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<ラグビー>2023~24年シーズン(11月第四週)

(どうでもよい「話の枕」です。関心ない方は飛ばしてお読みください。)
 
 鉄道模型のジオラマは、なぜ子供も大人も夢中になれるのだろうか。そこには、鉄道模型という概念とジオラマという概念の二つに惹きつけられる要素があると思う。
 
 まず鉄道というものは、身近にありながら車などと比べて自分で所有することができない乗り物だ。しかし、飛行機のように特別な場所で特別な技術によって運行されているのとは異なり、自動車運転の延長となる技術で、日常的に運行され利用されている。
 
 そうした身近ながら大きな動くものが、小さな模型となって自分が操作する気持ちは、運転士となる気分だけでなく、鉄道の運行を計画する経営者の気分に加えて、線路全体を俯瞰する神の視点も味わえる題材となる。
 
 さらにこの神の視点ということからは、ジオラマがそのものとして格好の題材だ。鉄道とその駅を中心に、都会、田舎、ビル、家、田畑、山、河、鉄橋、踏切、鉄橋などをさまざまに配置しながら、そこに暮らす人々の姿まで縮小した世界で再現しているのを見ることは、まさに天空から神の視点で街を眺める気分になる。
 
 これは地上の矮小な存在でしかない人間にとっては、最高の悦楽を与えてくれるものではないか。そして、この神のような心地よい気分の集合的無意識の奥底には、遥かな昔に地球にやってきた宇宙人が、地球の生命体に自らのDNAの一部を加えて創造した結果である人類の、彼らが理想としたイメージが、我々のDNAの一部として残っているからではないか。
 


1. 関東大学ラグビー対抗戦Aグループ結果

早稲田43-19慶應

 100試合目となる伝統の一戦だが、今シーズンの両校の試合歴から見て、順当な結果となった。しかし、早稲田のアタックを誉めるより、慶應のディフェンスを批判したい。ジャック・ニーナバーやエディー・ジョーンズに来てもらって、ラッシュアップディフェンスを習得すればかなり違ってくると思う。このままでは、大学選手権でも苦戦しそうだ。

 その慶應ではSO山田響が個人技で活躍していたが、あのプレー振りからはSOではなくダミアン・マッケンジーのようなFBが合っているのではないか。また、13番CTB永山淳は、CTBよりも決定力のあるWTBとして起用したいと思った。

 早稲田のHO佐藤健次は良い選手だが、大学レベルでアタックが良くてもリーグワンになると通用しなくなるケースが多い(好例が箸本龍雅)ので、今後の成長を見守りたい。一方、WTB矢崎由高とFB佐藤大祐の二人は、リーグワンのディビジョン1チームでプレーさせてみたい。

2.各種ニュースなどから

(1)セヴンズ日本代表が、男女ともにパリオリンピックの出場権を獲得

 来年のパリオリンピックで開催されるセヴンズには、既に多くのチームが出場権を獲得しているが、そのアジア予選で、日本代表が男女ともに優勝し、3大会連続となる出場権を獲得した。

(2)来年2月に、リーグワン上位4チームとNZブルーズ及びチーフスが対戦

 来年2月に、リーグワンの上位4チームとNZのスーパーラグビーチームであるブルーズ及びチーフスが対戦する、「ザ・クロスボーダー・ラグビー2024」が開催される。スーパーラグビーからサンウルヴズが除外された後、クラブチーム同士の国際交流が激減している中で、こうした国際試合が日本で開催されることは、代表強化のためにも朗報と言える。また、将来的にリーグワンのトップチーム(または代表チーム)が、スーパーラグビーに復帰するための足掛かりにしたい。

試合日程は以下のとおり。
2024年2月3日(土) 秩父宮
サントリーサンゴリアス対オークランド・ブルーズ
2024年2月4日(日) 熊谷
パナソニックワイルドナイツ対ハミルトン・チーフス
2024年2月10日(土) 秩父宮
クボタスピアーズ対ハミルトン・チーフス
2024年2月10日(土) ニッパツ三ツ沢
キヤノンイーグルス対オークランド・ブルーズ

(3)花園出場校が決定

 12月27日から1月7日に花園ラグビー場で開催される、第103回高校ラグビー全国大会の出場全51校が決まった。今回は、山梨学院、若狭東・敦賀工業(合同)、関大北陽、高川学園がそれぞれ初出場となった他、合同チームで出場するチームがあるなど、これまでとは色彩が異なる出場校となっている。

