心をとろかす魔法の言葉

「家族全員みきさんのポートフォリオを見て、この方に是非お願いしたい、と思っていたので嬉しいです!」

不安と気後れを溶かして前向きな気持ちにさせてくれたのはお客様からのメッセージにあった、この一言だった。

出張撮影カメラマンなんてものをやっているけれど、結婚式当日の撮影は基本的には受けていない。ウェディングフォトは式場や段取りに対する経験と、機材が物を言うと思っているからだ。

自分の場合は、それらが明らかに足りていない。

だからリハーサル時の前撮りや、式を行わない場合のドレス姿の撮影のみはおこなったことがあるけれど…HPの撮影メニューにウェディング関係は掲載していないし、挙式の撮影を引き受けたこともなかった。

しかしメニューになくとも、撮影経験に記載してなくとも、そして撮影サンプルさえなくとも…依頼というのは来る時には来るもので。

「結婚式の撮影をお願いしたいのですが可能でしょうか?」

という問合せが届いた時には、正直迷った。

どうしよう、これ。自分に撮れるんだろうか…。自信の無さからあっさり断ってしまうことは簡単だけれども…大切なハレの日を残す、そのカメラマンとしてわざわざ自分を指名して声をかけていただいたのだ。そのお気持ちを無下にはしたくない。

また、もうひとつ頭を過ったのが。この仕事を始めてからずっと…こういったお問合せをきっかけに、やったことのないことをやり続けて、やり遂げて。今の場所に立っている。お話を頂いたということは、新しい経験へのチャンスかもしれない。自分がそれが出来るレベルになったからこそ、こういう機会が来たのかもしれない…ということだった。

お断りすれば楽にはなれる…。
しかしせっかくの機会、撮影させていただきたいという気持ちもある…。

この2つの気持ちの板挟みになり、迷いに迷った挙句。「日程的には可能です。ただしストロボの持ち込みがない為に、自然光での撮影が可能な会場であれば…」といういくぶん弱気なお返事を勇気を出してしたためた所、その点には問題ないというお返事を頂いた。

そしてそのお返事の中にあった一文が、冒頭のこれだったのだ。

「家族全員みきさんのポートフォリオを見て、この方に是非お願いしたい、と思っていたので嬉しいです!」

なんという殺し文句だろう!
弱気の虫をずぶりと串刺しにして、不安と気後れを振り払い、腹を括って立ち上がろうと思わせてくれる魔法の言葉がそこにはあった。

 え!?そんな風に思っていらっしゃったなんて…!
 じゃあ、この方に喜んでいただけるような写真を撮らねば!!!

コトコト弱火だった気持ちは、あっという間にメラメラと燃え盛る。割合に単純な人間なのだ。期待されている、と思えばやる気が出る。「あなたにはできるよ」と言われれば、できるような気持ちになる。

そうして魔法の言葉に、臆病さから身に纏っていた保身を剥がされてしまえば。そこには自分への信頼感が存在していた。

できると思ったことは、できる。
なぜなら不可能と不安は、別の物だからだ。

「自信がない」「失敗したらどうしよう」「自分にはできないかも」という不安からくる言葉に従っていては、同じ場所から一歩も動けない。そうやって自分を安心というフィールドに置き続ける限りは、不可能ではない事も不可能なままだ。

今回の案件は、お伺いする限りは撮影環境的には問題がなさそうだった。
挙式のみ、であれば。下調べをきちんとして、事前に想定できることは想定しておけば可能だろうと判断した。

問題だったのは、「未経験だから怖い、やりたくない、不安だ、自信がない、失敗が怖い」という感情で。そんなマイナス感情を振り払って前向きな気持ちにさせてくれたのが、お客様からの言葉だった。

考えてみれば。

今までだって、いつだって、最初は経験のない分野で初めての撮影だった。そういう時に自分がどうしてきたか、そしてどんな結果を出してきたか…積み重ねてきたものを、歩いてきた道を振り返ってみたら。今がまた一歩、踏み出す時のような気がした。

お客様の言葉は、まさに魔法の言葉のように背中を押してくれた。

そうして撮らせていただいたのが、こちらの写真達だ。
踏み出した一歩は、きちんと地面を踏みしめられただろうか…


まずは、挨拶を交わす参列者の方々の撮影から始まって…

新婦を迎える新郎と、それを待ち受ける人々。
始まる厳かな、神父による教会式…

指輪を交換し、誓いを交わし、それをピアノで寿ぐ新郎の父…

ピアノの音色に合わせて、静かに響く列席者たちの讃美歌に
見守る人々のあたたかな視線。

年若い親族の披露する、微笑ましい賛美の歌などを挟み…
無事に挙式は終わって皆で集合写真を撮影して。

自然なスナップ中心の挙式写真だけでなく、テラスでの記念撮影もして…

構図や仕上げ方を変えつつ、ウェディングらしい2人の姿を撮って終了だ。


実際の撮影枚数は、このおよそ3倍程度なのでこれは一部なのだけれど…
制限時間内で、何とか自分なりのウェディングフォトが撮れたと思う。

緊張はしたし、細かな設定の切り替えやシャッタースピードの管理が本当に大変ではあったけれど…同時にまったくの他人であるのにも関わらず、すぐ側で式を見続けているとじんわりとした感動が湧いてきて。撮影後は素晴らしい式に参列させていただいた感謝で、胸が一杯になっていた。

どうかこの写真が、2人のご家族の…良き思い出となりますように。
ご結婚、おめでとうございます!!




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広島で、大人から子供まで人物の出張撮影をしています。自然な情景を、その時間を…切り取って残したスナップ写真は、お客様だけでなく自分にとっても宝物。何かありましたら、ぜひどうぞ!

ユルリラム
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