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レトロ喫茶ライターがサードウェーブコーヒーを飲み比べてみた

今回は、ややマニアックになりますが、リクエストのあったお題の3番目にいってみようと思います。

私は月に数回、都内で《哲学者の薔薇園》というコンセプトカフェの営業を行っています。
また、「レトロ喫茶東京」というブログサイトのライターでもあります。

家では毎日コーヒーをネルドリップで淹れています。
豆は、スーパーなどで購入した大袋のものが多いです。
たまに自家焙煎の珈琲豆屋で豆を買って、父から譲り受けたコーヒーミルで挽いて飲むこともありますが、忙しい時期はなかなかそういう余裕がありません。

コーヒーに纏わる記憶を遡ると、小学校高学年ころのことを思い出します。
ある時、お中元か何かで数種類のコーヒーの入ったギフトを頂きました。
それは確か、個別包装のキリマンジェロやモカやブルーマウンテンブレンドのような、ストレートコーヒーのセットだったと思います。
私たち兄弟はそれまで、コーヒーが苦くて飲めなかったのですが、なぜかそのコーヒーを美味しく感じ、飲めるようになったのです。

日常的にコーヒーを飲んでいる私ですが、2015年10月に《哲学者の薔薇園》をオープンし、お客様にお出しすることになって、コーヒーについてもっと勉強しなくては、と思うようになりました。
折しも、世の中ではサードウェーブという言葉が広まり出した頃です。

当時《哲学者の薔薇園》は、武蔵小山のコレクションハウスという、廃墟のような異形のビルの一角、「TARUHO」というカフェバーで営業していました。
曜日替わりでお店が変わるゴールデン街方式で、私たちの営業日は毎週金・土曜日。
金曜日は渋谷のアルバイト先から自転車で武蔵小山に向かう途中に、中目黒を通ります。

その頃、中目黒にはサードウェーブのコーヒー店が林立し始めていました。
サードウェーブコーヒーの特徴は、何といってもシングルオリジン。
農園や生産者どころか、苗木まで特定できる高品質のコーヒーは、豆の個性を引き出す為に、焙煎度合いは浅煎りが推奨されます。

私が最初に浅煎りのコーヒーを口にしたのは、2016年2月に中目黒にオープンしたばかりのONIBUS COFFEEだったでしょうか。
最初に飲んだ時、正直言って「何だ、これは」と思いました。
今まで飲み慣れていたコーヒーとは全く違った飲み物と言える程の酸味。
美味しい、と感じることはできませんでした。

Fuglen Tokyoがノルウェー・オスロから日本に上陸したのは2012年だそうですが、奥渋谷にあるというそのお店も、それまで全く知りませんでした。
ニューヨーク・タイムズ誌で「飛行機に乗ってまで行く価値あり」と認められたというお店がどんなものか、興味が高まりました。
訪れてみると、人気店だけあってなるほど、オープンな雰囲気の店内はお客で溢れています。半数ぐらいは外国人です。
メニューにある「本日のコーヒー」はポットに作り置きされていて、安く提供されています。
フード持ち込みOKの店内に、VIRONで購入したパンなどを持ち込んで、何度か通ううちに、浅煎りのコーヒーの味にも慣れてきました。

私の家のすぐ近くにも、名店があります。
清水橋交差点の角にある、Counterpart Coffee Gallery
ここは、3種コーヒー飲み比べができるというので、最初に訪れた時に試してみました。
いずれもフルーティなのですが、到底コーヒーの説明文にあるような、カシスだのチェリーだのといった味の聞き分けはできませんでした。

2016年9月、学芸大学にFactory & Labo神乃珈琲オープン。
2016年10月、ブルーボトル中目黒店オープン。
どちらも、オープン後間もない時期に行きました。
まるで工場か研究所のような神乃珈琲のカッコよさといったら!
当時のツイートを発見しました。

2018年6月に「レトロ喫茶東京」のライターを始めてから、コーヒーの世界が更に広がりました。
昔ながらの少し焦げたような酸味のあるコーヒーを出すレトロ喫茶も多いのですが、それは決して残念なことではなく、独自の喫茶店文化を形成しているのだと思います。
先日は石神井公園で、素晴らしいレトロ喫茶を発見しました。
1976年創業の「茶房 珈路」です。
こちらでは何と、シングル・エステートのコーヒーを、有田、伊万里、唐津など日本の最上級の茶器で頂くことができるのです。
ブルーボトルの創業者ジェームス・フリーマン氏は、日本の喫茶店文化にインスパイアされて創業したそうですが、喫茶店文化の豊かさを知るにつれ、なるほどと納得させられます。

ABOUT LIFE COFFEE BREWERSは、2014年に渋谷 道玄坂にオープンしたコーヒースタンド。
先日初めて、このお店に立ち寄ってみました。
ここでは、自由が丘ONIBUS COFFEE、目黒SWITCH COFFEE TOKYO、武蔵小山AMAMERIA ESPRESSOのコーヒーを飲むことができます。
スタッフさんにお話を聞いたところ、バリスタの修行では、やはり味の共通認識を持てるように厳密にテストを行うのだそうです。

2019年1月に職場近くにオープンしたWHITE GLASS COFFEEにも、つい最近行ってみました。
ここで頂いた浅煎りコーヒーは、今まで飲んだ中で一番美味しいと感じることができました。
私の舌が変化したということなのでしょうか。
東京にはまだまだ、無限といってもいいくらいの喫茶店があります。
これからも色々な場所で、様々なコーヒーを楽しみたいと思います。


画像はFactory & Labo神乃珈琲。

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