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真っ白になる。<vol.1>

不確かな現実に嫌気がさすのにも、

もう慣れてきた。

ゆっくりゆっくり、

現実はボクの足元に忍び寄る。


歳を重ね、保守的な考えが直ぐに浮かぶことは、

成長と言えるの?とか思うこともあるけど。

その不確かな現実に嫌気が差すのも、

ようは慣れだ。

とか本当に思ってもいる。


オトナになるってムズカシイ。


あれは、いつの頃だろう。

初めて自転車に乗れたあの日、

今でも鮮明に風景が思い出せる。

多分、小学校に上がる前だったはず。


友達の家でヨロヨロしながら、

補助輪を外した小ぶりな自転車は、

でも確かにゆっくりと前進を始めた。

少しずつ少しずつスピードに乗って、

いつの間にか安定しだした自転車は、

ボクの見てきた世界を変えてしまう程の

高揚感と自己肯定感を与えてくれた。


あんな無邪気な自分に戻ってみたい。

誰だって、そんな過去の一つや二つあるだろう。



あの頃から変わってしまったのは、

いったい何なのだろうか。


その変わってしまった原因が、さっきの

成長だとしたら、

この成長は必要な成長だったのだろうか。


ボクにはまだ答えが出せない。


答えが出せないボクは、未だに

オトナとコドモの境界線で

静かに夕焼けを眺めているのかも知れない。



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