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カナダのホストファザーから渡されたバトン。

"この美しい世界は、良い人間と悪い人間を含めた、あらゆる人々で成り立っているんだ"

僕がワーキングホリデイでカナダのトロントにいた時に、1ヶ月間だけお世話になったホストファミリーのお父さんの言葉。

カナダに来てから一ヵ月が経ち、
ホームステイの最終日
午後には家を出て行く僕を、
ホストファミリーのお父さんが(以下 : お父さん)
最後のランチで食べきれないほどの料理を自ら作ってご馳走してくれた。ウィスキーとジャズと一緒に。

当時の僕はその好意にすごく驚いたし、
本当に嬉しかった。
そして後から振り返ってみても、
その日は人生の中でもハイライトの一つになっている。
お父さんも僕とじっくり話したかったのかもしれない。
今思えば、伝えたい事があったんだと思う。

その日の1週間ほど前、ホストファミリーのお母さんの親戚が20人ほど集まって、庭でちょっとしたパーティーをしていて、お父さんが僕も呼んでくれ、適当に軽食を口にしながら、周りを見ていた。
その時、お母さんの親戚たちは英語ではない外国語を話していて、日本人の僕はものすごくアウェーだった。ヨーロッパ出身のお父さんも英語以外の言葉は理解していないように見えた。それでもお父さんは僕ほど居心地が悪い感じはしなかった。
僕は途中で自分の部屋に戻るね。
とお父さんに伝えて部屋に帰った。
正直その状況があまり居心地良くなかったからだ。
そういう場面を含めて、お父さんは僕の事をよく見てくれていたんだと思う。

僕は日本の外の世界を見たくて、
色々な世界を経験したくてカナダに来た。
トロントは多様な人種がいる事も事前に知っていた。そして後から、5つの家族のうち1つの家族は家の中で英語以外の言葉で話すという情報も聞いた。なので街を歩くと英語以外の言葉をたくさん耳にする。

当時の僕は "自分にはわからない言葉" で楽しそうに話している人たちの中に入る事ができなかった。
この陽気な人たちに「なんだこの子」的な目で見られるかもしれない、という事がもしかしたら怖かったのかもしれない。
結局その人達ともちゃんと話せなかったから、
いい人達なのかどうかも、
僕に対して好意的なのかどうかも分からずじまいだった。

"普通に話せばよかったじゃん!英語で。"

今なら純粋にそう思える。
その人との会話や関係がその日その瞬間だけのものになったとしても、そういうのを楽しめる大人に憧れていたはず。
そう考えたら、今は少しは成長したんだと思う。
きっとこの1年間のカナダ生活で。


話をお父さんのもてなしに戻す。

お父さんは僕に、
どうしてカナダに来たんだい?
夢はあるか?
好きな事は何?

など色々な事を聞いてきて、
自分自身のこともたくさん話してくれた。

子供の時に夢中になった事。
大人になって経験する事。
そしてこれから経験するであろう事など。

お父さんが言ってくれた言葉の中で特に印象深かったのは
「大事なのは、その年代ごとに、
今しか経験できない事を思い切りする事」

全てが自分の糧になる。
あらゆる事を経験して人は出来上がる。

彼自身ヨーロッパからの移民で、
奥さんはアジア系カナディアン。
お互いに第二言語で話さなくてはいけないし、
お互いにカナダは母国でもない。
「でも僕らは出会ってしまった訳だし、
せっかくならこの状況を楽しまないとね。
この素晴らしい人生を。」

こういうカッコいい事をさらりと言う人。
当時の僕は"かっこいい大人の男になりたい!"
を一つの指針としてカナダに来たので、
初めに出会った人が彼で本当に運が良かったと思う。

彼はすごくかっこいい男だった。

彼はとにかく、
この世界は素晴らしいんだ!
人生を謳歌しなさい!
世界には色んな人がいるが、全員でこの世界を作っているんだ。

と、まあまあ泥酔し始めている僕に
熱く、大事なことを伝えてくれた。
会って1ヶ月。そして、それ以降会う事がないかもしれない人に、そこまでの話を出来るだろうか。
少しずつ、彼に近づいて行けたらと思う。
その為にも、自分に対して真っ直ぐ生きなきゃいけない。
自分の言動がブレブレだったら、人に何も言う事ができないし、そもそもそんな大人になりたくない。


お父さんが伝えてくれたこと、
それを必ず実行していきたいと思ったし、
周りの人にもその生き方を見せていきたい。
このすごく大事なバトンは、必ず他の人へ渡さないといけないと強く感じた。

なので、今回はその当時のことを思い出しながら、一度noteにまとめておきたいと思いました。
この時の話はもっと広げようと思ったら、
本当に本が一冊出来上がりそうなので、いったんここでストップしておきます。

仕事や普段の生活の中で、忙しくしてしまって、こういうことに向き合う事がなかなか出来ませんが、これらを時々思い出して、今日からまた行動していきます。

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