 地区予選結果は以下のとおり(左が出場校)。これから試合組み合わせの抽選を行うが、Aシードは、東福岡、桐蔭学園、佐賀工、Bシードは、報徳学園、関大北陽、茗渓学園、國學院栃木、中部大春日丘。大阪桐蔭、東海大仰星、石見智翠館、尾道、大分東明となった。これらに加えて、天理、流経大柏、京都成章も上位に食い込んでくると思われる。

北北海道:遠軽 27-22 旭川龍谷
南北海道:札幌山の手 64-5 立命館慶祥
青森:青森山田 42-5 青森北
岩手:黒沢尻工 14-7 黒沢尻北
宮城:仙台育英 29-7 佐沼
秋田:秋田工 12-5 秋田中央
山形:山形中央 15-14 山形南
福島:松韻学園福島 50-12 磐城
群馬:明和県央 31-0 桐生第一
栃木:國學院栃木 157-0 作新学院
茨城:茗溪学園 28-0 清真学園
埼玉:川越東 27-5 昌平
千葉:流経大柏 52-15 専大松戸
東京第1:早稲田実 31-7 成城学園
東京第2:目黒学院 15-12 國學院久我山
神奈川:桐蔭学園 59-0 東海大相模
山梨:山梨学院 22-12 日川
長野:飯田OIDE長姫 28-24 飯田
新潟:北越 17-14 開志国際
富山:富山第一 51-10 合同(砺波・高岡第一・砺波工・龍谷富山)
石川:日本航空石川 82 -3 鶴来
福井:若狭東・敦賀工 22-10 若狭
静岡:静岡聖光学院 19-12 東海大静岡翔洋
愛知:中部大春日丘 53-12 名古屋
岐阜:関商工 43-19 岐阜聖徳学園
三重:朝明 35-24 四日市工
滋賀:光泉カトリック 126-0 八幡工
京都:京都成章 10-7 京都工学院
大阪第1:関大北陽 41-7 大産大附
大阪第2:大阪桐蔭 24-3 大阪朝高
大阪第3:東海大仰星 27-17 常翔学園
奈良:天理 11-0 御所実
和歌山:近大附和歌山 40-12 和歌山工
兵庫:報徳学園 26-5 関西学院
岡山:倉敷 45-0 玉島
広島:尾道 47-0 崇徳
鳥取:倉吉東 20-0 合同
島根:石見智翠館 148-0 合同(出雲・平田・大社・松江高専)
山口:高川学園 57-14 大津緑洋
徳島:城東 26-13 つるぎ
香川:高松北 22-21 坂出第一
高知:高知中央 21-17 土佐塾
愛媛:松山聖陵 84-3 新田
福岡:東福岡 62-3 筑紫
佐賀:佐賀工 106-0 早稲田佐賀
長崎:長崎南山 26-26 長崎北陽台(抽選で長崎南山が出場)
大分:大分東明 61-21 大分舞鶴
熊本:九州学院 31-5 熊本工
宮崎:高鍋 41-7 合同A(延岡・延岡工・日向・富島)
鹿児島:鹿児島実 48-0 鹿児島工
沖縄:名護 42-0 コザ

(4)オーストラリア協会会長が交代

 オーストラリア協会会長のハミッシュ・マクリーンが、RWCプールマッチ敗退の責任を取って辞任し、後任にワラビーズ67キャップのCTBダニエル・ハーバートが就任した。

 ハーバートは現役時代に、1999年RWC優勝、2001年のブリティッシュアンドアイリッシュ・ライオンズへのシリーズ勝ち越し、ザラグビーチャンピオンシップ優勝、ブレディスローカップ5連覇などの実績を持っている。引退後は、クイーンズランド州協会に所属する傍ら、2020年からオーストラリア協会のボードメンバーになっていた。

 オーストラリア協会は、2025年のブリティッシュアンドアイリッシュ・ライオンズ来征、2027年のRWC、2029年の女子RWC、2032年のオリンピックと、ラグビーの国際大会を自国開催する日程が続くため、ワラビーズを筆頭にした代表強化が急務となっている。

