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「初めての人生の歩き方――毎晩彼女にラブレターを」(有原ときみとぼくの日記) 第85話:朝、目が覚めました。

 朝、が覚めました。

 と、阿部公房のある小説の冒頭を思い出しながら彼は今日を迎え入れる。

※阿部公房好きな人、今度すべてが落ち着いたらぜひご飯にでも行って語り会いましょう!

 彼がいつも目覚めるのは、まだ月の明るい宵の明け。
 そして今朝はどこか遠くからスマホのアラーム音と彼女からの電話が鳴っているのが聞こえ、それでも夢の中にいるような頭がマヒしたような感覚でどうしてもその音が現実だとは思われず――だが本当はそれが現実だと理解しながら――そして目を覚ましたら宵の明けどころかお昼前だったのだ。

 寝すぎた、と彼は自己嫌悪に陥った。
 昨晩彼はいつもより早くベッドに入った。それが油断を招いたのかもしれない。
 ベッドの中があまりのも気持ちいいものだから、彼はつい妄想してしまっていたのだ。

「もし自分がワンピースの世界に行けるとしたらなんの悪魔の実を食べようかな」

 その妄想はあまりにも彼の脳を刺激して、逆に目がさえてしまい、しまいには「コロコロの実」という今の時期に絶対に言ってはいけない最悪に不謹慎な実を発明してまった。
 だから彼は寝坊したのだ。これはきっと天罰だ。それでも彼は起きたのだ。

 朝、が覚めました。

 本当の寝坊の理由はたぶん疲れだろうと彼は思った。
 昨晩、お風呂に大量の塩を入れて長風呂したので、ある種のエネルギー酔いをしたのだ。

 彼はそれからいつものように氣を送ったり、アメブロを投稿したり、インスタを書いたり、そしてその時点でお昼の二時半ぐらい。
 もうお腹が空きすぎて逆になにも感じなくなっていた。
 昨日のお昼からなにも食べていない。
 一日一食。
 本当に慣れるのだろうかと疑問を感じながら、待望のご飯をつくる。

 いつも変わらない食事。
 それが今日は涙の出るほど美味しく感じられた。
 彼は以前あるお金持ちの人から聞いた話を思い出していた。

「いままで食べてきた食事で、一番おいしかったものはなんですか?」
「……一週間断食した後に食べた、なにも入っていないただのお粥かなぁ」

 彼は思った。
 幸せにはきりがない。
 上を見れば上がいるように、求めても幸せにはなれない。
 お腹が空いたときに食べるご飯、そのありがたみで心から美味しいと思えることが幸せなのではないだろうか、と。

 幸せとは苦しみの上にしか感じられないのかもしれない。

 または、日常の些細な場面に、自分がすでに持っている中にあるのではないだろうか。

 彼はそんな気持ちで今日の「ほぼ100字小説」を書いてTwitterとInstagramに投稿した。

※よかった登録してね!(下記参照!)

 それから彼はベランダで夕日を浴びなら瞑想をして、少しベッドで横になることに。
 西日を全身に浴びて、目を閉じても目の前がまぶしくて、まるで自分が光のような存在になってしまったかのような錯覚に陥ってしまう。
 光はあたたかい。すべてを許してくれるかのような色だ。もしかしたら、この光のことを天国と呼ぶのかもしれない。

 そして、が覚めました。

 ある島でホームレスのような生活をしている大好きな先輩(失礼な書き方でごめんね!)と、もう一人今日誕生日を迎えたこれも大好きな先輩にラインを送る。
 島暮らしの先輩に「コロナ大丈夫ですか」と送ったら衝撃のメールが返ってきた。

「コロナってなに?」

 あまりにびっくりした彼は部屋の中で大爆笑した。
 その後、それが冗談だとは分かったが、その人は本当にそういう人だったので、彼はいい意味で全身の力が抜けたのを感じた。

 どうやら気がつかないうちに強張っていたようだった。
 その先輩と来年は花見にいく約束をして、彼は映画を見ることに。 
 その映画が久しぶりのヒットで彼は泣きながらこう思った。

 なんだか、が覚めました。

 感動は人の目を覚まさせる力がある。
 感動は人の持っている力を呼び起こす力がある。
 感動は純粋に気分がいい。

 彼は今日も眠る。
 明日も朝起きる。
 その当たり前のことが、どれだけ幸せなことか。

 朝、が覚めました。

 これほどまでに奇跡的で幸せなことはないのかもしれない。

 感謝しよう。
 生きていることに。

 今日も1日お疲れさまでした。

 また明日。

 なんかイライラしてごめんね。

 心配だし、勝手に期待しているからなんだろうね。
 もっと自分を守ってほしいし、もしそれでなにかあったら多分俺はその会社を一生許さないし、でもこれらの感情もすべて自分の勝手だもんね。

 でも命より大切なものはない。

 まぁ、当たり前だけど分かっているよね。

 ごめんね。

 もうあまり聞かないようにする。
 親しき中にも離別感。
 そっちはそっち、こっちはこっち、あっちはあっち。
(どこ?!)

 自分だったらこうする、という独りよがりはなるべく思うだけにするね。

 お互いに今の辛い状況を、せめて笑って過ごしたい。
 限界まで我慢して食べた玄米の最高に美味しいこと美味しいこと。
 その幸せをどこかに見つけよう。

 きっと出勤している自分が一番つらいよね。
 分かってあげられなくてごめんね。
 よく頑張ってるね。
 そんなん在宅できるもんならしたいよね。

 できることを楽しんでやっていこう。

 これを乗り越えたとき、どこにいてどんな表情をしているのか、今から楽しみです。
 来年の春は吉野に行こう。
 満開の桜できっと心から感動するから。

 いつもありがとう。

 真夜中の静けさのように、きみをただ深々と愛したい。

 おやすみさない。

 初めての人生でみんなが絶対に思っていること。

 幸せになりたい。

 案外近くにあるのかもしれない。

 探すより、気づくこと。

 朝目が覚めることは、当たり前のことではないということ。

 明日も一日あなたは信じられないぐらい、ありえない幸福をたくさん受け取る自分を受け入れ、認め、許し、愛しました。

 おめでとう。

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