見出し画像

スタービーチ.com

昔話。

最近はマッチングアプリ、一昔前は出会い系サイトって言ったっけ。

この手の名前が浸透してからのサービスにお世話になることはなかったけど、ビジネスはじめてからは市場調査とか情報収集のために一通り触ってます。

率直な印象として、まあ今のマッチングシステムは女性強しやなと。媚びる男、おだてる男。御膳立てして、顔色伺って、奢って、ええ格好して。マッチングや出会い系が不健全なイメージなのはそんな構図が出来上がっているせいでもある。

スタービーチ.com

伝説の出会い系サイトと比喩されることもあるけどこれについて語ってみようか。なんせ全盛期世代。

おいおい出会い系かよ?と思ったあなた。新しい人=若い人やね。

そもそもその時代の背景まで遡る必要がある。
スタービーチ(以下スタビ)がサービススタートしたのが2000年代。

携帯電話=ガラケーが普及してきた黎明期でその当時高校一年生。

それまでの義務教育時代のコミュニティって、本当に学校内というせまーいコミュニティやったわけ。今みたいに、こんな文章書いて見知らぬ誰かが見てくれたり、ましてやコミュニケーションを取れる手段なんか存在すらしてなかった。

友達と遊ぶにも、家にアポなしで突撃するしかない。事前に打ち合わせして待ち合わせしても、現地で連絡手段がないもんやから大変。友達に電話するには家電にかけるしかなく、親が出るので緊張しまくり、ましてや異性の家にかけるとか無理ゲー。

そんななか颯爽と登場した携帯電話とかいう神デバイス。いやもうそら神ツールよ。DR stoneじゃないけど遠隔の連絡手段の確立は世界を変える。

ワン切りとかチェーンメールとか、今から思えば意味のないあほな儀式も当時は新鮮で、個々の繋がりとアイデンティティの確率に一役どころか百役くらいかってたはず。

そしてスタビの登場。今でこそ出会い系と呼ばれるこれを語るにはメル友という概念を理解してもらう必要がある。

前述したような時代背景のなか、顔も知らない赤の他人とコミュニケーションがとれるようになった。

今現在、マッチングアプリしてますとおおっぴらには言えない雰囲気が出来上がっているけど、当時はメル友がいるのが普通でスタビをやってるのも普通。今で言うTwitterやってますインスタやってますみたいなそれがスタンダードやったと認識している。

今のSNS依存みてわかるようにハマらんわけない、そしてその頃のコミュニケーションって対面がデフォルトなもんで、自然と会おうかという流れとなる。それでも、今のマッチングアプリでマッチして気合い入れて会いに行くみたいな感じではなかったね。

どっちかというと、リアルの友達と遊ぶ方が面白いってのがあって、メル友のアポは暇があったらという感じ。逆に今では信じられんかもしれんけど女の子側がアグレッシブやったよね。

『暇やー誰かあそぼー』とスタビに投稿したら、他府県から電車乗り継いで2時間半かけて見知らぬ女の子が遊びに来る。次の週はまた別のメル友の女の子が遊びに来る。そんな感じ。今のマッチングシステムからすると本当信じられんけどね。でも当時、男子も女子もそんなん関係なしに、見知らぬメル友に会うことに抵抗も羞恥心や不信感も抱いてなかった。そこにはワクワク感や希望しかなかった。

まあこれはメル友黎明期の話で、もちろんその後色んな問題がおこって閉鎖に至るわけやけど。一つ言えるのは、その当時のスタビは単なる出会い系サイトではなく間違いなく新しい世界がそこにあった。

そしてもう一つ間違いなく言えることは、性は乱れていた。

これはもうしゃあないよ。思春期、好奇心、コミュニティ範囲の爆発的拡大、気軽に会える環境の確立、なるべくしてなった図。

投稿『暇やー誰かあそぼー』
見知らぬ女の子「いいよあそぼー」
やんじぇ『何して遊ぶ?』
見知らぬ女の子「うーん、わからん。えっちでもする?(笑)」

こんなんしゃーなくない?誰が悪いとか被害者とかそんなレベルじゃなくて、同年代の十代(そーいや20代とマッチングすらした記憶がない)の思春期の異性同士。今みたいに危機感や不信感、抵抗感のない新しい世界に出会った。性が乱れていたというより開放された、開かれたというのが真相。

現時点での倫理観をもって審議にかけるとなると問答無用でアウトー!なわけやけど、その当時の倫理観とはまた別物。かつては夜這いの風習がスタンダードだった時代もあるわけで。

武勇伝みたいにスタビで女食いまくったドヤー!してるようなのもいるみたいやけど、そんなん誰もみんながやってたことで、今の倫理観で判断される今そんなんドヤッてアホやなとしか思えんけどね。

話をふりだしの冒頭に戻そう。
現代のマッチングアプリが何故このような状態になっているかというと、それは世界が変わって広くなったから。

学校内という限られたコミュニティから舞台が日本全国世界全土へと拡がったから。

学校内で足がはやくて、頭がよくてモテてたやつも、それはあくまで学校内という範囲。限られたテリトリーの中での話で競争率は低く、その結果限られた範囲のコミュニティ内でカップリングが実現した。

ところが、世界が拡がりコミュニティの範囲も拡がった。かつて学校で一番足の速かったやつも全国区では無名。ごく一部の強者が総取りできるシステムへと変わってしまった。

黎明期のスタビ世代は謂わば混沌。混沌が秩序を以て統べられた暁となる現代。

未婚率の増加が叫ばれてるけど、実はこのあたりが関係していると睨んでいる。単純に時世の問題。

スタービーチはあの時代だったからこそ伝説のスタビだった。今ポッと出てきても、ああいう感じにはならんやろうね。

テクノロジーは進化して便利な世の中になっていくけど、それが全て良いというわけじゃない。

Twitterもインスタも、近い未来には語るに恥ずかしい位置づけになってるかもしれない。いや、もう既にそうなりつつあるか。

スタビ伝説 完










サポートはうまいもの食べて原動力へ