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『お弁当箱』

子ども達のお弁当を作るようになり
沢山のお弁当箱を購入した。

初めはプラスチックのお弁当箱

保温できるお弁当箱

ステンレスのインド風のお弁当箱


次男がいた頃は 大活躍


機能性から 見た目重視
そして 行くつく先は
お弁当を作る人にとって 憧れのわっぱ。


初めて わっぱを購入した時のワクワク
ちょっとお弁当マスターになったような気分。



セレブわっぱの中の1つ


背伸びして お高いわっぱも幾点か手に入れた。
しかし 取り扱い上 滅多に使うことはなく
年に数回といったところ。
今では使う人もいない。

私には 分不相応なもの
宝の持ち腐れっていったところか。

でも あの頃はどうしても欲しかった。

半ば 駄々っ子のようなその気持ち
抑えきれず 数年間
何度も買おうか 買わまいかと悩み
数点 手にした。
だが この気持ち 収まるところを知らず
そのうち 怖くなって
お弁当箱を買うのをやめた。


皮肉なもので
それらの お高いお弁当箱以外は
そこそこに活躍してくれた。


でも なんと言っても
結婚した時から
主人が使っているお弁当箱は優秀。

スーパーの雑貨コーナーで買った
900円ほどのお弁当箱
我が家で1番安いお弁当箱である。


何の変哲もない どこにでもあるお弁当箱



物によれば 半年も経たないうちに
留め具が取れたり 割れたりするのに
既に28年選手
よ~ 働いとります。

何度も買い替えを 提案したけれど
これが良いらしい。

「愛着があるから 変えんといて」と
今日も リュックに詰めて 仕事に行った。


主人のご奉公も 10年を切っている
さて このお弁当箱も
最後まで務めあげてくれるだろうか…

この春  娘が我が家を巣立った。
今まで使っていたお弁当箱を持って
新しい住処へ。

仕事の帰りも遅いので
作り置きや きんぴらやひじき等の
自家製冷凍品を
休みの日にせっせと作っているようだ。

家に居た時は
ほとんど料理をすることもなかったのに
必要にかられると しっかりするもので
案外 心配することも無いようだ。

自分の欲目かもしれないが
今まできちんとお弁当を作り
持たせてきて良かったと思う。


娘の元へお嫁入り


家を出る時 もう二度と
娘にお弁当を作ることは無いかもしれないと
最後に いちばんよく使ったわっぱに
お裁縫道具を詰めて持たせた。


プラスチックのお弁当箱は
幼稚園で使った 1番最初のお弁当箱。


キティちゃんや メロンパンナちゃん
娘が 喜びそうなおにぎりを
毎回変えて詰めた 思い出のお弁当箱。


この中には 私と娘だけがやり取りした言葉が
いっぱい詰まっている。

高いお弁当箱も 安いお弁当箱も  
中に詰まるものは一緒。

蓋を開けると作り手の気持ちが飛び出し
食べ手の気持ちを込めて蓋をする。

いただきます  

ごちそうさま


なんと 素敵な言葉が詰まった世界なんだろうか。



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