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人生の早い段階でポジティブな思考を学習した人は、以降の人生において成長の可能性が高まる

さて前回は、人のパフォーマンスの差は、気づいて改善する、そのピッチの個人差であり、元々の才能、能力に個人差はそれほどないという考え方をご紹介しました。

フリービット(株)の人事である酒井さんという方が、その著書で「ポジティブ心理学」の考え方をふまえ、人の成長について述べているのですが、このことは採用や組織を考える上で大いに参考になります。

酒井さんは、人は何か困難な課題にぶつかった時に、不安が先に立ち躊躇してしまうタイプと、できるかもしれないと考えるタイプに分かれるということ。

そして人生の早い段階でポジティブな思考を学習した人は、以降の人生において成長の可能性が高まることが明らかになっていることを紹介しています。

i)「私にはできそうもない」→「挑戦しない」→「結果、成長しない」というパターン

ⅱ)「最初は難しいと思ったけど頑張ればできるかもしれない」→「やってみよう」→「結果、気づきを得て成長する」というパターン

元々の素養だけでなく、経験として、i)ではなく、ⅱ)の癖をつけてきた人は、学び→気づき→自分の知恵にしていくというよいサイクルを回す心理が備わっていると考えられるのではないでしょうか。

つまり、社会人になって仕事で成果を出すための準備運動ができていると考えることができます。

たとえば勉強ができたというのも、ポジティブな心理を獲得する一つの手段でしょうし、学生時代に何かでリーダーシップを発揮したり、成果を出している人もポジティブな心理を獲得している=仕事ができる可能性が高いと思われます。

前職時代の上司が、著書で、リクルートの新卒採用を担当した際にその要件の一つとして、「勝ちぐせがある」という条件を挙げておられました。

このことは、何かの活動に打ち込み、成果を出すことで、ポジティブな心理を獲得していることを測る指標にもなっていると思います。

こう考えると多くの企業で新卒採用時に、「学生時代にがんばったこと」を聞く理由が納得できます。

また、重要な観点として、ポジティブな組織の雰囲気をつくることが経営的に大切な目標であるということも言えます。

ポジティブ心理を備えた個人を選抜して採用していくことは、ポジティブな心理の備わった組織を形成していくことにつながります。

経営をしていると、立てた計画通りに進んでいくことはまずありません。

そんな時、ポジティブ心理による勝ちぐせがある人の集まりであるか、そうでないかが、最終的に業績を達成できるかに影響してくるように思います。

「できない理由を探すのではなく、どうやったらできるか考える」

など、言葉で伝えるのは簡単ですが、誰でもすぐに実践できるわけではありません。

実践できるのは、ポジティブ心理を備えた個人が集まった組織であればこそです。

人に関わる仕事をしていて悩ましいと思うのは、人の場合、かけた投資がいったいどんな効果をもたらしているのか、効果は見合っているのか、目に見えないことです。

しかし、以上のように、戦略の実行には組織の一人ひとりの心理が関連しそうなこと。

また、前回述べた、個人の気づきのサイクルが組織の成長スピードにも連動していくこと。

このような見方と関連づけて考えていくと、人への投資の重要性が実感できる気がします。

また来月もよろしくお願いします!

VOL16  2011/9/19                                                                                 sakaguchi yuto

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