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リスボンにはケーキ屋さんがほとんどないのでは?

前回、リスボンのカフェについて書き始めたのは、お持ち帰り、テイクアウトのことを書こうと思ったから。

ポルトガルには、意外とスイーツのテイクアウト専門店がとても少ない。このコロナ禍で少しは増えたかも知れないけど、お持ち帰りやお土産の習慣自体がほとんどないのだ。

コロナ禍の間の、飲食店は店を開けては行けなかった期間は、たくさんの店が必死にテイクアウトや配達を始めて頑張っていた。うちも、お弁当を集中的に売り出した。その間に、ウーバーなんかのシステムも受け入れられて、定着し始めたのはあるけど、それは食事に留まっているかも知れない。

店で出していた日替わり弁当

もともと、どこかにお菓子をお土産で持っていったり、そういった習慣はこちらには、あんまりない。どちらかというと、ワインとかを持っていく方が多いかな。唯一ケーキがよく買われるのは、誕生日の時。だから、ホールのケーキを売るカフェなんかはよくある。でもケーキ専門店というのは、ほとんどない。多分フランスなんかに行けばまた全然違うのだろうけど、ケーキを一人分づつスライスしてカットして売っている、宝石箱のようなケーキ屋さんというのは、本当に見ないなぁ。数年前に、フランスで修行してきたというパティシエが開いたケーキ屋さんが、お洒落でお金持ちの人が集まるエリアでオープンしたけど、2年ほどで閉まってしまった。私たちがやっていた店のすぐ近所にも、エクレア屋さんがオープンしたけど、これも1年ほどでクローズ。きっと、庶民の予算に合わないのが一番の理由だと思うけど、そもそももうカットしたケーキを買ってどこかに持っていくという考えがないんだろうな、と思う。実際うちに注文が入る時も、ホールの誕生日ケーキの方が多かった。


私たちが店をオープンする8年前までずっと長く日本風のカフェをやっていた知人ご夫婦がいらしたのだけれど、そこの主人である、ポルトガル人のパティシエのパウロさんが作るケーキは、本当に日本で食べるような、繊細で甘すぎず、色も綺麗で、なかなかお目にかかれないクオリティの美味しいケーキばかりだった。カステラが一番売りだったのだけど、カステラも本当に美味しくて、日本から来たお客さんがよく大量にお土産に買うのを見かけた。そこの女主人の智子さんがよく、「ポルトガルはテイクアウトでケーキを買って帰る文化がないから、店で食べていってもらうのがメインになる。」とおっしゃっていたのが今でも印象に残っている。お昼には、定食でご飯も出されていて、お客さんたちは、デザートにケーキを食べていた。

ちなみにこのご夫婦、現在は京都に引っ越されて、ポルトガルの本物の美味しいお菓子を出すカフェを経営されていて、超人気店となっている!

カステラ ド パウロ  ← こちらがサイト。次に日本に帰った時にはぜひ訪れたい!


確かにポルトガル人は甘いものがみんな大好きで、食事の後は必ず「今日はどんなデザートがあるの?」と聞く。私の印象では、男性の方が甘い物好きが多い。スーツ姿で店にお昼を食べにきて、食事の後はスイーツを食べて、最後にエスプレッソを飲んでお会計して帰る、こういうのがルーティンの男性のお客さんがたくさんいた。

店では日替わりスイーツも出していた


唯一のテイクアウトでめちゃくちゃ流行っているのは、パステル・デ・ナタ(エッグタルト)の店。ポルトガルといえば、エッグタルト。ポルトガルに来たら、一度は食べておきたいスイーツ。外側はパイ生地で、中はトロッとしたカスタードクリームが入っているそのタルトは大体小振りで、一人でいくつも食べれてしまう。有名店は、テイクアウトだけでもいつも大行列。でも、、今考えてみると、買っているのはほとんど観光客。これもどこのカフェにも大体置いているので、地元の人は、カフェでおやつに、コーヒーのお供にさっと食べることが多いのかも知れない。


観光客が増え始めて、新しい店ができたと思ったら、またエッグタルトとさくらんぼのリキュール、ジンジーニャの店ということは、本当によくあるパターンで、「また。。?!よくこんなに同じような店ばかりオープンするなぁ。」とよく話している。

どうしてお持ち帰り専門のスイーツ店が流行らないんだろう?と考えてみた。

一つは、スーパーで激安のホールケーキが売っているからだろう。500円以下で、安いシンプルなスポンジケーキみたいなのとか、タルトとか、色々売っている。原材料を見たらちょっと恐ろしいけど、これをレジで抱えている人はとてもよく見る。

もう一つは、今でも家で気軽に作る人が多いから。持ち寄りパーティの時とか、誰かの誕生日の時なんかは、結構な確率で手作りの美味しいケーキなんかが出てくるから、やっぱり作ることに対するハードルが低くて、パパッと作って持っていっちゃうのだろう。バターや小麦粉なんかの原材料がとても安いから、というのもあるのかも。

でも結局、お呼ばれして片手に持っていくのはワインのボトルで、スイーツを買って持っていくということはあんまり良しとしていないのかも知れない。今までの経験を思い返すと、お呼ばれした時に、手作りのケーキを持っていく人は結構いて、それはとても喜ばれるけど、買ったケーキなどを持っていく人はあんまり見たことがないなぁ。「誰々さんのこのケーキが美味しくて有名なのよ!」とか、「あの人のこのタルトは、もう毎年のお決まりよ」みたいな会話はよくするから、やっぱり手作りして差し入れする、という素晴らしい文化がまだまだ根付いているからかも知れない。

ご近所さんたちでご飯会をした時の持ち寄られたスイーツたち


その一方、去年、フランスで修行した女性のパティシエがオープンさせた小さなお菓子屋さんがある。まだ買いに行く機会に恵まれていないけど、どうやらうまくいっていて、ファンもたくさんいるらしい。私もそのうち自分へのご褒美に、買いに行こうかな!

彼女のインスタがこちら↓
Juliana Penteado  





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