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『原価主義をやめる』から始める

今日はちょっと研ぎ屋にも関係する包丁のお値段のお話であり全事業者が悩むプライシングのお話です。

日本の包丁は安過ぎる

僕は日々様々な刃物を扱っていますが、改めて日本の包丁の品質はいいなぁ〜(*´∇`*)と惚れ惚れしています。
一方でお店を回ると「なんでこんな品質でこんな安いの?」と思うことも多いです。
品質も高くちゃんと手入れすれば一生モノでこの値段というのはちょっとよろしくないかと思います。

安くすれば喜ぶ人も居るが....後で困るのは...

これはあらゆる業界で今言われている事ですが、今まで価格・工賃なりを安くし過ぎて成り手が居なくなり事業が立ち行かなくなり『黒字廃業』という事があちこちで起きています。
一見お客様の財布のことを思ってギリギリまで安くしているますが後で困るのはお客様の方です。
直接的でなくても社会が停滞すればお金の周りも悪くなるので、回り回ってお客様も貧乏になっていく。今の日本の現状はその結果でもあると思います。しかも日本以外は着実に物価を上げているので差は広がる一方。

包丁の業界も同じくで商品価格を安くして(卸先が買いたたく)給料が安いばっかりに成り手が少なく廃業する事業者が出てきています。
(技術の継承は簡単ではありません)
逆に言えばちゃんと儲かる価格付けをして利益が出て給料がちゃんとあるのであれば手先を使うものづくりが好きな人は参入すると僕は思っています。
(まぁ誰でも思う事ですね。そのための努力をしないといけないと言う事)
以前行ったメーカーさんでも堺で修行したアメリカ人が働いてましたが、こんな風に海外からも呼び込めるポテンシャルはあるのに勿体無いなと感じる部分があります。
(日本のモノづくりは作り手の方も憧れられるブランドだと思っています)

価格の価値はどこにあるのか再確認

最近は外的要因から値上げされる事が当たり前になってきました。もちろんチャンスだという事で値上げする所もあるかと思います。
単純に適正価格ならまだしも欲を出して更に高くしてしまうとお客様にソッポを向かれて事業に大打撃になる可能性もありえます。

事業にとって(日本にとっても)値上げをしていく事はとても重要でやっていかないといけない事。
その為には「自分たちの商品・サービスの価値」はどこにあってその価値に見合った価格であるかどうかの点検が必要ということです。

一つ大事な事は、その価値は機能にはほぼないという事。
例えばブランドバッグも百均のカバンも「モノを入れて持ち運べる」という機能は一緒です。でも価格は数千倍です。
「素材が違う!」というのもあるかも知れませんがじゃあ比較対象を1万円くらいのバッグにしてみましょうか。一体どれだけ素材に差があるでしょうか。
この場合はお客様が価値を感じるのは「自分がブランドバッグを持っている姿、それを見て憧れてくれる他人の視線」だとしたらたとえ数十万円払っても満足感を感じられると思うから買うのでは無いでしょうか?
機能の創意工夫をする事は悪いことではないですが、本来の価値がどこにあるのかをちゃんと認識して発信することで利益の最大化とお客様の満足度は上げられるかと思います。

原価主義をやめる

もう一つ頭から一度離した方がいい考え方が「原価主義」だと僕は思います。僕も飲食業が長いのでつい「コレは原価コレくらい」という計算が働いてしまいますが、一旦そういうのは忘れて「提供する価値」にフォーカスして価格設定を始める事が大事だと思っています。
原価主義は人の思考を縛り付ける檻みたいなものですから、できるだけ外しながら考えることがこれからは大事なんじゃないかなと思います。
(それでも業界長いと瞬時に計算してしまうんですけど)

ちなみに僕は研ぎ屋ですが普段から「研ぐ事に価値はない、価値があるのは快適になったお客様の生活時間」と言っています。正直今の価格設定もまだまだ控え目だと思いますしその辺りはしっかり発信していきたいなと思っています。

ブランディンとプライシングが日本を救う

ブランディングは一朝一夕では出来ない事かも知れませんが「JAPAN」自体が根本的なブランド。お客様の思考とそこがうまく噛み合わされれば日本の再興は出来ない事ではないんじゃないかなと思います。
日々改善あるのみですね。
僕も頑張ります!

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