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「本屋デートはつまらない?」話下手でもスルッと会話ができる本屋の秘密について。

僕は、本屋好きのコミュニティに参加して三年ほど活動していたことがあります。本棚を前にすると、人見知りでも、いろいろなことを話すことができると思い、その良さを広めるために活動もしてきました。

ある日、Googleで「本屋デート」と検索をすると、以下のようなサジェストが表示されます。

「どこに出かけようかな?」「どんな服を着ていこうかな?」を抑えて、「つまらない」が表示されています。

あまり強い言葉を使うと弱くみえてしまうかもしれないが、ここは強く言わせてください。

本屋デートは、つまらなくない。相手のことを知るのに、まさにうってつけの場所だということを。

この記事は「パートナーのことをもっと知りたい」「相手のことをひきだしたい」と思っている人に、楽しく読んでいただけると思います。

様々な人と一緒に本屋に行った私の「本屋デート」に対する、ひとつの提案です。

相手の興味関心を知ることができる

デート相手に好意を寄せていても、相手が何に興味があるのかを知るって難しいですよね。そんなときに、さりげなく相手の興味関心を知れるのが、本屋さんなのです。

たとえば、本屋で待ち合わせをしたとしましょう。
その後、一緒に店内を徘徊したとき、相手がどんな棚を眺めたり、どんな本を手に取ったりすると思います。それら全てが、デート相手の興味関心です。

旅行雑誌の本棚に立ち寄ったなら、旅行の話題をきっかけに話をすればいいと思います。また、小説の本棚に立ち寄った場合は、好きな作家やおすすめの小説などをきっかけに話題を展開することができます。

「本を読まない」「作家に詳しくない」など思う方もいると思いますが、ここではあまり関係ありません。あくまで相手がどういう本に興味があるのかを知ることで、この後のデートでの話題の展開につなげることができます。

自分でも気づいてない無意識にアプローチできる

本屋は「無意識を意識化できる」数少ない場所だと思います。

フィルターバブルという言葉があります。これは、インターネット環境において、自分の興味ある情報が優先的に表示され、無関心な情報からは隔離されることにより、考え方や価値観の「バブル(泡)」の中に孤立することを言います。

コロナ禍では自粛により、人との雑談が著しく減り、自分以外の考え方にアプローチすることが激減したかと思います。つまり、自分の無意識を言語化したり、アプローチする機会が難しい状態になっていました。

本屋には、たくさんの本が並んでいます。手に取った本の理由が、今はわからなくても、それらの本のタイトルなどを眺めているだけで、自分の無意識を発見することができます。

結果、デート相手の手に取った本に注目するだけも、相手が自己認識できていないことを発見してあげることができます。

本棚を前にすると、いろいろな話ができる

本棚を前にすると、いろいろな話をすることができます。

たとえば、絵本の棚に立ち寄ったとします。
絵本は、本当に息が長い作品が多いです。子供の頃に何度も読んだ思い出の絵本が、そこにはあります。どの本を読んだことがあるのか聞いてみてもいいですし、それをきっかけにどんな子供時代だったのか、話題を広げることも可能です。

洋書のコーナーに立ち寄ったとします。
そうすると、装丁がおしゃれな本がたくさんあります。自分が気に入ったものをひとつ手にとり「この本を飾るならどこに置く?」など、相談してみてもいいと思います。それをきっかけに「どんな部屋に住んでみたい?」など、話題につなげてもいいと思います。本は読むだけではなく、飾ることもできる。素晴らしいですね。

このように、本棚の前に立つと、いろいろな本をきっかけに、相手のことを知れる機会を増やすことができます。

相手が本に興味がなかったら?

興味がないことに付き合わせるのは苦痛ですよね。
その場合、迷うことなく雑誌コーナーに直行しましょう。

デート相手が、本に興味がないかもしれませんが「ファッション」や「カメラ」など他のジャンルに興味があるかもしれません。

雑誌コーナーには、それら他ジャンルの情報雑誌がごろごろあります。またガイドブックなどを手に取り「どういうところに行きたい?」などデートプラン自体の相談をしてもいいと思います。

雑誌の巻末にある占いコーナーをみて、相手の誕生日をリサーチするなど、直接聞くと、わざとらしく感じてしまうことも、本屋という場所を最大限利用して、相手のことを知る機会を増やせます。

本屋デートで本を買ってはいけない?

矛盾する小見出しをつけましたが、もちろん、本屋で本を買ってほしいです(笑)

しかし、本を買うために、本屋デートをするわけではない、ということです。相手をほったらかしにして、自分だけの買い物をし、両手に本を抱えるなどは、ちょっと避けたいところです。手もつなげません。

本屋デートの目的は、あくまでデート相手の興味を知ったり、自分との共通項を知る機会を増やすことです。

買った本を貸し借りしたりして、次回の約束を取り付けるのも良し、雑誌を購入しカフェに移動するのも良し、この後のデートや関係を良くするものとして、本屋デートを位置付けると、「つまらない」という感想を持たないでしょう。

大事なことなのでもう一度言いますが、本屋で本は買ってほしいです、ええ。

本屋で「待ち合わせ」からはじめてみる

とはいうものの、「本屋にデートに行こう」など、誘いづらい方もいると思います。(Yahoo!知恵袋でも似たような悩みを見つけました・・・。)本なんてどこでも買えるし、それこそネット通販で購入している人も多いと思います。

だから、そんな特別な日に、わざわざ「本屋に行こう」っていうと、相手に「つまらない」と思われるかもしれない。そんな脅迫観念が「本屋デート つまらない」という検索結果に現れてしまったのかもしれません。

なので、ハードルをぐっと下げて、本屋で待ち合わせをするところからはじめてみたらどうでしょうか?

本屋で待ち合わせするのは、メリットがたくさんあります。待ち合わせ時間に、少し遅れても、本を眺めていてもらってもいいですし、もし雨が降っても濡れることはありません。キャッチなど不用意に声をかけられることもありません。

駅前の本屋が少なくなってきていますが、待ち合わせに本屋さんを指定することで、スムーズに一緒に本屋さんを巡ることができると思います。

本屋は「本以外」のものを売っている

本屋は、本を売っているのですが、実は、それ以外のものを提供しているように思うのです。

二人で行った本屋さんで買った本は、家の本棚をみるたびに、そのデートのことを思い出します。二人のデートの時間は終わっても、家の本棚をみるたびに、その思い出が蘇ってくる。つまり、その本が本棚にある限り、二人の関係は続いていくのです。

本はどこでも買えるものだと思われていますが、二人で本屋で買った本は、思い出も含め、そのときでしか買えません。

だから、その本を買った街の本屋さんが閉店することが、これほどまでに悲しいのでしょう。

さいごに

人と一緒に本屋に行くことが好きです。
会話では現れない、意外な一面に出会えることがあるからです。どんなに言葉を交わしても、言葉にしてしまうからこそ現れないその人らしさが、本屋に行くことで溢れるような気がしているのです。

最近、徒歩圏内にある本屋さんが閉店しました。
将来的に本屋さんは無くならないにしても、レコード屋さんぐらいの少なさになっていくのかもしれません。

気軽に入れて、一緒に行った人や自分のことも知れる本屋さんが、どうか長く街にありつづけますように。

おしまい。

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