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毎日超短話2023

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超短い話を毎日1話ずつ。〜200字程度。2023年版。
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記事一覧

毎日超短話476「森羅万象」

毎日超短話476「森羅万象」

ウサギがバトンを持って海にもぐった。龍にそれを渡すと、「また12年後に」とウサギは海から上がり、野原を駆け回った。

よいお年を、と森羅万象に言いながら。

一年前の超短話↓

毎日超短話475「粉雪」

毎日超短話475「粉雪」

粉雪に紛れてパン粉が降っている。そのパン粉に紛れて天使が降っている。今年いちばんの美しい風景だ。

一年前の超短話↓

毎日超短話474「衝突」 #シロクマ文芸部

毎日超短話474「衝突」 #シロクマ文芸部

「最後の日くらい、いっしょにいない?」

たった今、離婚届を提出したばかりのあなたがそう言う。明日は地球と彗星が衝突する確率が70%の予報。このところ20%だったから、明日こそ「最後の日」になるかもしれないと思っている人も多そうだ。それでも離婚届が受理されるくらい、街は粛々と業務をこなしている。

「最後の日なら、いっしょにいない」

最後の日なら、あなたはあなたといっしょにいたい人といたらいいよ

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毎日超短話473「みんなのうた」

毎日超短話473「みんなのうた」

子ども向け番組から、歌が流れてくる。

♪あぁ〜はらまき〜好きな人はめっちゃ好き〜

ほとんど何にでも言えるな、「好きな人はめっちゃ好き」。理由のいらない、めっちゃ好き。

一年前の超短話↓

毎日超短話472「Don't worry be happy!」

毎日超短話472「Don't worry be happy!」

待ちあわせ場所に行く途中、友だちを見かけた。神妙な面持ちで気になったので、声をかけた。彼女は人を探しているらしい。

「どんな人?」

まだ時間があるので、一緒に探しあげようかと思う。

「赤いボーダーのロンTで、帽子を被ってて、青いカラーパンツの、杖を持ってるメガネの男」

その人は昨日、絵本の中にいた。もしかしてここは絵本の中かもしれないと、昨日見たかけたとこへ行く。

ごめんね、付き合わせて

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毎日超短話471「駐車場」

毎日超短話471「駐車場」

駐車場にトナカイとソリが置いてあった。トナカイが「うちの主、知りません?」という顔でこちらを見ている。たぶんクリスマスの打ち上げでもしてるんだろう。ぼくはさっき買ったファミチキをトナカイにあげて、遅れてきたクリスマスを堪能することにした。

一年前の超短話↓

毎日超短話470「メリークリスマス」

毎日超短話470「メリークリスマス」

トナカイでドライブスルーに入る赤い服の男を見かけた。ソリじゃなくて、直接トナカイに乗るスタイル。惚れそう。

メリークリスマス。

一年前の超短話↓

毎日超短話469「時差ボケ」

毎日超短話469「時差ボケ」

ビジネスホテルにチェックインしたサンタがフロントで、今日は何日かと聞いている。24日の朝です、とフロントに言われると、時差ボケ調整したいから、今日は夜まで寝ないとサンタは言う。いやいや、夜があなたの仕事だから。

一年前の超短話↓

毎日超短話468「ありがとう」

毎日超短話468「ありがとう」

教科書の小説の一文字一文字が、換気のために開けた窓の隙間から空へと飛んでいった。空には小説の一節が並べられ、気持ちよさそうに漂ったあと、窓の隙間から文字たちが教科書に帰ってきた。途中で先生が窓を閉めてしまい、帰れなかった最後の五文字が、空に浮かんだままになっている。

ありがとう

チャイムがなるまで、それを見ておく。

一年前の超短話↓

毎日超短話467「砂場」 #シロクマ文芸部

毎日超短話467「砂場」 #シロクマ文芸部

振り返るほど人生歩んでないからね。と砂場で遊ぶ子が言っている。そうそう5年で人生語るなんておこがましいわ。砂場の子らは、おもちゃのシャベルで砂を引きながら、そんなことを話している。

40年なら語れる? とベンチに座っている私は心で呼びかける。いや、まだまだだね、死にそうになったら語ってみなよ。そんな目で砂場の子らが、うなずく。

コンビニで買った紙コップのコーヒーが冷たい指先を温める。死にそうだ

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毎日超短話466「冬眠」

毎日超短話466「冬眠」

「目の下にクマがいるよ」
「クマができてるんじゃなくて?」
「うん、クマがいる」
「そのクマ、何してる?」
「冬眠」
「どうりで眠いわけだ」

一年前の超短話↓

毎日超短話465「きんらきら」

毎日超短話465「きんらきら」

彼が赤い服を着てきた日、わたしは緑色の服を着ていた。クリスマスが近かったから、あと金色があればツリーみたいになるねっていう話をしていた。星くずが落ちてきたのはそのときで、わたしたちはちょうどよく金色が服に付いた。空を掃いてたおじさんが、ごめん、と謝るけれど、わたしたちは「気にしないでください」と手を振った。

懐かしいねと言いながら、そのときの道を歩いている。彼は赤い服で、わたしは緑色の服、彼とわ

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毎日超短話464「ぞうきん」

毎日超短話464「ぞうきん」

ぞうきんを絞っている友だちが、なんだか神妙な顔つき。ぼくは友だちに近づいて、「どうかした?」と声をかけた。

「心も絞ったら、こんなふうに汚いかなあと思って」

ぼくはぼくのぞうきんを絞って、汚れた水をバケツに捨てる。

「今一度洗濯いたし申し候」

バケツの横の超ちいさな坂本龍馬がそう言ったのを、ぼくらは確かに聞いた。

一年前の超短話↓

毎日超短話463「紙コップ座」

毎日超短話463「紙コップ座」

紙コップが星と星を渡って、線を引いている。

「紙コップ座です」

4つの星を逆さまの台形のように結んだそれは、紙コップとも言えなくはない。

冬の空を見上げながら、手に持った紙コップのコーヒーがいつもよりあたたかい気がする。

一年前の超短話↓