見出し画像

楽器のように声を操る、レジーナ・スペクターの魅力。ー「映画音楽のすすめ②」


突然ですが、アメリカのシンガーソングライター、レジーナ・スペクターさんを知っていますか?主題歌や挿入歌として度々映画に登場していて、それから彼女の音楽を聴くようになりました。

音楽はクラシックで、ファッションはモダン。
チャーミングかと思えば、次の瞬間には大人びた表情をする。そんな彼女の二面性に魅了されました。今日は彼女の楽曲を、映画と一緒にいくつかご紹介しようと思います。

The Call-「ナルニア国物語 第2章: カスピアン王子の角笛」

私が彼女の歌声初めて聴いたのは、「ナルニア国物語第2章」のエンディングでした。角笛の音色に導かれて、再びナルニアの世界に足を踏み入れる4人の兄弟。彼らがナルニア国の人々と別れるラストシーンで、「The Call」が静かに流れ始めます。透き通っていて儚げでありながら、強い芯のある不思議な歌声に惹かれました。

いつかくるとわかっていた別れの時。寂しい雰囲気になる中で、この歌詞が優しく支えてくれます。

Now we're back to the beginning 
(またはじまりの場所にいる)
It's just a feeling and no one knows yet
(これは単なる予感でまだ誰も知らない)
But just because they can't feel it too
(でもみんなが感じられないからって)
Doesn't mean that you have to forget
(あなたも忘れなきゃいけないわけじゃない)
Let your memories grow stronger and stronger
(記憶をもっと強く呼び覚まして)
'Til they're before your eyes
(あなたの目にはっきりと映るまで)
You'll come back when they call you
(呼べば、あなたは帰ってくるから)
No need to say goodbye
(さよならは言わなくていい)

楽曲はもちろん、ラストシーンの演出とエンドロールまでの流れがとても美しいので、是非映画の方もチェックしてください。

US -「 (500)日のサマー」

次に私が彼女の歌声を耳にしたのは、「(500)日のサマー」のオープニングでした。ジョゼフ・ゴードン=レヴィットが演じるトムが、小悪魔なサマーという女の子に翻弄される日々をポップに描いた作品で、人気を集めました。

オープニング曲の「US」は軽快なピアノリフで始まり、それに続いてまるで楽器のように、様々な声を使い分けて音楽を紡いでいます。この作品に合ったポップな印象を与えています。

終盤では、彼女と自分の気持ちの落差に落胆するシーンで、「Hero」という曲が使われています。彼女の掠れた声が、トムのズタズタにされた心を浮き彫りにしています。

ここまでに挙げた3曲だけでも、彼女の音楽の多様性を感じていただけたのではないでしょうか。
「Hero」の中にもあるように、吐息や唸り声を音楽として使っているのも独特ですし、また、"contagious(伝染病)"のように難しい単語や、英語以外の言語が出てくるのも特徴です。生まれがロシアで、イタリアやオーストリアに移住した経験などが、彼女の音楽にも影響を与えているのは間違いなさそうですね。

流行に左右されず、独自の音楽を次々と生み出すレジーナ・スペクター。
音楽を作りたいと思ったことはなく、彼女の中を流れる音をそのまま楽曲にしているそうです。歌詞の内容も経験に基づいたものではないそうで、歌詞の意味よりもリズムを重視する私からすると、完全右脳型の彼女がつくる音楽はとても心地がいいです。
2016年から新しいアルバムは発表されていませんが、これからも彼女の作品を楽しみに待ちたいと思います。
みなさんも気に入ったら、ぜひアルバムを聴いてみてください!


こちらの記事は、映画メディア「OLIVE」にも掲載しています。
お時間がある時に是非のぞいてください!
<Twitterアカウント:@olive_movie>

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?