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書評 #88|教団X

 力がみなぎっている。中村文則の『教団X』はそう思わせる。人間の心奥へと潜り続け、そこにある陰陽を見つめ、その壮大さと同時にシンプルさも感じ取る。予想していたような「カルト教団を中心としたサスペンス」ではない。

 シリアスさとコミカルさも共存している。その筆致でエネルギーを読者に放出する。スピード感満載。グロテスクであり、エロティック。人間と宗教の関わり。宗教の意味をも問う。


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