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『「好き」の因数分解』を読んだ話。

こんにちは。

3作目のnoteにして、早くも読書感想文の投稿をするyuki.です。


今回の本はリアムタイムの読みたて本ではなく、以前読了して、ちまちまとしたためていた感想です。

せっかく書いたのでここに放ちます。

完全に主観でしかないレビューなので
想像以上に参考にならない自信がありますが、
当時の興奮が伝わるといいなあと願っています。

ではいきます。

『「好き」の因数分解』を読んだ話。



雑誌でのエッセイ連載を、読むともなしに読む機会がよくあって、なんだかんだずっと読んでいたらどんどん気になってしまってとうとう図書館で借りて読んだ

最果タヒさんのエッセイ

『「好き」の因数分解』

言葉の緩急の付け方と読ませ方が凄まじい



読んだ結果。


めちゃ面白い。
笑わせようとしてないのに(いや狙ってんのかな)文章が面白い。
言葉の選び方と扱い方がすごい。
あと句読点の使い方がちょっと独特なときがあるんだけど、そこすごい好きです。

何気なく生活していて「クローゼットは破壊するもの」などとは思わないから、やっぱり「面白い」という感想でいいんだと思います。




「マックグリドル」の項目の序盤が

繊細なことはもういいんだよ、と思うことがある。季節の移り変わりや、空の色の変化や、そういうことに「もうそういうのはいいからああああああマックグリドルをよこせ!」と叫びたくなる。


なのも最高だし、
(感性の塊のようなイメージの人からそういう言葉が出てきて衝撃とともに笑った)

それに続く

「全く感受性が豊かとは思えないのに日常では自らの感受性に振り回されている(中略)下手くそで配慮が足りなくて見せかけてる気がしてどこまでが冷静でどこからが卑屈かわからんなー、」



的な記述たちには、共感を得すぎて
「んぐぐぐぐ……」となります。
なんかもうとにかくぐっさり刺さるのに、随所に笑えるとこが好きでした。

思うに、客観視された文章からの突然の口語体は
「やられたーーー面白いわそれは」
と思ってぐいぐい読んでしまいますよね。
(この表現の仕方の伝わらなさがすごいな)


タヒさんの「好きとか嫌いとか楽しいとか痛い」という感覚はタヒさんだけのものなので
「誰にも全ては共有は出来ない理解できない」と思う一方で、綴られる言葉たちにいちいち
「おお…私のぼんやりと感じていたことや、言葉にしにくかった感覚は、なるほどこういうことだったのか…」
という感じで「これぞ!」という表現をされているので(どストレートな表現ではないけど)
カチリと重なる感情があったりして、
読みながらすごく不思議な感覚を味わっていました。

「ポイント10倍キャンペーン」の項とか
「わかる〜〜〜」となります。

なんで私は10倍キャンペーンのときにこういう買い方をしてしまうんだろう、ということへの解を貰った気がしました。



あとはやっぱり、思ってもみない思考されてる部分もあるので、自分には想像もつかない考え方の人の言葉を読むのは単純に興味深かったです。

「そう来るかあ〜」の感覚もとても面白いので、
読んだ人に「読んでみてどうだった?」
と聞いてみたくなる一冊でした。



それにしても「うるせぇ切実フェチが」という言語に声を出して笑ってしまったんですが。
パワーワードすぎる。


村上春樹さんの短編「ハナレイ・ベイ」の終わり方がとても好きなんですけども(話自体というか言葉の終わり方)、タヒさんの文章をずっと読んでいたら、そういう「好き」を思い出しました。


こちらのエッセイ、連載で読むのとこうやって本で読むのとは、受け取り方がけっこう違う気がします。
連載だとタヒさん味がちょっと薄まる気がする。
本で読むとめっっちゃくちゃディープ。
濃さがすごいので休み休み読みたい。
その違いを感じるのもまた面白かったです。

余談ですけど
私は普段はエッセイというものにあまり興味の方向が向かないのですが、
ふとしたときに雑誌や冊子等で見かける各作家さんのエッセイは、必ずと言っていいほど読んでしまいます。
その作家さんのことをよく知らなくても読んでしまいます。あの現象なんなんだろう。名前をつけたい。


ここまで読んでくださりありがとうございます。

それではまた。


『「好き」の因数分解』を読んだ話。

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