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【北欧図書館の仕掛け3】壁に<しまうま>描きませんか?

オランダ・アムステルダムのアイブルフ図書館は、白木の書架が印象的な小さな分館である。いかにも近所の人がふらっと立ち寄れる雰囲気のある図書館で、まさしく「リビングルームの延長」として地域住民に利用されている。その児童室で出会ったのが、ドアに描かれた<しまうま>だった。

オランダ・アイブルフ図書館

北欧やオランダでは壁に絵が描かれている図書館が結構ある。デンマークのある分館では児童室のリニューアルにあたり、地元で活動するアーティストに壁一面に絵を描いてもらったと聞いたこともあった。

作家はもちろんのこと、クリエーターにも図書館愛好者が多いから、「壁に絵を描いてください」と頼めば、図書館から頼まれたことを光栄に思って気軽に応じてくれるらしい。大きな絵が大好きな子どもたちは、児童室でその絵を見ることを楽しみにするだろうし、アーティストは地元の図書館の児童室に自分の絵が存在していることをすごく誇りに思うに違いない。

これまで児童室で出会った絵に共通するのは「大きく」「大胆に」描かれていて、「見ていてワクワクする図柄」であること。大きく描かれていれば、誰にとっても見やすいし、何よりも迫力がある。動物に興味を持つ子どもはたくさんいるので、図鑑は国や地域を問わず児童室の大人気アイテムなのだ。図書館で遭遇した本とともに<しまうま>と読書した記憶は、図書館の思い出として子どもが大きくなってもきっと残るはずだ。図書館に行きたい気持ちは、案外こんな仕掛けから引き出されるのかもしれない。


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