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もはやベジタリアンとヴィーガンが主流?

レストラン業を離れて、気がついたらもう1年が経った。あっという間だったような、本当にいろんなことがあったような、複雑な気持ち。

今回は、この1年というか、ここ数ヶ月の様々なイベントに参加して肌で感じたヨーロッパの若い人たちの食に対する意識みたいなものを書いてみようと思う。

夏はバカンスシーズンで、地元の人たちはリスボンの街からいなくなり、観光客で溢れる。

9月になったら、「盛り上がるぞ!」と言わんばかりに様々なイベントが開催され、お声がかかり始めた。ずっと店にこもっていた頃は周りの動きがよく見れていなかったんだなぁ、秋はこんなにイベントがあちこちで活発になるなんて知らなかった。もしくは、コロナが落ち着いた後の新しいムーブメントなのかもしれない。

去年くらいから、リスボンはさらに国際化している。街中は外国人で溢れ、私たちがアトリエを構えているリスボンのアルファマ地区は、トゥクトゥクが所狭しと停まっていて、車が渋滞し、道は常に混乱している。

観光客だけではなくて、どうやら海外からの移住者もどんどん増えているらしい。特にアメリカから移住してくる人を見かけることがとても多く、日本人の移住者の方にも実際にこの1、2年で本当にたくさん出会った。やはりリモートで仕事をできるこのご時世、ポルトガルの、のんびり暖かくて気候の良い、そして物価の安い場所に住みながら、自国の仕事を自宅で続けることができるという、とても魅力的な条件が揃っているのだろう。


とても見応えのある映画!

前おきが長くなったけれど、そういうわけで、お邪魔するどこのイベントも、とても国際的になった。時には外国人の方が多い時だってある。先日フード屋台を依頼されて行った、西島秀俊主演のドライブ・マイ・カー」の夜の野外上映なんかは、半分以上がヨーロッパ系の外国人で、映画自体も英語の字幕だった。ちなみにここで出したのは、エビや干し鱈を入れた、ポルトガルバージョンの「助六寿司」と、夜だからあったまるかなぁと思って作った豚汁。


エビ天ぷら、棒鱈の甘辛炊き、卵、きゅうりなどの太巻きと、お稲荷さんのセット

とても評判は良くてすぐに売り切れたけど、驚いたことに、半分以上のお客さんたちから、「ヴィーガンの物は何か売ってる?」「ベジタリアンの物はどれ?」「肉は食べないから豚汁は無理だな」などと口々に言われたこと。残念ながら、その日ヴィーガンどころか、ベジタリアンのものも用意していなかったから、申し訳ないことをした。

その後参加した夜の博物館の庭で行われた大きなイベント「ナイト・ストーリーズ」では、20代くらいの若い層と音楽で身動きできないくらいの盛り上がり、フード屋台も10店舗くらい出店した。


人、人、人!

出店している店の顔ぶれがまた多国籍で、今までのポルトガルの有名シェフの店だけで固められているパターンとは大違い。そしてさらに驚いたのが、ヴィーガンタコス、ハンバーガー、カレー、ピザなど、ヴィーガンやベジタリアンが揃っていて、サーモンの漬け丼なんかを出した私たちが逆に浮いている感があった。お客さんもポルトガル語があまりわからなくて英語でコミュニケーションを取る場合が多く、ここでも「ベジタリアンある?」の質問多発、実際にサーモンの漬け丼を購入するのはポルトガル人のお客さんが多かった。


隣のブースで英国人カップルが出していたヴィーガンのダルカレー。味が複雑で美味しかった!


反対隣で出していた、ヴィーガンのタコスセット。これもとても美味しくて、大人気だった!


そして私たちが出した漬け丼は温泉卵付き。これも結局完売はしました!

そういうわけで、ヨーロッパの若いジェネレーションの間でこんなにヴィーガン、ベジタリアンが広がっているというのを、本当に肌で強く感じた数ヶ月だった。これって、今の流行りのムーブメントでまた減っていくのか、それともより世界の環境問題を考える人口が多くなり、これからさらに増えていくものなのか、どうなってゆくのだろう?

店での客層とは大きく違い、驚きや戸惑うことが多いけど、それでも私はやっぱりもっと野菜をさらにふんだんに使った新しいメニューを考えていきたいという、大きなモチベーションをもらった!




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