多忙すぎる現代の園児たち
保育士歴10年の yukichi. です。
最近の子どもたちは、就学前から本当に忙しいです。
朝7時すぎから夜19時前まで園に預けられている子、土曜日も休日保育も週6日で預けられている子、休日はお出かけばかりで家でゆっくり過ごせることのない子、習い事をみっつもよっつもしている子。
大人よりも長い時間、頑張っている保育園児たち。
親の教育方針があるのでそれをかわいそうだとか表現したくはないのですが、頑張っている子どもたちにはもっと、楽しさも癒しも毎日感じてほしいんです。
子どもだって、疲れるし休みたい!
週6で預けられている子、もう一日ぐらい休ませてあげたらどうかなぁと思うお話。
その子の親は、ちいさな子どもがいながら労働基準法に反する働き方をしているのかしら?たぶん週5のはずなのよ。就学前の子どもがいるのに週6日働かせる会社なんて、今時ほとんどないと思うので。
美容師さんなら月曜が休みだし、中古車屋さんは水曜が休み。なのに「仕事です」と言って、いつもと違うすっぴんスウェット姿で朝から預けに来て、夕方も18時すぎてお迎えなんてところも多い。
たまに研修や事務仕事があったとしても、毎週6日は働いていないと思うのよね。もしくは、もう少し早く16時迎えぐらいならできるだろうと思う。でもフルタイムで預けている。
いや、週2日しかない休みで一日ぐらいゆっくりしたいと思う親の気持ちも理解できるんですよ。もしくは、「ゆっくりなんてしてない!その日に1週間ぶんの買い物をしたり、おかずを作り置きしたり、たまった家事をしているんです!」という家庭もあるでしょう。
それならそれで、仕事だと嘘はつかずに「休みなんですけど用事があって。連絡はケータイにお願いします」って言ってくれればいい。
そんな日に限って子どもが熱を出してしまい、職場に電話すると「今日はお休みされてます」なんて言われちゃあ、こっちも向こうもみーんな気まずいんだから~。
役所勤めで、夏季休暇が必ず取れるはずの家庭でも、お盆でも毎日保育園に預けにきます。今から海でもいくの?みたいなTシャツ・短パン&ビーチサンダルとかで。
他にも「パパは休みだけど、パパじゃ一日じゅう2人も見れないんで~」と兄弟を預けにくるママ。
なんで自分の子どもなのに、見れないの?こっちは他人の子を一人で30人ぐらい見てますけど?
預けちゃいけないなんて言わないですが、子どもだって疲れるんです!
集団で生活していると、常に騒がしいし落ち着かないのは想像がつくはず。大人だって、仕事じゃなくても大勢の人がいて常にざわざわしているところで、身体も心も休まらないですよね。
特別なことなんてしなくていい、ただ家でゆっくり過ごすだけでもいいから、子どもにも休日を週2日あげてほしいと思います。
その習い事は、本当に子どものやりたいこと?
私の働く保育園では、特に年長児にもなるとたくさんの習い事をしています。週3回くらいは普通に。
スイミング・英会話・ダンス・バレエ・空手・ピアノ・サッカー・器械体操・バイオリンなど色々。
実際にいた5歳児の女の子の話ですが、その子は空手とピアノと英会話、みっつの習い事をしていました。
空手の曜日では、お母さんとお姉ちゃんが園に一緒にお迎えにきて、道着にきがえて姉妹で空手教室に向かいます。園庭で遊んでいても、姿が見えるとサッと片付けて挨拶を済ませ、道着を着ると生き生きとした表情になり、ニコニコと「先生さようなら〜」と降園していきます。
一方、ピアノの曜日では明らかに表情も片付けも降園までのスピードも違います。お母さんが「早くしなさい!」と言うのですが、「まだこの塗り絵が終わってない」とか、言い訳を並べて待たせたりノロノロと片付けたり、帰り支度までとても時間がかかります。
英会話は土日らしく、私にはこの子がどんな気持ちで習いに行っているのか分かりませんが、この女の子にとって、ピアノの習い事は必要なのでしょうか?
嫌々させられることで上達するのかな?お金もったいなくない?それなら空手を週2回にした方が伸びるんじゃない?と。
もしかしたら、ピアノもその子自身がやりたいと言って始めた習い事なのかもしれません。でも何か嫌になった理由があって、親は「自分がやりたいって言って始めたんだから、中途半端にすぐ辞めるなんて許しません!」的な思いがあるのかも?
ピアノの先生との関係とか、お月謝が半年払いなのだとか、継続理由は不明ですがやらされている気持ちでは苦痛だろうなと思ってしまいます。この子がピアニストにはきっとならないでしょう。
習っている時間以外に自分でどれだけやっているか?
例えば、週に1回1時間コーチや先生に習っているとします。その時間の他に、子どもが自分でどれくらいそのことをやっていますか?
ダンスなら家の鏡の前で踊ってるとか、野球なら素振りしてるとか、サッカーなら公園でボール蹴ってるとか、英会話ならディズニー映画を英語で観てるとか。
誰かに言われなくても、勝手に自分で遊びの延長みたいにやっていること。それこそが向き不向きでいう【向き】であって、【才能】【得意】【可能性】とも呼べるのではないでしょうか。
前記事でも書きましたが、「やらされてやっている人は、夢中で没頭できる人に一生勝てない」持論でいくと、子どもの才能の見つけ方、得意や可能性の伸ばし方はこれで判断すればいいと思います。
自分で努力できることこそが才能だから。
親が成し得なかったことを、子どもに望んではいけない
親が「私は勉強に苦労したから子どもには早期教育を」「これからは世界で活躍する時代だから英語を」「私にはなんの得意も才能もなかったから、この子には何か一芸に秀でてほしい」などと、親ができなかったことを子どもに期待したり背負わせたりしてはいけません。
だって、子どもは親とは別の人格を持ったひとりの人間であって、親の所有物でもコピーでもないのだから。
何がしたいか・何が好きか・何になりたいかは、その子が自分で決めること。
親がやりたかったことならば、40代からでも50代からでも何歳であれ自分がやればいい。英語を喋りたかったと思うのなら、今から自分が勉強すればいい。もし親が英語を勉強している姿を見れば、子どもも「私もやりたい!」と言うかもしれませんが。「そしたら一緒にやろっか」となれば素敵ですね。
ハッキリ言います。貴方が◯◯できなかったのは、貴方の親の教育のせいではなく自分のせいです。環境や何かのせいにする人は、自分で責任の取れない人になります。
まとめ
子どもの教育にお金をかけることや、習い事をさせること、多くの選択肢を用意してあげたいという親の気持ちを否定したいわけではありません。
私が親ならば同じことを考えると思います。
ただ、親の思いだけで早めにあれこれ用意しすぎたり、いくつかのレールを先に敷いてあげるのではなく、子どもが【夢中になれることは何か】を一緒に探し、見つかれば全力で応援するぐらいの構え方で充分なのでは、ということが言いたいのです。
「先生」という立場だからと言って、親に子育て指導するつもりはありません。子育て観の押し付けもしたくない。
子どもの成長を一緒に願い、見守るパートナーとしての意見でした。
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