みんな初デートの場所に厳しい。ラーメン屋やファミレス、牛丼屋が初デートというと女子たちは「それはないよ～」と言う。

わたしと彼氏は、そんな「ありえない」場所から始まったのだった。

同じバイト先で「もっと仲良くなりたい」と感じた1個上の彼に、私から勇気を出して「おいしいとこ連れて行ってください！」とお誘いをした。「いいよ！」と快諾した彼が有名レストランと言って一緒に行ったのが、なんとファミレスのガストだった。
今考えれば完全に脈無しの店選びだ。でも当時のわたしは気を遣われなかったのが嬉しくて、とびっきりのオシャレをして向かったのだった。　

ガストではそれぞれのご飯に加えてドリンクバーを注文し、コーラやオレンジジュース、お茶を何杯もおかわりした。そして次の日には忘れるほどしょうもない話から、まじめな将来の話まで、何から何までしゃべり倒した。

集合してから2，3時間は経っていたけど、楽しかったので「そろそろ帰る？」とは言いたくなかった。たぶん彼もそうだったのかもしれない。わたしたちは「帰ろっか？」とお互い口に出さないまま、閉店間際の夜中1時までソフトドリンクを片手に約6時間も話し続けた。普段自分のことを話すのが苦手なわたしにとって、ありえないようなことだ。結局、家につく頃は夜中の2時だった。

その後彼とは初デート以降も何度かガストに行き、1年後くらいに付き合うことになった。学生の頃より贅沢できるだけのお金を手に入れても、今も彼はガストのハンバーグを美味しそうに味わっている。そんな彼と、たぶん結婚することになるだろう。

初デートとしてはなしでも、幸せの第一歩としてファミレスは大ありだ。もし好きな人との初デートがファミレスだったとしても、「ない」と決めつけずに、まずはドリンクバーを頼んでじっくり向き合うことをおすすめする。