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なぜワークショップでは「対話」を重視するのか:社会構成主義を学び直す

今週の「WORKSHOP DESIGN ACADEMIA(WDA)」の動画コンテンツ(※)は、ガーゲン夫妻の著書『現実はいつも対話から生まれる-社会構成主義入門』(2018年)について安斎から解説をしました。※WDAでは、毎週ワークショップ・イノベーション領域に関連する最新の理論の講義・対談・ゲストインタビュー動画を配信しています

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社会構成主義とは、認識論で、乱暴にいえば「世界を、客観的に存在すると捉えるのではなく、人々のあいだのコミュニケーションによって合意された結果として初めて現実となるんだ、というように観察すると、世界の理解が深まるよ」という提案です。以下、本書の見開きから引用。

社会構成主義の基礎的な考えはとてもシンプルなようでいて、非常に奥深くもあります。
私たちが「現実だ」と思っていることはすべて「社会的に構成されたもの」です。
もっとドラマチックに表現するとしたら、そこにいる人たち が、「そうだ」と「合意」して初めて、それは「リアルになる」のです。

徹底して「意味」は「個人の中」に存在するのではなく、人々の相互的なコミュニケーションの結果からしか生まれないとする考え方であり、なかなか"しっくりくる"まで時間がかかる概念ではありますが、「なるほど、そういうことか」と理解すると、ワークショップデザインやファシリテーションに欠かせない概念であることが掴めてきます。

なぜ「組織開発」においてサーベイやトップダウン型のマネジメントではなく「対話」を重視するのか。なぜ「意味のイノベーション」の手法が、ラディカルサークルや解釈のネットワークのインタラクションの中で意味を創りだすプロセスを重視しているのか。..など、ワークショップが活用される関連領域の方法論が、なぜそのようなプロセスになっているのかを理解することができます。今回の動画でも、そのあたりを丁寧に解説しています。

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もちろん、学校教育や企業研修など、学びの現場の在り方を見直す上でも、欠かせないアイデアです。以下の論文は、大学院時代に安斎のワークショップ理解を深めてくれた論文です。

逆にいえば、形式だけ導入されたワークショップの中には、明らかに社会構成主義的なプロセスを軽視しており、単なる個人ワークの共有で終わってしまい、集団の意味生成が生まれていない実践も少なくないように思います。

ファシリテーションの実践力を高めていこうとしたら、背後で欠かせない理論ですので、ぜひこの機会にレビューしてみてください!

以下、関連記事。

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