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唐揚げにレモンをかけるか、かけないか問題

鳥の唐揚げや焼き鳥などに、レモンその他の柑橘果汁をかけるかどうかで良く揉めますね。(上の写真は牛カツですが)

私は、揚げ物や焼き物に、酸味(柑橘果汁、あるいは酢、あるいは乳酸発酵で酸味が出た漬物、その他)を添えて食べるのが好きです。酸味で味の密度が上がるからです。

そりゃもちろん、出てきた揚げ物や料理の全体にレモン果汁をぶしゃー!とやられるのは私も嫌です。揚げ物なら衣が湿りますし。味が均一化してしまうのが嫌です。

ウチでは果汁や香辛料をかける場合は、一口で食べる分だけかける「都度がけ」スタイルです。元の唐揚げや焼き鳥は次の展開を残したニュートラルな存在でいて欲しいんですよねー。焼き鳥に唐辛子粉を添える際も、焼き鳥にかけずに、唐辛子粉を小皿に取る、あるいは焼き鳥の皿の隅に置いておいて、一口分に丁度良い量を、ちょいとつけていただきます。大根おろしなんかもそうします。

たまに「俺ぁ、レモンなんかかけたら味が変わるからかけないね(ドヤ)」と、柑橘果汁をかける人をバカにする人がおりますが、それは違うと私は言いたい。

例えばイタリア料理では、魚や肉や野菜や根菜のグリルや揚げ物にレモンや酢をかけるのは一般的です。その方が味の密度が上がりますし、酸味でさっぱりと食べられるからです。柑橘類の乗った皿は見た目も爽やかになりますしね。柑橘果汁は結構たっぷりかけるので、レモンなら丸々一個分ぐらい付いて来たりします。

揚げ物や焼き物は、そのままでも美味しいし、酸味を加えても美味しい。その他薬味を添えても美味しい。調味料を変えても美味しい。だから、私はプレーンと何かプラスした両方を楽しみたい。欲深いので。片方だけなんてもったいない。

料理をひとつの立方体に例えると、Aの面から料理を楽しむ、Bの面からも楽しむ、あるいはもっと色々な方面から楽しむために「味変 あじへん」するわけです。同じ料理・食材を違う切り口からその都度新鮮な感覚で楽しみたいのです。もちろん、柑橘果汁だけでなく、何かしらの薬味や調味料も良いですね。添える調味料や薬味によって、元の料理が違う展開を見せてくれるのが良いのです。

例えば良く出来たトンカツの場合、ロースの場合では、脂身の少ない部分は塩とレモン果汁、その他の部分はお店自家製のソース、脂身の多い箇所は「辛子酢醤油」で食べると、一枚のトンカツを味わい尽くせます。(辛子酢醤油は、ご飯にも合いますし)脂身の多い部分はおろしポン酢も良いですね。

だから、料理自体が比較的シンプルな場合は、何かしらの味変のための「センスの良い薬味や調味料」が欲しいですね。その薬味や調味料の種類や質に、料理人のセンスが出ます。料理人のセンスは自ら調理した料理自体だけではなく、お客さまがテーブルで食す際の調味料や薬味などにも出ると私は考えております。ある程度の金額の料理店であるなら、出てくる料理が良く出来ているのは当然で、それがお客さまが食卓で手を加えられる余白のあるタイプの料理なのであれば、そのための用意にセンスが求められるのは当然です。

これ、意外に重要です。料理自体はかなり美味しいのに「お客さまが手を加える部分」のセンスが悪いところ、手抜きなところ、そこまで考えが及んでいないお店が多い。私は外食に行くと、それで失望する事が多いです。有名店や老舗であってもそこに力を入れていない所が多い。鍋物なんかもそうですね。

なんだか私、面倒くさい事を言っておりますね。
でも私は欲深いので。


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