見出し画像

【保育の場から】お別れの季節

年度末ですね。
一時保育室に勤める私にも、やはりいつもより大きなお別れの波がやってきます。

担当する職員の入れ替え、交流のある一般の保育園側の職員の異動など、大人のお別れもありますが。
もちろん、利用する子どもたちともあります。

よくあるのが、育休が明ける保護者の方が復職するにあたり通常の保育施設に預けることになる、というお別れ。
リラックスしてお昼寝もできるように慣らした子たちが、よそへ行っちゃうのよねぇ…と大人たちはため息をつく。

あとは転居も多い季節。
遠くへ引っ越すために転園するという。

私たちのところに来る子どもたちは基本的に0〜2歳なので、お別れなんてほぼ理解していない人ばかり。
「元気でね」という、いつもと違う見送りの言葉にもなんの感慨も違和感もなく、無邪気に手を振り返してくれます。

一時保育室の前にも病児保育室や小児科病棟に勤務していた私は、子どもとのお別れには慣れきっているはずなのですが、やっぱり馴染みの子どもたちとのお別れは寂しくて。
慣れている、とはまだ言えないのかもしれません。

特によく来ていた子たちとのお別れもありました。
3歳さんと、1歳さん。
ふたり同じ最後の日には、みんなで近所に散歩に行きました。
花びらや葉っぱを拾ったり、川の流れを見つめたり
「ワンワン!」と散歩中の犬を指さしたり。
いつもと同じ。

青空高く飛ぶ飛行機の音が聞こえて、みんなで空を見上げて
「あ!ひこうき!バイバーイ!」
と手を振ったとき、なぜだか泣きそうになりました。
こんな些細な時間こそ、かけがえのないものなのよね、なんて。

彼らより私のほうが早く帰るタイミングで、ふたりをそれぞれハグさせてもらいました。
「大好きだよー!!」の言葉を添えて。

ふたりともただ嬉しそうにくちゃくちゃな笑顔で「キャー!」と言って、「タッチ」と手を出してくれました。

家族や親戚じゃない大人が自分のことを「大好き」だったということが、ほんの少しでもこの先の彼らを温めることがあればいいなと、祈りのような気持ちでした。

3歳さんは、もしかしたら少しは覚えててくれるかなぁ?
1歳さんは、私のことを忘れてしまうでしょう。

それでも私は、私に温かな気持ちをくれた子たちのことをずっと覚えています。
みんなどうか元気で、ご機嫌に。

また新しい利用児さんたちがやってくるでしょう。
そして、引き続き来る子たちも、もちろん。

新しい一年が始まります。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?