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創街道を歩む

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夢と幻から創作に歩みだした作品を集めました。
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記事一覧

山の修理屋⑨

《いつもの暮らしへ》  私は彼らと二時間ほど話し、彼らが用意した保存食とコーヒーを飲みな…

夢蔵子
1年前
6

山の修理屋⑧

《山の中へ》  頂上は色々な電波が届きそうな気もして、ポケットに入れたコロン5号を取り出…

夢蔵子
1年前
1

山の修理屋⑦

《山への誘導》  山岡さんらの連絡先は不明だった。明日戻るかもしれないが、それは予想でき…

夢蔵子
1年前
2

山の修理屋⑥

《不在の家》  夕食をつくっていたときに、台所のテーブルに置いてある夏ミカンを見て、そう…

夢蔵子
1年前

山の修理屋⑤

《嵐の日》  ドローンは確かに指定した山の引出しにきて、そこから正確に部品の位置を計り、…

夢蔵子
1年前
1

山の修理屋④

《山の部品管理》  洗濯機の場合は翌日だったのと、余り日を置くのもよろしくないだろうと思…

夢蔵子
1年前

山の修理屋③

《修理屋の息子》  山から工場まで下りると、ふたりの若者が老人を見つけて、また頼みますーと明るい声を上げた。大学生っぽく、何度もこちらにきて来ているようだった。  いかにも理系っぽい眼鏡の二人は、中身がむき出しの各辺一メートルほどもある立方体の機械を台車に乗せており、それにはオシロスコープのような画面がいくつか付いていた。老人は、また壊れたか、と言って電化製品の隅の方に持っていくように言った。  隅の方から平屋の裏口がつながっており、彼らはそこから中に入っていった。息子の

山の修理屋②

《山の引出し》  翌日会社が終わって夕食を取ってから、再び夜のドライブとなった。カーナビ…

夢蔵子
1年前
3

山の修理屋①

《修理屋との出会い》  長年使っていた洗濯機が突然動かなくなった。水を入れても洗濯をして…

夢蔵子
1年前
3

ボイスレコーダーの男⑤

《対話の試み》  既に時刻は正午を過ぎ、ホテルの裏手にある公園を何周もしていた。強すぎな…

夢蔵子
1年前
1

ボイスレコーダーの男④

《気になる思い出》  南方の島での仕事は思ったよりもはかどった。予定していた鳥の生息地を…

夢蔵子
1年前
5

ボイスレコーダーの男③

《巡りの果て》  私は今朝の男に電話した。あり得ない現実について共感がほしかった。彼は仕…

夢蔵子
1年前
2

ボイスレコーダーの男②

《ホテルでの再生》  私はこの喫茶店に長居しても不自然だし、契約先に鳥の鳴き声を編集して…

夢蔵子
1年前
2

ボイスレコーダーの男①

《拾った男》  前夜に桜の並木道に仕掛けておいたボイスレコーダーのひとつが見つからなかった。早朝の鳥たちの泣き声を採取してメディアに売っているフリーランスの身としては、そういう機器がなくなると、見つかったときに変な疑いがかかるので心配だった。  桜の幹の凸凹したところに茶色い布で覆った機器を押し込んで、翌朝その五か所を回収しにいったのだが、一か所の機器が行方不明になっていた。小動物が取り出せるとは思えず、誰かが気が付いて取ったとしか思えなかった。人が通る背面に仕掛けたので、