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しがないデザイナーが、執行役員のキャリアを選んだ理由と、これまでの転機を振り返る

こんにちは、アドウェイズの遠藤です。

この度、2024年1月1日付で、株式会社アドウェイズのコミュニケーションデザイン担当の執行役員に就任いたしました。

本題に入る前に、少しこれまでの経緯を共有させてください。

「執行役員に就任」という言葉を聞くと、例えば事業で大きな成功を積み重ねたり、プロジェクトで優秀な成績を残し続けたりするなど、実績や結果を伴い、会社から推薦されるケースを思い浮かべるかもしれません。しかし、あくまで自分の肌感ですが、私が執行役員となった経緯は決してそうではなく、アドウェイズの経営陣に「自分の想いや行動を共感してもらえた」という側面が強いと考えています。

5〜6年ほど前に、自分のデザイナーとしての価値観が変わる大きな転機があり、それ以降から、アドウェイズの経営、事業、組織に対して「デザインの考え方」を反映させていきたい、それがデザイナーとしての自分のミッションであると心に決め、細々と泥臭く、社内営業を行っていたのでした。

なぜ「デザインの考え方」が会社にとって必要なのか、そう考えるようになったきっかけなどは後述しますが、新卒から育ててもらったアドウェイズに恩返しすることができるならば、この方法しかないと私は思ったんですよね。

そのため、具体的に言うと経営に関わる会議やプロジェクトに積極的に参加(させて欲しいと懇願)し、デザイン経営がいかに会社にとって必要なのかを発信するなど、日々ロビー活動を行い、組織を動かす側になりたいと企み続けていたのでした。

ただ、いざとなると執行役員に就任するという決断はなかなかに重たいもので……。理由は明らか、執行役員は担当領域全体の責任を背負い、社員や組織を次のステージへ導き続けなければならないからです。

そんな気持ちの揺れや迷いが少しあったとはいえ、私は執行役員のキャリアを選択することを決めました。昨年までは、グループを横断したデザイン領域全体を統括する立場にあったのですが、2024年からはグループ全体のデザイン領域、そして新たに広報領域も担当いたします。

今回のnoteでは、このキャリアを選んだ理由と覚悟、またこれまでの仕事の転機について、私ごとではありますが簡単にお話しをさせてください。

デザイナーが「会社を動かす立場にいる」価値

そもそも私は、アドウェイズに新卒入社をした際、デザイナーではなく営業職として入社をしました。

入社3年目に社内制度を活用し、憧れていたデザイナー職にジョブチェンジを行ったのですが、学生時代はデザイナーを目指して勉強をしていたわけではなく、また、デザイナーとして働くようになってからも目の前の仕事で精一杯な毎日を送っていたため、いつになっても自分のスキルや経験値に自信を持つことができませんでした。

若手時代、毎日が反省の日々で途方に暮れていた、吉祥寺でのとある夜

デザイン領域をマネジメントするようになってからも、自分の力量不足に加え、組織に対しても人材育成やチームビルディングに課題感を感じており、特に広告営業畑の出身だったため、プロダクト開発に関わるUI/UXデザインに対する苦手意識は私個人、そして組織どちらにもあると考えていました。

そんな時、アドウェイズの現代表、当時は取締役だったやましょーさんから「Goodpatchというデザイン会社があるから、そこの代表の土屋さんに相談をしてみないか」と提案をもらったのです。

Goodpatchといえば、UI/UXデザインのパイオニアとも呼べる会社。特に2017年当時は、株式上場間近だったこともあり、大きな勢いを持って成長を続けていました。そんなGoodpatchの代表である土屋さんに対し、やましょーさんは「うちの社員を留職という形で仕事をさせてもらえないか」とお願いをしてくれたのです。そんな無茶振りに対し、土屋さんは一言返事で「やりましょう」と回答。(2人の決断力の速さにびっくりでした)

私もこのお誘いをもらった時、断る理由がありませんでした。なぜなら、一人で勉強を続けるよりも、業務としてトライアンドエラーを繰り返し、課題を解決していく方が成長速度が早く、価値も創出しやすいと日々思っていたから。また、チームに迷惑をかけてしまうかもしれないという不安はありましたが、アドウェイズに帰ってきた時に、得た経験や知識を活かすことができれば、前述の悩みも一気に解決できると感じたからです。

なお、当然ですが、社員に対しこうした投資を行うことには、コストや時間が必須となります。しかし、アドウェイズは、社員に経験を積ませ、成長の機会を提供していくことに、惜しみなくリソースを投じてくれる会社なんです。(やましょーさんいつもありがとうございます)

そして、今考えると、このGoodpatchへの留職がなければ、私は「アドウェイズの執行役員になる」というキャリアを選択していなかったと思っています。それほどこの1年間は、私にとって大きな価値のあるものでした。

業務内容の詳細はここでは割愛させていただきますが、1年間の仕事を通して得た知識や経験は自分への大きな自信につながり、アドウェイズに戻ってきてからも組織の成長に多大なる貢献をしてくれました(もちろん、UI/UXデザインに対する苦手意識も消えました!)。

加えて、Goodpatchへの留職は、私の価値観もアップデートさせてくれました。具体的に言えば、デザイナーが「会社を動かす立場にいる」価値を理解し、追求していく思考になることができたのです。