 一方、退任するマクリーンに対してオーストラリア協会は、新型コロナウイルス感染という困難な状況下で尽力したことを慰労するコメントをしている。

(5)ブランド価値評価サイトで、オールブラックスは引き続きトップ

 「BrandFinace.com」というブランド(商標)価値を評価するサイトがあり、ラグビーチームではオールブラックスが引き続きトップを維持している。

 それによれば、オールブラックスは2019年RWC以降、価値が53%上昇し、米ドル2億8千2百万(約417億3千6百万円)と評価されている。2位のイングランドは、71%上昇して、米ドル2億6千4百万(約390億7千2百万)また、アイルランドが94%と急上昇して、米ドル1億5千万(約222億円)となっている。

そのトップ10チームは以下のとおり

1 New Zealand NZオールブラックス
2 England イングランド
3 France フランス
4 Ireland アイルランド
5 Wales ウェールズ
6 South Africa 南アフリカ・スプリングボクス
7 Australia オーストラリア・ワラビーズ
8 Scotland スコットランド
9 Japan 日本・ブレイブブロッサムズ
10 Italy イタリア

(私見)
 オールブラックスの商標価値が高いのは、個々の選手の優れたスキルとチーム全体のエンターテイメントなプレー、さらに高い勝率が理由となっている一方、やはりハカの素晴らしさが大きく影響していると思われる。

 なお歴史の長さ及びラグビーをプレーする人数では、イングランドが群を抜いて強いため、それがそのまま2位に評価されている他、シックスネーションズの国がそれぞれトップ10入りをしている。

 今年RWCの4回目優勝を達成した南アフリカだが、そのフィジカルを前面に出したプレーが不人気である上に、アパルトヘイトという長い負の歴史を経たことが、実績以上に低く評価されていると思われる。

 同様に、実績からはトップ10入りしておかしくないアルゼンチン、フィジー、サモアなどの国は、フィジーとサモアについては、国自体としての総合的評価が低くならざるを得ないことが影響していると思われる一方、アルゼンチンについては、もともとFW戦とキックを中心としたラグビーを長くプレーしていたことが、マイナス要因になっているのではないか。

 一方、他の9チームとの対戦成績がイタリアを除いて圧倒的に負けている等、実績が十分あるとは言えない日本が9位に評価されていることは、フィジカルの差を覆すようなパス&ランニングを中心とするラグビーが評価されていると思われる。

 つまり、ラグビーが今後スポーツとして生き残るためには、フィジカルを前面に出すFW戦とキック主体のラグビーを志向するのではなく、オールブラックスや日本がやっているようなパス&ランニングを主体にしたラグビーを志向すべきであると、結論できると思う。

(6)NZのSkyTVによるベストトライ賞候補


 NZのスポーツ専門衛星放送チャンネルであるSkyTVが、今年のNZ選手によるベストトライ賞候補となる、10のトライシーンを発表した。年々女子選手のものが多く入っており、NZの女子ラグビーのスキルが急激に向上していることがわかる。また、ウィル・ジョーダンのRWCでのトライが二つ候補に入っている。

(私見)
 私としては、なんといってもRWCウルグアイ戦で見せた、ダミアン・マッケンジーのスーパーアシストから生まれたジョーダンのトライを、ベストに挙げたい。このプレーは、オールブラックスでしかできないプレーであり、ラグビーが目指すべきスーパープレーとして、これから長く語り継がれるものになると信じている。

(7)TMOに対する批判が続出


 元オールブラックスの天才的SOカルロス・スペンサーは、「TMOがラグビーをスポイルしている」と批判している。また、元レフェリーのナイジェル・オウウェンスも、「TMOがゲームを支配すぎている」と批判しており、こうした意見が世界中で続出している。

〇 レフェリーのマシュウ・レイナルが、RWCのバンカーシステムを批判

 RWCでレフェリーを務めたフランス人のマシュウ・レイナルは、TMOを別室で行うバンカーシステムを、「間違いだった」と批判した。

(8)イアン・フォスターは、クワッガ・スミスの反則を見逃されたと指摘


 前オールブラックス監督のイアン・フォスターは、メディアのインタビューに答える形で、RWC決勝のノーサイド前に、南アフリカのクワッガ・スミスがラックで手を使う反則をしたが、これを見逃されたことを指摘した。反則のあった場所は、その少し前にジョルディ・バレットがPGに失敗した場所に近いゴールポストから約48mのところだったので、もしPGを狙っていても、入っていたかどうかは確信が持てないものの、オールブラックスが優勝した可能性があったものだったと述べている。

 またフォスターは、特にRWCの決勝は2011年もそうだったように、接戦となることが多い上に、レフェリングのわずかな判断によって優勝が左右されることが多いが、そうしたことが後から覆ることはなく、また細かい事実よりも優勝という結果のみが記憶されることになるため、これはどうしようもないものだと認めている。

