカーがある毎日が当たり前になっていたか。良い環境が当たり前になっていたか。
この2ヶ月間は、正直キツかった。やりたくもないことをやらなきゃいけないし、終わりが見えないし。
それでも頑張れたのは、サッカーがしたいって気持ちが強かったし。それが、日が経つに連れて増していった。
今となっては、笑い話で当時のメンバーと話すと賛否両論。笑
"いい経験だった"という人もいれば、"違うやり方あったでしょ”って人も。
僕は"いい経験だった”と思う。でも、当時はそう思えていない。それが勿体ない。
だから今、指導者として選手を見ている時に、サッカーできてるのが当たり前いい環境が当たり前で、サッカーをこなしている様に見える選手達に伝えたい。
ボールを蹴りたくて・触りたくて、うずうずしている子が少ない。

当時の自分をサポートできるとしたら、もっと純粋に"サッカーを楽しむこと”を本気で伝えたい。なんなら学校生活も楽しめって、伝えたい。
なぜなら、"サッカー選手は、ピッチ外での行いが、ピッチ内に現れる”から。
私生活を楽しめてない(心が満たされていない)選手がサッカーを楽しめる訳がない。人生を楽しめてる人って、何ごともうまくいく。大人になってそう思う。仕事に義務感がなくなった方がいい仕事ができる。
同じ環境で育ち、プロサッカー選手になった人達は、自分の心に正直だった。サッカー楽しくない時はやんないし、好きな様にサッカーを楽しんでいた。だらけて、評価を受けない時期もあった。でも、そんなの気にしていなかった。
相当な努力をしてプロになっているし、プロになってからも僕らの見えないところで努力をしていると思う。だけど、無理して頑張っていない。自分の心に嘘をついたり、騙したりして、頑張らない。
僕は、自分に正直ではなかった。周りからの評価を気にしすぎていたと思う。

あくまでも僕が経験して感じたことで、しかも指導者になってみて、【プロになった人間】【なれなかった自分】を比べてみて、気づいた事が多い。
当時、こんなことがわかっていたら、自分の人生は変わっていたのかもしれないとも思う。だからと言って後悔はしていないし、誰も教えてくれなかったことを憎んだりもしてない。
だって当時の僕の周りには、僕みたいな人がいなかったから。【元プロ】のコーチがほとんどだった。それは、大変ありがたい事で、プロの技術を近くで見て・感じて・真似してうまくなることが沢山あった。
だけど、僕みたいなコーチがいてもいいと思う。僕にしか伝えれないことが沢山ある。だから、今は楽しい。当時の僕に今の自分を会わせて、教えてあげたい。

ここで一番伝えたいのは、義務的にサッカーをしないでほしいということ。
以前の記事でも触れましたが、今はサッカーを教わる環境が沢山あります。これは非常にいいことです。それが故にサッカーが早いうちに義務的になってしまっている傾向をよく見ます。
親御さんが一生懸命、子供に必要なスクールを探して、入会して。送迎も頑張っている。気付いたらほとんど毎日がサッカー漬けなんてことも多いのではないでしょうか。
子供が「今日は休みたい」って言ったら叱ってしまっていませんか?
いくらサッカーが好きだからと言っても、疲れてしまう時もあります。
"自分でやるって決めたんだから、頑張りなさいよ!!"って。

友達と遊びたいって思うときもあるし、野球をしたくなる時もあるし、バスケにハマることもあるでしょう。ゲームをやりたいって思う時もある。
そんな子供達の子供としての心が満たされる時間があってほしい。
本当にサッカーが好きな子であれば、友達と遊びに行ったって、野球・バスケにハマったって、必ずサッカーがやりたくなります。やっぱりサッカーだなって気づきます。
そして、自分からボールを蹴りに行くでしょう。練習するでしょう。スクールに行きたいって申し出があるかもしれません。
そんな子は、休みがあったらボールを蹴りたくなるでしょう。これが自主練につながる。

その為には、サッカーに熱中する前に色々なことを経験する事が必要だと思います。
色々な経験をしなかった場合、小学生のうちは、大人のパワーの元、なんとか続いたとして、中学・高校となって、人間的に自立し始めた時、今までの【反動】で容易にサッカーをやめてしまうかもしれません。そんな仲間も沢山いました。
例えば、野球をずっと続けてきて「丸坊主」が当たり前だった選手が、高校引退した途端に髪の毛で遊び始める。そして、その後、また坊主にする人は…ほぼいない。笑 「坊主」が当たり前だったのに。これは長い間、髪型を自由にできなかった【反動】だと思います。聞いたことはありませんが。個人的には、そもそも坊主にする意味がないと思っています。だって、選手がしたくて坊主にしているわけではないから。でも、世の中には、坊主が好きで坊主にしている人もいます。
色々背景的には違うかもしれませんが、似た様な事がサッカーでも起きていく、既に起きているかもしれません。本当に毎日サッカーやりたいかどうか。

サッカーを毎日やること・スクールに毎日いくことを否定している訳ではありません。直感的にサッカーが大好きでそれが楽しいのであれば、それがその子供にとって一番成長できることです。
そういう子を見て、”うちもやらせなきゃ”ってなるのを気をつけてください。
人それぞれです。その子の成長を見極めてください。それは、技術的な部分ではなく、心の成長を。

プロサッカー選手になる上で一番大事なことは、心底サッカーが好きかどうか・サッカーが楽しいかどうか。ここに尽きると思います。当たり前のことだけど、一番難しい。
その為には、日々サッカー以外の部分を【充実させる・満たす】必要があるのではないでしょうか。

当時ジュニアユースに所属していた、同学年の選手(20人前後)からJリーガーになった選手は【0人】です。
つまり、どこにいるかではなく、どうやってサッカーと自分と向き合うか。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
また次回、お楽しみに。










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