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168. 海外に出てから一番最初に乗り越えないといけない壁

みなさんこんにちは。三浦優希です。

今日は、海外でプレーを目指す選手が最初に乗り越えなければならない壁について、自分の経験に基づいてお話ししたいと思います。

海外に行くと、さまざまな障壁が立ちはだかります。文化や言語、育った背景などの違いはよく言われるものですが、競技面に焦点を当てると、最初に乗り越えなければならない壁は「チームメイトに認めてもらうこと」だと思います。

例えばアイスホッケーの場合、「日本でアイスホッケーをやっていた」と言っても、アメリカやヨーロッパのチームに行ったらそれがプラスに働いてくれることは残念ながらあまりありません。現地の選手の中には、日本にアイスホッケーがあること自体、知らない選手もいたりします。つまり、言葉を選ばずにいうと、なめられてしまうことがあったりします。

もちろん、高いレベルになればなるほど、こういった状況に直面することは減っていくと思います。なぜなら、上にいけばいくほど人間的にも素晴らしい選手が集まるようになるからです。

僕は幸運なことに、周りの選手にも恵まれ、いわゆる人種差別的な扱いを受けたことはほとんどありませんでした。しかしいずれにしても、新たなチームに初めて入るときには、周りの選手に「この選手はここにいて当然」と理解してもらう必要があります。

僕がそのような経験を初めてしたのは、日本からチェコに渡ったときのことでした。高校2年生のときです。

日本からドキドキしながらチェコに来て、緊張と共に初めてロッカールームに防具を持ちながら入っていった時、それまでワイワイ話していたみんなが、急に静まり返りました。

その後、僕をチラチラ見ながら何か喋っている様子を目にしていました。そのとき、僕はチェコ後は全くわからなかったわけですが、なんとなく、向こうが僕を何か物珍しいように見ている感覚、もっと言えば若干馬鹿にされているような感覚が伝わってきました。

ある意味、周りの選手のその反応は当然だったと思います。そのとき、僕はおそらくチームの中でもほぼ一番小さい選手でした。

190センチ以上の選手もいたり、すでに体が出来上がっている選手が多くいる中で、どこから来たのかもわからないひょろひょろの選手が突然登場し、しかもこれから一緒に練習するといっているわけですから、ある意味そのように見られても全くおかしくない状況だったと思います。

ちなみに、その時僕は17歳で、参加させてもらっていたのはチェコトップリーグに参戦するU20チームだったので、みんな年上でした。(誤解を招かないために書きますが、当時のチームメイトはみんなとってもNice Guyでした。後々、僕は彼らとめちゃくちゃ仲良くなります。笑)

さて、話を戻します。ここからが非常に重要なのですが、初めて海外のロッカールームに入って、なんとなくバカにされたような感覚を味わった僕は、自分の意外な感情を発見します。

僕はそこで怯えて投げ出したくなったわけでもなく、恐怖に負けて震えていたわけでもなく「こいっつらマジで今に見てろよ、ぜってえ見返してやるからな」と、ある意味怒りに近いエネルギーが沸々と心の中でたぎっていました。

当時の僕は言葉は何もわからないし、何か言われたらニコニコしているくらいしかできませんでしたが、防具を着替えながらも心の内では「マジで見返してやる、早く練習始まれ、やってやる」と思っていました。

そして実際に練習が始まり5分も経たないうちに、僕はあることに気づきました。それは「なんだ、全然ここでもやれるじゃん」ということでした。

自分のスピードやスキルは通用するし、なんなら、このチームならトップになれる、くらいの感覚を1回目の練習で確信することができたんです。

それと同時に、もう一つの発見がありました。それは、チームメイトの僕に対する見方や接し方がどんどん手に取るように変わっていたことです。みんな、練習の後半にはたくさん話しかけてくれるようになっていました。

例えば、ゲーム形式でプレーしていたとしても、最初はパスが回ってこないことがありました。しかし、自分が良いプレイをできることを見せたり、味方に得点を決めさせたりすると、今度は向こうから次々とパックが出されるようになったりします。

つまり、自分がこのチームで活躍できることを見せられれば、周りもそれを理解してくれる、ということです。

新しい環境にチャレンジするときは、不安になって当然です。それ自体は誰もが経験するものだし、珍しいことではありません。大切なことは、挑戦する前の準備段階で、その不安の中に、自分自身の心の強さを持つことだと思います。どこにいっても、勝負の舞台に立つ前の前哨戦があるんです。そういった状況では「今に見てろよ」という反骨心や負けん気は、実は自分を助けてくれるきっかけになったりします。

もちろん、その場に残れるかどうかは実力次第になりますが、自分が今持っている力を100%発揮するためには、戦いの場に立つ以前に乗り越えなければいけない壁があります。

つまり、今日の話を一言でまとめれば「どんな場所でも、自分を信じ抜き、自信を持ちつづける」ということです。

ちなみにですが、チェコで過ごした時間は本当に最高でした。今、僕がアメリカに挑戦できているのは、間違いなく当時チェコで過ごした経験があるからです。当時のチームメイトやコーチ、現地で出会ったすべての方々に感謝しています。

僕の経験が少しでもどなたかの参考になれば幸いです。

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

三浦優希

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