 なおフォスターは、オールブラックス監督を退任した後の仕事について、NZでコーチをすることはしばらくの間想定していないが、海外の代表チームでコーチをする意欲を見せている。しかし、噂になっているフランスのモンペリエー監督就任については、これを否定している。

(9)モウンガは、日本で引退までプレーしたい


 オールブラックスのSOとして56キャップを持つ29歳のリッチー・モウンガは、今シーズンから日本の東芝ブレイブルーパスに移籍したが、通常の一年程度のプレーではなく、できれば引退まで日本でプレーしたいと述べているため、モウンガのオールブラックスのキャリアはこれで終わることになりそうだ。

(10)エディー・ジョーンズをソニービル・ウィリアムスが批判


 元オールブラックスのソニービル・ウィリアムスは、エディー・ジョーンズがRWC前から日本協会と監督就任に関する連絡を取ったのは間違いない、またマイケル・フーパー、クエード・クーパー、バーナード・フォリーに対して、彼らをスコッド外にした理由として「ワラビーズのお手本(ロールモデル)ではない」と説明したことなどの一連の発言に対して、「彼は大言壮語し、ふざけた態度をとる人間だ」と強く批判している。

(11)エディー・ジョーンズが、イングランド、オーストラリア、日本の選手を比較


 これまで、オーストラリアで二回、日本、イングランドの監督をそれぞれ一回ずつ歴任したエディー・ジョーンズが、メディアのインタビューに答えて、これら三ヶ国の代表選手の特徴を比較している。

 しかし、かなり独善的かつ一方的な見方となっており、特に(RWCで酷い結果となった責任逃れのためか?)今年のオーストラリア代表選手と2015年RWC当時の日本代表選手を見下したものとなっている。なお、最も褒めているイングランド代表だが、ジョーンズが代表監督を解任された理由のひとつに、選手に対するパワハラと高圧的な指導があったことが報道されている。

イングランド
 ヨーロッパの大会は皆ハードなものばかりであるため、選手たちは自主的にハードにやってくれる。特にオウウェン・ファレルはそのロールモデル(お手本)になる選手だ。

オーストラリア
 最初に監督をしたときは、NRL(13人制のリーグラグビー)やAFL(オーストラリアルール)の影響もあり、選手たちは非常にハードに練習し、試合でもよくやっていたので、その成果が1999年RWCに現れた。本当に選手たちは自主的にハードにやっていたので、こちらが止める必要すらあったが、今は自主的にできないなど、相当に違っている。

日本
 イングランドやオーストラリアとはまったく異なる。選手たちは自分たちの世界に閉じこもっている。ある日の練習で、選手たちは、ゆっくりと歩きそこら辺で座っているなど、明らかにやる気のないボディランゲージを見せたので、その練習を中止した。そうしたら、選手たちが泣きながら練習を求めてきたが、私は中止させた。翌日の練習は、信じられないほど自分が求めるものになったので、彼らには時には強い刺激を与えることが必要だ。

(12)ジョー・シュミットが、ワラビーズ監督候補になる可能性


 今回のRWCで、オールブラックスが準優勝した原動力となったのがアシスタントコーチのジョー・シュミットであることは誰もが認めるところだが、一方準々決勝でオールブラックスに敗退したとは言え、一時は不振にあえいでいたアイルランドを、RWC前に世界ランク1位を得るまでに飛躍した契機を創出したのが、このシュミットだった(現監督のアンディ・ファレルは、シュミットの遺産を引き継いだ部分が大きい。これは、ジェイミー・ジョセフが、その功績以上に影響が大きかった前任のエディー・ジョーンズが残した負の遺産を改善することで、日本代表をRWCベスト8に導いたのとは好対照である)。

 そのシュミットは、オールブラックスのコーチ陣から退任した後、フランスのモンペリエーから監督就任の触手を伸ばされているという噂が出ているが、その一方で、エディー・ジョーンズが退任したオーストラリア・ワラビーズ監督候補に、オーストラリア協会が関心を持っているとの報道が流れている。

 現時点では、ジョーンズの後任は生え抜きのスティーヴン・ラーカムが筆頭候補と見られているが、ラーカムよりはるかに優れた実績を持つシュミットが、ワラビーズを史上最悪の状態から立ち直させるためには必要なのかも知れない。

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