入社1年目のデザイナーに伝えたい!デザイナーがクリエイティブディレクターになる最短距離を考えてみた。
はじめに
こんにちは、アドウェイズの遠藤です。
私がマネジメントを行っているアドウェイズのデザインチームには、毎年新卒デザイナーが入社をします。
志望動機は、人それぞれ。「デザインを通じて世の中に価値を届けたい」「モノづくりを仕事にしたい」「マーケティング視点を捉えたデザインを学びたい」。面接時には、このような回答をされる方がよく見受けられます。
そして、その流れでキャリアプランを尋ねていくと「いずれは、広告業界でクリエイティブディレクターとして活躍したい」と答える方が、毎年多い傾向にあります。
私が学生の頃から「クリエイティブディレクター」はあこがれの職種としてよく挙げられていました(例に漏れず私もそうでした)が、現在でもその人気は衰えないようです。
とはいえ、新卒時にそんな大きな目標を持っていたほとんどのデザイナーが、入社一年後には、次のような課題を持つようになってしまっています。
その気持ち、とてもとても共感できます。かくいう私も、デザイナーとしてキャリアをスタートし始めた当時は、日々そんな思いを抱きながら仕事をしていました。毎日、隣の席に座る優秀な同僚のPC画面を見ては「100年経ってもこんな技術力なんて持てない!ディレクターになるなんて無理…」と落ち込んでいたほどです。
でも大丈夫、安心してください。実は、クリエイティブディレクターとして働くために、デザインスキルを“てっぺんまで極める”必要はないんです。あくまで私見ですが、ある一定のデザインスキルを身に付けていれば、クリエイティブディレクターになることは可能ですし、活躍している方々も世の中にはたくさんいます。
ということで、今回のnoteでは、デザイナーとして新卒入社をしたけれど、思っていた働き方ができず「目指していたクリエイティブディレクターになれないかもしれない」と悩んでいる方に向けて、私なりの考えをお伝えしていきます。
そもそもクリエイティブディレクターとは? デザイナーの上位職ではない?
インターネット広告代理店や総合広告代理店、また各企業や所属する部署などによって、担う業務や責任は異なりますが、一般的に広告業界においてのクリエイティブディレクターの役割は「制作現場の責任者」を指します。
PRを依頼された商品やサービスに対し、どのような手法で広告宣伝を行うかを考え、その戦略に合わせてプランナー、アートディレクター、デザイナー、コピーライター、カメラマンなどのメンバーと一緒に、実際に広告物の制作を進行していく……。大まかに言うとクリエイティブディレクターは、そのような仕事をしています。
改めてこう可視化してみると、自ら手を動かすデザイナーとクリエイティブディレクターの仕事は、少しベクトルが異なる印象です。このことからも、デザイナーとしてのスキルを完璧に身に付けたからといって、必ずしもクリエイティブディレクターとして活躍できるわけではないことがわかると思います。
逆に考えると、表層的な広告デザインの表現力や技術力を磨くよりも、自分の持つ強みを伸ばすことの方が、ずっと大事なことなのではないでしょうか。ひいては、どのようにキャリアを重ねていくかの網羅的なイメージを持ち、多角的な視点を養うことが、クリエイティブディレクターへの近道であると私は考えます。
クリエイティブディレクターに向いている人って?
