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暖かくなる季節に、読んでみたら勇気が湧くかもしれない、読書記録 セカンドチャンス

篠田節子先生著
セカンドチャンス
講談社
2022年

図書館で
久しぶりに「インドクリスタル」「弥勒」など詳細な資料と明快な展開の篠田節子さんの作品を読んでみたいと思って、

探すと意外にもプールサイドが表紙のこの「セカンドチャンス」を見つけました。

◎あらすじ
 麻里は50代で独身。

母の介護をして見送り、近所の眼科で検査補助のパートをしている。

ある時勤務中にめまいを起こし、眼科の医師に勧められ市の健康診断を10数年ぶりに受ける。

結果は高血圧と高脂血症で生活習慣病プロジェクトの参加を促され、その中で食事の制限と運動を強く勧められた。

 しかし仕事や家事で忙しいを理由に運動をできない麻里だったが、やっと幼馴染の千尋を誘ってスポーツセンターの体験を予約する。


◎気になった箇所


「少しは自分ファーストにしな。     このままじゃ、あんたの人生は人に利用されるだけで終わるよ。」(中略)
単刀直入にものをいう幼友達のがさつさについていけないことはたびたびあった。        だが無神経な言葉の底に流れる温かい思いやりも感じとれるから、長く付き合ってきた。 その後ろ姿に小さく手を合わせ、麻里は車をジムへと向ける。

17ページ



☆☆
「私には。無理みたいです。どんどん沈んできて、泳げる人って違う人種みたいな気がします。」(コーチの)岸和田の顔からいつもの爽やかな笑顔が引っ込んだ。      深刻な表情を見せると、麻里の目を見つめた。
「絶対大丈夫です。絶対泳げるようになりますから。信じて練習に出てきてください。」
ドラマの一場面のような、しかし芝居がかったところが微塵もない、熱意の籠った口調だった。      単なる仕事を超えた真摯な態度に打たれ、麻里はいい年をした自分の甘えた言動を恥じていた。

37ページ




◎感想
☆麻里はいつも家族、母や父、老いた親類の叔父叔母、幼い姪のことを優先し自分のことは後回しだったのでしょう。

周りの人を気づかいその思いを汲み取り行動していくと、いやそうせざるを得ない状況にずっとおかれていると、「自分の気持ち」がわからなくなることあります。

家族のために育児、家事、介護「~してあげたい」が「しなければならない」になったとき、自分がなくなってしまう、と思います。

ワンオペ育児に苦しんだ私が振り返ってみれば、いつでも「本当の自分」になれるわずかな時間や空間、仲間は大切にしたほうがいいなと思う。

☆☆
自分のやりたいことに出会う、それは偶然だと思います。

そして初めからあったものでもなく、人との出会いや少しずつ変化する自分を見つけたとき、自分はまだ変われるかもしれないと思えたりもします。

一つのことを続けることで見えてくる景色もあります。

できなかったことができるようになる、その可能性はだれにもあるのでしょう。

そして同じ目標に向かって努力する仲間がいる、そんな時間をもてるということも生きることの喜びかもしれないと、思う今日この頃です。

◎今日も最後までお付き合いいただきありがとうございました😊

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