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じいちゃんと、ばあちゃんとの思い出はいつも畑のにおいがする。

早く仕事が終わった日の帰り道
近所にある畑のそばを歩いていると
ふわっと土と草のにおいがしました。

畑のにおいで思い出すのは
私の祖父母との思い出。

思わず懐かしくなって
鼻の奥まで深呼吸をして目を閉じると
幼い頃の記憶がほんの少し蘇ります。

私が小さい頃に育った家では
おじいちゃんが畑で野菜を育て
おばあちゃんはお花を育てていました。

じいちゃんは家の裏にある畑で
いろんな種類の野菜を育てていたのですが

私の記憶の中にあるじいちゃんは

麦わら帽子とポロシャツに長ズボン
黒い腕ぬき(今風に言うならアームカバーですね)
黒い長靴

三度の飯より畑作業が好きだった
じいちゃんが思い浮かびます。

おばあちゃんの育てる
四季折々の花は毎年綺麗に花を咲かせ
私もプランターにお花を植えるのを手伝ったり
夏には向日葵の種の収穫を手伝ったり
水やりをしたりしていた記憶があります。


高校生の頃はそんな祖父母の影響もあってか
農業を学ぶ学科に入りました。


と言いたいところなのですが
正直なことを言いますと
その高校で有名だった演劇部に入りたいが故に
一番偏差値の低い学科を受けたというのが
理由だったりもしますが。

この話はじいちゃんたちには内緒です。

座学4割、畑作業6割の授業と
あとは部活動に青春を捧げる
そんな感じのスクールライフ。

畑作業に関しては祖父母のしていたことが
どれだけハードであるかを身に沁みて感じました。

中でも一輪車でひたすらに土を運ぶ作業と
じゃがいもの収穫とツルの処理が一番嫌いで・・・

かなり厄介なんですよ!じゃがいものツルって。

授業で育てた野菜は
たまに家に持ち帰るのですが
じいちゃんが私の育てた野菜と見比べては

「上手く育てたなぁ。こりゃ美味いぞ!」

と褒めてくれました。

高校生にもなって子供扱いされたことに
居た堪れなくなりましたが。

育てた野菜を家族みんなが食べてくれて
なんだか照れ臭いけれどとても嬉しかったな。

じいちゃんが野菜を育てる理由が
その時なんとなくわかったような気がします。

ただ畑作業をすることが大好きだった祖父母ですが
それが「誰かのため」になることだし
「誰かが喜んでくれる」ことであるから
よりやり甲斐があったのでしょう。

自分の仕事においてもそうありたいものです。

時間とかお金とか経験値とか
そんなことを考えては
諦めてしまいそうになるけれど
できることなら
「私にとって楽しいこと」
をずっとずっと続けていきたいと思っています。

そんなの綺麗事だと思う人もいるでしょう。

でも何事も始まりは
「私がやりたいこと」「私が好きなこと」
であると思うのです。

できることなら自分に正直に
我儘に生きてみてもいいんじゃないか。

そんなことを思った仕事の帰り道のお話でした。



由佳

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