では、どんなタイプの人がクリエイティブディレクターに向いているのでしょうか。
クリエイティブディレクターは主に、洞察力、言語化力、課題解決力、突破力の4つの力を駆使し、仕事を進めていきます。相手の立場に立って課題を見つけ、それを言葉にし、解決への道筋を見つけ、周りを巻き込んで実際の行動に起こしていく……。
つまり「人の気持ちや考えに寄り添い、それに対して周囲を巻き込み、アクションを最後まで実行しきる人」が、向いていると私は考えます。
日常のシチュエーションに置き換えて考えてみると、例えば誰かに何かしらのプレゼントを渡す際、対象者がどのようなものを欲しがっていて、どんなものをあげたら喜んでくれるだろう。そうした逆算を考えることが好きな人は、特にうってつけだと感じます。
また、日々の生活において、よく「なぜだろう」と疑問を持つことができる人も、適任かもしれません。なぜなら、クリエイティブディレクターの仕事には、洞察力や、課題解決力が必要となる場面が多いからです。商品やサービスの価値を市場動向やデータから読み解き、ユーザーに何が求められているのかを分析し、仮説を立て、広告としてどのような手を打つべきかを考える。そうしたアプローチを駆使することが好きで、物事を掘り下げることが得意な人は、素質としては申し分ないでしょう。
とはいえ、いくら向いている、得意だからといって、自分勝手なパフォーマンスを行うことは禁物です。クリエイティブディレクターの仕事は、チームメンバーがいないと成立しません。チーム全員で価値あるクリエイティブを世の中に出すという使命を持ち、チームのコントロールをしながら責任感を持って仕事をする。決して「自分がやった方が早いし、クオリティが高いものができるかも」なんて思わないこと。一緒に働く人をリスペクトし、共に成長していけるようにコミュニケーションを重ねていくことを心がけましょう。
最短でクリエイティブディレクターになるために
ここからは、クリエイティブディレクターとして活躍するために、必要なスキルや知識、着眼点について考えていきます。
まず、最低限のデザインスキルについて。冒頭で、デザインスキルをてっぺんまで極める必要はなくても、クリエイティブディレクターになることは可能だとお伝えしましたが、とはいえスキルは持っているに越したことはありません。しかし、あくまでも磨くべきものは基本のスキル。基本をいかに丁寧に学ぶことができるかが、鍵となります。
次に、クリエイティブディレクターならではの、必要とされる能力を考えていきます。先ほど「向いている人」の段落でもお伝えしましたが、経験やスキルといったキャリアよりも、さまざまなアプローチに対する柔軟な考え方や適応力が、特に要求されるでしょう。
AI技術の進化により、ディレクターの役割も変化する?
近年、AI技術の進化によって、デザインの一部がAIによって生成されたり、補完されたりすることが増えています。
それにより、一部のタスクや業務が自動化される可能性が大いにあり、新しい時代に対応した働き方が求められています。最近は「将来的に、デザイナーの仕事がなくなるのでは?」といった内容の記事もよく見かけるようになりました。
個人的には、AIによるデザインの自動化は、人間の創造性や直感的な判断力にはまだまだ及ばない可能性があると考えていますが、それでも現状に比べると、将来の立場はやはり厳しくなると想定されます。
対してクリエイティブディレクターの仕事の役割は、どう変化していくのでしょうか。
前提として、人それぞれ、向き・不向きがあるように、AIにも向いていない仕事があると私は考えます。特に「人の感情」や「人にしかわからない違和感」を感じ取り、コンテンツを制作することは、今後いくら技術が発展しても、AIにとっては苦手な分野であることは変わらないでしょう。
そうした背景を鑑みると、私見ではありますが、将来的にAIの技術が大きく発展し、広告事業への展開が盛んに行われたとしても、AIが制作したクリエイティブの検品や選別を行うなどの“人”の役割は、継続して残っていくと想定されます。そしてさらに、AIを活用した新たなソリューションを生み出す人材も、現況に比べて大きく求められることでしょう。
すなわち、仕事の領域ごとに、AIと人間の役割を適切に分担し、共生をしていくことが、生産性を向上させ、新しいチャレンジを生み出すことに繋がっていく。クリエイティブディレクターの役割も、そう変化していくと私は考えます。
最後に、過去の私がクリエイティブディレクターになるために、ひたすら日常的に行っていたルーティンを紹介したいと思います。
それは「世の中の広告が、誰の何のために存在するのかを逆算して考える」という習慣です。
これはデコンストラクションというトレーニング法なのですが、私は日々、街中やネット上に溢れている広告に対し、この商品の価値は何なのか、世の中に提供を行うことで、何の課題を解決しているのか。広告はどのように商品を捉え、発信しているのか、などの逆算を行い、メモにまとめていました。
これは、時間さえあれば誰にだってできる簡単なものです。こうした習慣が、現在の役割につながり、多角的な視点を得られたのではないかと現在も感じています。
最後に。この記事を読んでくれている、クリエイティブディレクターを目指すデザイナーの皆さん。今すぐできることはたくさんあるはず。クリエイティブディレクターとして働くことは、そんなに狭き門ではありません。ぜひ、みんなで業界を盛り上げていきましょう!
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