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家族の映画のエッセイ|東京家族

8月に入って、そろそろ夏休み、という方も多いかと思います。
だけど、今年はいつもと違う夏。
在宅勤務が続いていたり、休みだからといって旅に出るのも憚られる。
なんかメリハリがつかないのですよね。

我が家も半年ぶりに大阪に帰省しようかと思っていたのですが、東京も大阪も感染者が増加している中、親の元に行くのはやっぱりやめておいた方がええんかも、となり、まだしばらくお預けになりそうです。

今日は、もしかしたらレシピよりも好評かもしれない映画エッセイ💦
第3弾は「東京家族」遠く離れて住む親子、家族のお話です。

このエッセイを書いたのが2016年。それから4年、親も私もそれぞれ年を重ね、最近は関西出張の折に泊まったりして、以前より顔を見せるようにしていました。
が、ここにきてそれも叶わず。

小津安二郎監督の名作「東京物語」のオマージュのようなこの作品、両作品観比べるのも面白いと思います。
巣ごもり夏休みにいかがでしょうか。

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作品「東京家族」 
『東京家族』(とうきょうかぞく)は、2013年の日本映画。2013年1月19日公開。小津安二郎監督による『東京物語』(1953年松竹)をモチーフとして制作したと発表されたが、設定やストーリー、演出手法など大部分を踏襲したまま時代を平成に移し替えたものであり、実質的にリメイクである。広島側の舞台は、尾道から豊田郡大崎上島町に変更され撮影されている。キャッチコピーは「おかしくて、かなしい。これは、あなたの物語です。」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』


離れて暮らす親のことが気になりだした時に。

帰省、していますか?
ウチの場合、新幹線に乗れば3時間で到着、という距離ですが、年末年始+1回、という程度しか帰っておりません。
子供でもいれば、親に孫をみせたい(預けたい!?)、孫の顔がみたい、と足しげく行き来するのかもしれませんが、大人ばかり、1年経っても特に「成長」もなく……。

成長どころか、最近は「親も年とったなあ」としみじみ感じることが多くなりました。
背中が丸くなったなあ、とか、足元がおぼつかないなあ、とか。
同じ事ばかり話すなあ、とか。(あ、これは昔からかも。)

去年の夏は、なんと母が骨折したとかで。でも離れて暮らす子供達に知らせたのは2ヶ月以上過ぎて完治した頃。
「言っても仕方ないから。心配かけたくないから。」

気丈なのはいいけれど、教えてくれたっていいじゃない。つい、そんなふうに言っちゃったけれど、実際に、仕事を休んで駆けつけられるか、実家に滞在して家事や身の回りのお世話をしてあげられるか、というとNOだったりするわけで。

だんだんと年を重ねると、出来ないことも増えていく。
今は夫婦そろっているけれど、もし、どちらかが……そんなことをちらっと思い浮かべることも。

そんなシチュエーションそのものなのが、今回ご紹介する「東京家族」。
この映画、山田洋次監督が、小津安二郎監督に捧ぐ、と制作した作品です。
そう、「東京物語」の現代版、と言っていいような物語。

瀬戸内海の小島に住む老夫婦が、子供達を訪ねて上京するところから、話ははじまります。東京近郊で開業する長男、美容室を切り盛りする長女、舞台美術のアルバイトでなんとか生計をたてている次男。
しっかり者の長男には、よく出来たお嫁さんがいて、塾通いの中学生の息子と、ちょっとあかんたれな感じの次男がいる。
テキパキ、言いたい放題の娘。娘のだんなは、髪結いの亭主そのもの。
次男はまだ独身でふらふらしていて、新幹線の駅まで両親を迎えに行くものの、品川に行かなきゃいけないのに、東京駅に行ってしまうという始末。

それでも初日は長男の家に子供達がみんなが集まって、スキヤキを囲み「理想的な家族」の時間を過ごすものの、日が経つにつれ、不協和音が生じてくる……というお決まりのパターン。

1−2日ならお客様扱いでおもてなしするものの、3日もたてば、いつもいない人がいるって、なかなかにストレスなのですよね。好き嫌い、気が合う合わない、ということではなく、生活パターンが違う、違ってしまった、ということが一番の理由。
しかも家族なだけに、その違いを「仕方ないよね」と割り切れない。小さなストレスの芽がポツポツ出てくるわけです。
のんびりした空間に忙しい人が放り込まれるのはまだいいのですが、その反対はもう大変。仕事はあるし、忙しいし、でもかまってあげられないし、と受け入れた側が、その状態に耐えきれなくなっちゃうのね。
お客様状態の親も居所がなくて、なんとも居心地が悪い……。

身につまされます……。

そんな中、ある「事件」が起こって、家族に大きな変化が。

親と子の距離感、付合い方、気持ちのやり取り、等々、いろいろと考えさせられます。
今度の休みに親の顔、見に帰ろうかな、そんな気持ちになる映画です。

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