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読者ファーストじゃない高齢者宛の文書

「どれが大事で、どれが大事じゃないのかよくわからないから、見てくれない?」と母に言われた。母が持ってきたのは、手紙の束。全部「重要」とか「親展」とかハンコっぽいイラストがプリントしてある。全部開封して、見てみた。いやー、ひどい。ペーパーレスってどこの国の話よ?

もちろん、高齢者は、スマホとかパソコンとか上手に使えないから、こういうものを全部紙にしているの分かる。分かるけどさ、相手はお年寄りだよ?工夫しろよ!と叫びたくなる心を抑えて淡々と整理をした。とにかく、文書は読者ファーストなんだよね。

まず「重要」と封に印刷してあるけど、封筒の中に、ついでなのか何なのか知らないけど、いろんなお知らせが入っている。混乱するからやめなさい。

そして、1つの封筒に入っている紙は平均して5枚。そのうち大事なの1枚だけ。その紙に対して、どんなアクションを起こしてほしいのかが、これまた別の紙に書いてある。何の儀式なのか……。

私たちにも似たようなことはあった。初めてのコロナワクチン接種の案内。あれは、いったい私は何をどうすりゃいいんじゃ!?ってなったし、文書としてもそうとう酷かったけど、まあ、あんな時だったし、致し方ない。でもあんな感じ。あんな感じがずっとずっと続いてる感じ。毎月毎月届く。

結局、1枚1枚、これは本件に関係ないよとか、このお知らせはもういらないよとか、この紙は大事だから年末まで取っていいてねとか、これは毎年来るものだから新しいものが届いたら古いものは捨ててねとか、通訳をした。そう、通訳がいる文章って、何なの!?
私は仕事で文章を指導してるけど、こんなひどい文章、見たことない!と、また怒りが沸点に達したけれど、親も歳をとったことがあるから「私が来た時に、こういう手紙類は整理してあげるからね」ってことになった。でも手紙を整理してあげる子供がいないお年寄りだって多いよね?

だいたいお役所のものって、申請式で、こちらが申請しないと「申し出がなかったんで」なんて言うじゃない? まるで誘発するような文書だったよ。複雑すぎて、量も多すぎて、字も小さすぎて。これじゃあ、お年寄りが読む気が起きないよ。

1回、コンサルか、コピーライターか入れるかどうかした方がいいし、そもそもこんな文章送らなくてもいいようなシンプルなシステムにしなくちゃいけない。
文書に「もしこの場合は」的な分岐点が多過ぎるんだよね。この場合は、文字じゃなくて、フローチャートでも使えばいいのになって思う。お年寄りだってフローチャートぐらい知ってるよね。

ペーパーレス化っていうのはね、紙を少なくすればいいってもんじゃないんだよね。そのためには元を、説明しようとする対象をシンプルにしなくちゃいけないんだよ。複雑なものを少ない紙で表現しようと思ったら、そりゃ字が小さくなっちゃうよ(笑)

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