2018年、経済産業省と特許庁が「デザイン経営宣言」をリリースするなど、日本においてもIT業界を中心に「デザインの考え方を経営に取り入れること」が大きなムーブメントになりつつありました。Goodpatchも、そうしたさまざまな新しい手段を積極的に経営や事業、社内の仕組み作りに取り入れ、新たな価値を生み出し続けていました。

恥ずかしい話、私は留職以前、そうした視点や思考をほとんど持っておりませんでした。当時は社内にロールモデルがおらず、自分がデザイナーとして働く意義や生み出せる価値についてを考えることすらできていない状況だったんです。

そんな私ですが、土屋さんとの出会いやGoodpatchでの仕事をきっかけに、デザイナーが「会社を動かす立場にいる」ことで創出される価値を知り、私もアドウェイズでそうした視点を持って会社そのものを動かしていきたい、クリエイティブを表現するだけでなく組織そのものをデザインしていきたいと少しずつ考えるようになったのです。

なお、実は留職からアドウェイズに戻る際、土屋さんとは「いつかこの経験を活かしてアドウェイズの経営に携わります!」と、契りを交わしていたんですよね。その点は有言実行できて、本当に良かったと思っています。(土屋さん覚えているかな)

インターネット広告業界におけるデザイナーの市場価値にもアタックしていきたい

今後は、執行役員としての責務を果たしながら、業界におけるデザイナーを取り巻く課題に対しても、焦点を当て解決策を講じていきたいと考えています。

現状、日本では目先の利益追求が重視されている傾向にあるため、ユーザー視点ではなく、ビジネス視点でのサービス開発が主流となっています。特に、インターネット広告業界はその典型例であると言えるかもしれません。こうした環境では、デザイナーが持つ本来の価値や技術が十分に発揮されず、デザインへの投資が後回しにされ、評価も適切に行われないと私は考えています。

このような状況を少しでも変えていくため、業界を先導し、デザイナーの役割がビジネスにおいてより重要視され、組織や社会の価値に寄与する環境を整えていきたいと、私なりに考えております。

加えて、女性デザイナーのキャリアの可能性についても、自分のできる範疇で発信をし、身をもって届けていくことができればと考えています。昨今、女性がさまざまな分野で活躍をし、リーダーシップポジションで働く女性も増えつつあります。一方で、デザイナーのCDO(Chief Design Officer)のポジションには女性があまり見当たらず、デザインを通じたイノベーションに女性が参加していないと日々感じています。

その要因は、デザイナーがクリエイティブな仕事を重視し、スペシャリストとして自ら表現を行うことに喜びを感じる一方で、ゼネラリストとしてマネジメントや組織を創っていくことへの関心はさほど高くないからだと私は考えています。特に女性の場合、働き方にさまざまな制約が出てくる機会も多いため、中長期的なキャリア形成がしづらいケースが往々にしてあるかもしれません。

とはいえ、デザインは製品や作品を生み出すだけでなく、人を動かし、組織を築くための手段でもあります。新しいアイデアを取り入れ、組織を変えていくこともデザインの一環であり、女性ならではの視点でその力を発揮することも重要であると私は考えています。

そのため、今後はこのような想いを何かしらの形で発信をしていき、また結果を作っていくことで、世の中の女性デザイナーに対して堂々と背中を見せていきたいと思っています(大言壮語かもしれませんが頑張ります!)。

アドウェイズが持つイメージもアップデートしていきたい

おしまいに、私が14年間勤めてきたアドウェイズについて、少しだけお話しをさせてください!

アドウェイズには、過去のイメージが色濃く残っているようで、いまだに世間から「アフィリエイト広告事業がメインの企業」と思われることがあるようです(実際はインターネット広告を中心に、もっともっとさまざまな事業を展開しているのです)。

ただ、現在インターネット広告は市場全体で成熟期を迎え、その波がアドウェイズにも押し寄せています。執行役員として新たに広報領域を担当するからには、今後はデザインの力を活かした広報戦略によりイメージをアップデートさせ、新しい価値を世の中に届けていきたいと考えています。

なお、ここからは私の考えですが、どの業界のどんな会社で働いていても、自分の成長は自分次第であると思っているんです。つまり個人の努力次第で、自分のキャリアパスが決まるということです。

しかし、アドウェイズにはそれ以上に、チャレンジを促してくれる環境が整っています。だから、しがないデザイナーでも、執行役員のキャリアを選ぶことができた。そしてこれからは、過去に自分が経験したように、新しい役割やチャンス、いわば成長機会を社員にたくさん届けていき、個人、組織の可能性を最大限に引き出すサポートをしていきたいと思っています。

最後に、この場を借りて、これまで支えてきてくださった関係者の皆様に感謝も申し上げたいと思います。今後もお力をお借りすることがあるかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします!

P.S.ちなみに、あくまで個人的な活動なのですが、お友達のhacoさんと一緒に昨年末より「White Space」というポッドキャストを始めましたので、ここで宣伝をさせてください。

毎週金曜日の夕方に最新話を配信していますので、日常のちょっとした余白のお供に、よかったら聴いてみていただければ嬉しいです。

それでは、今後ともみなさん、よろしくお願いいたします!


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