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体の傷は手当てするのに、心の傷は何度もほじくり返す。自分で。

私の中学生コースでは、TEDなどの動画や課題本『7つの習慣ティーンズ』を元に、要約文と意見文を書くという学習を指導しています。書き直しさせる回も含め、毎週毎週、3年間で約70本の小論文を書かせるコースなんですが、その中で、一番人気の動画を紹介しますね。

それが、これ。ガイ・ウィンチ:『感情にも応急手当が必要な理由』(The case for emotional hygiene by Guy Winch)です。

先生!これ、ものすごく、ものすごく大切なことですよ!
教わってこなかった!
助けられた!
教えてくれてありがとうございます!

生徒たちの言葉です。

私たちは、包丁で手を切ったり、転んで膝を擦りむいたり、またはインフルエンザにかかって熱が出たりした時に、積極的に対応しますよね。傷口を消毒したり、薬を塗ったり、またひどい場合は医者にかかって直すこともあります。
では心の傷の場合はどうでしょうか。

私たちは体に傷を負う回数より、心に傷を負う回数の方が多いものです。
精神を病むような大きな心の傷はあまりないにしても、それの原因ともなり得るような小さなストレスや傷心はしょっちゅうですよね。
体の例で言うと、包丁で手を切ったのに放置したり、転んで膝をすりむいたのに放置した場合は、傷口から黴菌が入り、感染症にかかり、もっと重大な病気に発展する可能性があります。私たちは、体に関しては、その初期の段階で、必ず手当てをします。指を少し切っただけでも洗浄し、消毒し、手当てをしますよね。
ところが、心の傷に関しては、初期の段階で手当はしません。中期の段階でも、専門家にも頼りません。こんなことぐらい自力でなんとかしなければとします。そして、ほとんどの人の場合、あろうことか、心の傷に対しては、何度も何度も傷をほじくり返していますよね。治りかけの傷でももう一度えぐっています。

失敗したシーンを、うまくできなかったシーンを、何度も何度も思い返す。あの時こうすれば良かったのかな、いやこうすればよかったんじゃないか、いやそもそも私にはそんな力はなくて……など、嫌な出来事ほど、何度も何度も心の中で思い返します。そのたびに、いい気分になることなどは、ほとんどなく、そのたびに、また同じ感情が湧いてきて、何度も何度も傷つきますよね。

そんなことは、私にもしょっちゅうあります。事の大小問わず、毎日毎日あります。そういえば、体の傷って毎日毎日はありませんよね。心の傷の方が多いというのも納得です。

あの人にあんなにきつく言うんじゃなかったとか
もうちょっと段取りよくやってれば、時間内に終わったのにとか
せっかくのチャンスだったのに、渡したいものを渡せなかったとか

そういう後悔は、やり直しができるわけじゃないのに、何度も何度も反芻してしまいます。

また逆に、人からされることに対しても、いつまでもいつまでも考えてしまいます。
どうしてあの人は私に対してああいう言い方をするんだろうとか
この人はどうして私のすることをいつも否定するんだろうとか
一生懸命したのに、結構スルーだった。残念だなとか
これも、自分のコントロールできないところなのに、いつまでもいつまでも考えてしまいます。

これは小さな傷と同じで、重ねていくと大きな病になります。なので積極的に向かい合って、治していくことが大事です。
小さな心の傷に対しては、無視するという方法があります。気をそらすんですね。その方法がこの動画にありました。
また、体の傷と同じように、専門家に依頼するのがベストです。
とかく日本人は、心の傷に関して、これぐらい我慢しなければ、これくらい努力しなければと、自力で何とかしようとしがちですが、本当に取り返しのつかないことになる場合が多い気がします。

4月。季節的にもそうですが、日本では環境が変わる月でもあります。心がストレスを受けやすい時期。小さなストレスから気をそらす、時にはしっかり休んで、積極的に治す。そんなことが必要です。
もしあなたに余裕があるなら、近くにいる人の小さな心の傷を癒せるような行動をとってほしいし、ましてや人にストレスを与えるような行動はやめたほうがいいかも。

あまりにも多くの人が、心理的な健康問題には自力で対処している、とガイ・ウィンチは言います。でも、そんなことしなくていいのです。彼は感情の「衛生」を実践することについて、とても興味深い説明をしてくれます。それは、自分の感情や心を、身体と同じくらい大事にするということです。

動画説明サイトより

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